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2024年12月、日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産への登録が決定しました。そこで今回は日本を代表する日本酒メーカーのひとつである月桂冠が運営するお酒の史料館「月桂冠大倉記念館」をご紹介します。酒造りの歴史や数々の挑戦の軌跡をたどりながら、五臓六腑で月桂冠を味わってみませんか。
1909年(明治42年)年建造の酒蔵を活用した「月桂冠大倉記念館」は、2024年2月にエントランス、試飲コーナー、ブランドショップなどをリニューアル。栄光と勝利を意味する月桂冠のロゴがスタイリッシュに掲げられたエントランスで受付をすると、白磁のお猪口と試飲に使うコイン3枚を受け取ります。ドライバーや下戸の方はコインの代わりに日本酒のお土産がもらえます。
まずは記念館ホールで酒造りなどを紹介する映像を視聴して南展示室へ。1637年(寛永14年)年創業の月桂冠の現在までの挑戦と創造の歴史を写真や貴重な史料から体感することができます。
続く北展示室では木桶や酒樽、櫂など「京都市有形民俗文化財」指定の主な酒造用具類を見学。往時の職人たちの手技をしのび、酒造りの伝承文化を感じる場となっています。
きき酒処に誘われるのを我慢しつつ、広々とした中庭へ。かつては発酵用の酒桶をこの庭にずらりと並べ、天日で干して乾燥させていたそうです。3つ並べられた巨大な酒桶が往時を偲ばせます。反対側には内蔵酒造場(非公開)があり、現在も但馬流の杜氏のもと、昔ながらの酒造りが行われています。内蔵酒造場で使用した酒造道具や布類が干されていて、改めて銘酒が生まれる場所だと実感。空を見上げていると、屋外に漂う日本酒の香りが鼻孔をくすぐります。
はやる気持ちを抑えながら名水「さかみづ」を味わってみましょう。伏見のお酒を特徴づける、きれいで鉄分の少ない酒造りに適した地下水は、隣接する酒蔵での醸造に用いられています。500年以上前に原型が確立したといわれる日本の「伝統的酒造り」。そして伏見の風土と月桂冠に伝わる技術によって、名水が銘酒へと生まれ変わります。館内見学の方は自由に飲むことができるので、受付でもらったお猪口でぜひ。
新装されたきき酒処は、従来に較べて1.5倍の広さになったそうで、多くの観光客の方に好評だとか。セルフ式で試飲できるお酒は約10種類で、記念館の限定酒や近畿地区限定販売酒、季節限定酒などが用意されています。コイン1枚で1杯飲めるので、合計3杯を飲み比べすることができます。お猪口3杯じゃ全然足りないよ! という方、ご安心を。
まるで美術館のようなブランドショップでは、限定品を含む月桂冠醸造の日本酒がずらりと並んでいます。ほかにも京の匠の逸品、奈良漬や酒まんじゅうなど、お酒のアテや和スイーツなどを購入することができます。ショップのみの利用の場合は入館料は不要なのもうれしいですね。
■月桂冠大倉記念館
住所:京都市伏見区南浜町247番地
電話番号:075-623-2056
営業時間:9:30~16:30(受付は16:00まで)
入館料:20歳以上=600円、13歳~19歳=100円、12歳以下=無料
※13歳以上の方はおみやげ付き
※20歳以上の方は3種類のきき酒付き
ご予約:インターネットによる事前予約のお客様を優先(当日受付枠あり)
休館日:盆:8月13日~8月16日、年末年始:12月28日~1月4日、ほか臨時休館日
アクセス:京阪本線「中書島」駅から徒歩5分、「伏見桃山」駅から徒歩10分。近鉄京都線「桃山御陵前」駅から徒歩10分。JR奈良線「桃山」駅から徒歩18分
駐車場:乗用車22台
URL:https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/museum/
今回の「乙な京都™」はいかがだったでしょうか。こちらの施設、13歳以上はなんとお土産つきです。しかも12歳以下は無料。つまり、これからの日本酒文化を育むために、未成年の将来のお客様も大切にしたいという思いを垣間見ることができます。観光施設でありながら、日本酒を通じて、日本の伝統文化を学べる貴重な機会になりました。