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2025年スペインの主要お祭り情報

田川 敬子

田川 敬子

スペイン特派員

更新日
2025年2月4日
公開日
2025年1月31日
光まばゆいバレンシアの火祭り

あなたが抱くスペイン人のイメージのひとつに“お祭り好き”というのがありませんか? それは大正解!! 普段からお祭り騒ぎも大好きですが、スペインでは年間を通して大小本当にさまざまなお祭りが開かれているのです。まさにフィエスタの国!! 今日は特に有名なお祭りを今年の日程とともにご紹介します。

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バレンシアの火祭り(Las Fallas)

各地のお祭りはだいたい春から秋にかけて開催されます。春のお祭りの幕開け的存在なのが、ユネスコの無形文化遺産に登録されているバレンシアの火祭り(現地ではLas Fallas/ラス・ファジャス)。バレンシア市と近隣、郊外の町で催されます。最終日3月19日に手の込んだ大きな可燃性のオブジェを焼き払うことで有名で、毎年日本のテレビのクルーも取材に来ます。このオブジェはバレンシア市内だけでも大小合わせて何百も設置されるので、まさにそこら中がお祭り状態。大きなものは高さが20m以上もあり、製作費も高いところは日本円にして何千万円もするんですよ。

 

火祭りは毎年2月の最終日曜日に華やかな開会式典があり、3月1日から公式にスタートします。但し、最後に燃やす可燃性のオブジェが完成するのは3月15日から16日の朝にかけてなので、そこから19日の夜までが本番です。オブジェを見てまわるだけでも楽しいのですが、やはり3月19日の夜にオブジェを燃やすところを見たいですね。ちなみにカトリック教会では3月19日はキリストの父・聖ヨセフの日。ヨセフ(スペイン語ではホセ)は大工だったことから大工の守護聖人として崇められていて、聖ヨセフの日の前夜にいらない木片や木くずなどを焚いて祝ったことがお祭りの起源だと言われています。

最終日に燃やしてしまうのがもったいないほど美しいオブジェ

聖週間(Semana Santa)

復活祭(イースター)直前の1週間は、キリストの受難を偲ぶ聖週間(Semana Santa/セマナサンタ)です。スペインでは復活祭よりも聖週間をより祝う習慣があります。期間中は各地でカトリックの信徒団が教会のキリスト像やマリア像を担ぎ出し楽隊を率いて町を練り歩くプロセシオン(宗教行列の意味)が出ますが、これを目当てに世界中から観光客が訪れるほど。特にアンダルシア地方、中でもセビーリャやマラガのプロセシオンは盛大で、厳かさの中にも華やかさを備えていることで知られています。お香の香りに揺れるろうそく、涙を流す美しいマリア像、そして楽隊の奏でる音楽を聴いていると、信心がなくても心が揺さぶられるのです。ズバリ、私もその一人で、はじめて見て以来聖週間のプロセシオンが大好きです。

 

プロセシオンを見にスペインに来る場合、気を付けないといけないのは、聖週間は移動祝日だということです。「春分の日以降の満月の次の日曜日から始まる1週間」と決められています。初日の日曜日は、ロバに乗ったイエス・キリストがエルサレムに入城した際に人々がオリーブや椰子の枝を振って出迎えたことから、枝の主日と呼ばれています。今年の枝の主日は4月13日なので、聖週間は19日の土曜日まで続きます。そしてその翌日、20日が復活の日曜日にあたります。

©︎Turismo de Córdoba 三角頭巾にマント姿でプロセシオンに参列する信徒の姿は、聖週間のシンボル

セビーリャの春祭り(Feria de Abril)

スペインらしさが溢れる陽気で華やかなお祭りがアンダルシア各地で開かれるフェリア(Feria)で、春に催されるセビーリャの春祭り(Feria de Abril/フェリア・デ・アブリル)がもっとも有名です。セビーリャの町にはフェリア専用の広大な土地があり、毎年ここに夜はイルミネーションで輝く門や1000を超えるカセタと呼ばれる祭り小屋、移動遊園地が設置されます。カセタの中では着飾った老若男女が昼夜お酒や食事、そしてセビリャ―ナスというフラメンコに似た民族舞踊を踊って楽しみます。カセタは個人の所有なので招待がなければ入れないのですが、何か所か公営の誰でも入れるところもあるのでご安心ください。会場内には民族衣装をまとったアンダルシア美人や昼間は馬車や乗馬服で馬に跨る粋な人達もいるので、カセタに入らずにぶらぶらしているだけでも十分に楽しめます。

 

注意したいのは、セビーリャの春祭りも移動祝日だということです。今年から元のルールに戻り、聖週間が終わって2週間経った後の火曜日から6日間の開催となります。つまり2025年は5月6日から11日まで。初日の午前0時に会場の門が点灯されるのが始まりの合図で、これを見に大勢の人が集まります。そして日曜日の夜にあがる花火をもって終了となるのです。お祭り期間にセビーリャ市内に宿をとることはかなり難しいのですが、郊外の町に泊まってでも見に行く価値のあるお祭りです。

©︎Turespaña 会場はカラフルな衣装をまとったアンダルシア美人や、粋な乗馬服姿の人々で溢れている

コルドバのパティオ祭り(Fiesta de los Patios)

コルドバの町にはローマ人やアラブ人に支配されていた昔から家に中庭(パティオ)があり、そこを花などで美しく飾る習慣があります。現在では毎年5月にパティオ祭り(Fiesta de los Patios/フィエスタ・デ・ロス・パティオス)が開かれています。バレンシアの火祭り同様、これもユネスコの無形文化遺産に登録されています。お祭りのベースになるのが、今からおよそ100年前に始まったパティオの美しさを競うコンテスト。パティオ祭りでは、コンテストに参加した団体や個人が自慢のパティオを一般公開するのです。その中には普段は知り合いがいないと観ることのできない個人宅も含まれています。中にはコンテストには参加せずに公開しているところも。

 

楽しみ方は簡単で、WEBサイトや観光案内所で入手できるパティオの分布地図を見ながらあちこち見て歩くのです。町の散策もできるので、コルドバの町をよく知ることができるます。心づけを置くお皿などを置いているパティオもありますが、基本はどこも無料で見学できます。今年は5月5日(月)~18日(日)の開催です。5月のコルドバはパティオ祭りの前に十字架祭り、月末にはフェリアも開かれるのでお祭り月間。気候も良いのでコルドバに行くなら5月がオススメです。

©︎Turismo de Córdoba パティオ祭りで公開されたパティオのひとつ

サン・フェルミン祭(Fiestas de San Fermín)

ヘミングウェイの小説『日はまた昇る』で世界に知られるようになったパンプローナの牛追い。日本では、まるでそれがひとつの祭事であるかのように牛追い祭りと言われることもありますが、実はサン・フェルミン祭のプログラムのひとつなのです。サン・フェルミンとは3世紀初頭に殉教したパンプローナ出身の聖人で、パンプローナのあるナバーラ州の守護聖人として崇められています。ちなみにもうひとりの守護聖人がいて、日本でも有名なフランシスコ・ザビエルです。カトリック教会では7月7日がサン・フェルミンの日なので、お祭りはこれに合わせて7月6日から14日にかけて開催されます。

 

期間中は7日から毎日闘牛があるため、その日の夕方に出る牛を闘牛場に向かって追い立てるのが牛追いで、朝8時にスタートし800mの距離を駆け抜けます。ご存じのように過去には何人かが命を落とし、毎年けが人が出る危険を伴う行事ですが、毎年参加者が後を絶ちません。走りたい方は、よーく考えてくださいね。サン・フェルミン祭ではほかにもさまざまなプログラムがあるので、牛と一緒に走らなくても楽しめますから。このお祭りでは白いTシャツにパンツ、首に赤いスカーフを巻くのがお約束なので、ぜひこのいでたちでどうぞ。

©︎Turespaña 牛追いだけがサン・フェルミン祭ではありません。巨人のパレードもプログラムのひとつ

ピラール祭り(Fiestas del Pilar)

秋に行われるお祭りの中でよく知られているのが、サラゴサのピラール祭り(Fiestas del Pilar)です。ピラールというのは、サラゴサの聖母ピラールのこと。1世紀前半に、サラゴサにいたキリストの12使徒のひとり聖ヤコブが、柱の上に現れた聖母マリアの姿を目にしたそうです。この奇蹟がもとで柱があったところに教会が建てられ、現在あるのは17世紀に建てられたピラール聖堂になります。聖母ピラールはサラゴサのあるアラゴン州の守護聖母だけではなく、ヒスパニックの母として崇められています(10月12日はヒスパニック・デーでスペインの祝日)。

 

ピラール祭りは、今年は10月4日から13日にかけて催されます。カトリック教会では10月12日が聖母ピラールの日なので、メインはこの日。朝から夕方までピラール広場に設置される聖母への献花が続き、世界中から訪れる人々が各々の民族衣装姿で花を捧げます。また、翌日夜のガラスの十字架行列も大きな見どころのひとつ。両手にカスタネットを持ち軽快に飛び跳ねながら踊る民族舞踊、ホタのショーも見逃せません。

©︎Turespaña 軽快でダイナミックなアラゴン地方の民俗舞踊ホタ

お祭りを旅の思い出に

今回は書きませんでしたが、5月に開かれるマドリードのサン・イシドロ祭り(Fiesta de San Isidro)、8月の最終水曜日にバレンシア郊外のブニョルで行われるトマト祭り(La Tomatina/ラ・トマティーナ)、9月のバルセロナのメルセ祭り(Fiestas de Merced)などなど、スペインにはとにかくたくさんのお祭りがあります。スペイン旅行の際にどこかのお祭りで地元の人達と一緒にワーッと盛り上がれば、忘れられない旅の思い出になることでしょう。

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