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ついこの間年が明けたと思ったら、もう2月の半ば。来月にはユネスコの無形文化遺産に登録されたバレンシアの火祭りが開催されます。お祭り本番の3月15日~19日にバレンシアにいなくてもその前に来る予定がある方には、火祭りのプレイベントともいえるニノット展を訪れることをオススメします。というわけで、今回はニノットとニノット展についてお話しましょう。
ニノットというのはバレンシア語では人形を意味します。よく日本の記述では火祭りは張り子の人形を燃やすとあるのですが、それは正しいような正しくないような・・・。
まず次の写真をご覧ください。火祭りでは、バレンシアの町中に大小何百体と飾られたこんなオブジェを最終日19日の夜に一斉に燃やします。これ、人形ではないですよね? 大小の人形の複合体とでもいうのか。でも、まれに人形を使っていないものもあるんです。現地ではこれを単にファヤ(ファジャ、ファリャという発音もあり)と呼びます。そもそも火祭りはファヤを複数形にした‟ラス・ファヤス”というお祭りなんです。ファヤに日本語訳はありませんが決して人形ではないので、私はいつも日本語ではオブジェと書いています。
では、ニノット展のニノットとは何なのか? もう一度上の写真を見て下さい。外側にフラメンコ衣装のおばさんや赤と白の格子柄の服を着たおじさんなどほぼ等身大の人形がありますよね。これがニノットなのです。
バレンシア市と隣接する4つの自治体だけでも400近い火祭りグループがあり、各グループがオブジェを設置します。たいていの場合、グループの大人の部で大きなオブジェをひとつ、子どもの部で小さなオブジェをひとつの計2つを有します。各オブジェからまわりに置くニノットを一体ずつ集めて展示するのが、ニノット展なのです。
ニノット展の入場者は、大人の部と子どもの部から気に入ったニノットをひとつずつ投票することができます。それで1位に輝いた2体が灰になる運命から逃れ、火祭り博物館に展示される栄誉を与えられるのです。
今年のニノット展は2月1日に始まり、3月15日まで開催中です。私はまだ行っていませんが、ネットのニュースをあれこれ見たところ10月29日に起きたバレンシアの大洪水をテーマにしたニノットが多々あり、目が潤みました。実物を目にしたら泣いてしまいそう・・・。このようにニノットは昔から世相を反映したものが多いのです。
期間中にバレンシアを訪れる方はぜひ芸術科学都市の科学博物館で開かれているニノット展に足を運び、火祭りを感じてみてください。700を超えるニノットがあなたをお待ちしていますよ。
ニノット展/Exposición del Ninot
場所: 科学博物館/Museo de las Ciencias
地図: https://maps.app.goo.gl/ecEqMZ9M4WQqEy7Z7
時間: 月~木 10:00~20:00、金~日 10:00~21:00(3月14,15日は15:00まで)
入場料: 3ユーロ
なお、1位の発表は子どもの部が3月14日、大人の部は翌15日で、その後各ファヤに持ち帰られます。全部見たいのであれば、14日の午前中までに行くことをオススメします。