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新潟市の本町交差点は8つの国道が集まる“越後の日本橋”

雪雲

雪雲

新潟特派員

更新日
2025年3月10日
公開日
2025年3月10日
新潟市道路元標
yukigumo

新潟市中央区の本町交差点は8本の国道の起終点となっており、その数は高知県高知市の県庁前の交差点と並んで全国第一位です。江戸時代の江戸・日本橋が東海道や中山道、日光街道などの起点になっていたことを思い出させます。まさに“越後の日本橋”ではないでしょうか。

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新潟市中央区の本町交差点は8本の国道の起終点となっており、その数は高知県高知市の県庁前の交差点と並んで全国第一位です。江戸時代の江戸・日本橋が東海道や中山道、日光街道などの起点になっていたことを思い出させます。まさに“越後の日本橋”ではないでしょうか。

©︎雪雲 ”越後の日本橋”本町交差点

その交差点には石の「道路元標」があります。道路元標とは先に記した国道の起終点を示すものです。脇にある碑文を見ると、ここを起点とする国道は

・国道7号(新潟市―青森県青森市、総延長518キロ)

・国道8号(新潟市―京都府京都市、592キロ)

・国道113号(新潟市―福島県相馬市、238キロ)

・国道289号(新潟市―福島県いわき市、301キロ※一部未開通)

・国道350号(新潟市―新潟県上越市、194キロ)の5本。

終点となる国道は

・国道17号(東京・日本橋―新潟市、総延長442キロ)

・国道116号(新潟県柏崎市―新潟県新潟市、86キロ)

・国道402号(新潟県柏崎市―新潟市、92キロ)です。

©︎雪雲 8本の国道の距離が書かれている標板

市民団体と商店街が「8連おむすび」で交差点をPR

交差点近くの建物には8つの国道の始終点を表すミニチュアの国道標識が縦に8つ並べた標板があります。この場所をPRしようと、市民団体「路地連新潟」が本町商店街などの協力を得て設置したもので、「8連おむすび」と呼んでいるそうです。またのぼりもあるので、遠方から訪ねてきた人でもこの場所がすぐ分かるようになっています。最近では商店街も自分のお店の名入りのぼりに「8連おむすび」を入れるなど交差点をアピールするなどの動きも始まりました。

©︎雪雲 路地連新潟が設置した「8連おむすび」(左)とのぼり
©︎雪雲 商店街の各店舗が制作した「国道おむすび」入りのぼり

国道は海を渡って佐渡へ

海の上の国道!?

ここからは国道350号にスポットを当てます。この国道は新潟市から佐渡島を経由して、上越市へとつながっています。当然その間には海があります。「海に国道?」と思われる方もいることでしょう。そう、この国道は「陸→海→陸」という全国唯一の国道なのです!

海上区間は、本土と佐渡の間の輸送を担っている「佐渡汽船」の航路が国道です。カーフェリーの中にも航路が国道350号であることを示す看板や、売店には国道標識をモチーフにしたお土産もあるのでチェックしてみてください。碑では194キロと記されていますが、国土交通省の「2023年度道路統計」によると総延長は約196キロでした。そのうち陸路は約50キロなのに対し、海路は新潟港―両津港と小木港-直江津港を合わせた約145キロで海上部分の方が長いのです。1975(昭和50)年に誕生したこの国道の生みの親は、“角さん”の愛称で知られたあの田中角栄元首相です。

以前から島民は「島に国道を!」と国などに陳情していました。本来、国道は「県庁所在地と大都市を結ぶ道路」などの条件があり、離島の道路ではその条件を満たせません。それを首相退任後も建設省(当時)に太いパイプを持っていた田中氏は「橋や海底トンネルがなくても、フェリーなどによって道路と道路が結ばれていれば国道」という“ウルトラC的手法”で、海路も含めて島内の幹線道路を国道にしたのです。“コンピューター付きブルドーザー”と呼ばれた角さんのダイナミックな人柄が伝わる話ですね

©︎雪雲 佐渡汽船カーフェリーにある国道表示板
©︎雪雲 佐渡島(画面奥)へと向かうカーフェリー。この航路はれっきとした国道だ

舌で味わう国道350号線!

この本町交差点は「新潟市民の台所」とも呼ばれる本町市場に隣接しています。以前は野菜を売る露店が軒を連ねて大勢の買い物客でにぎわっていました。現在は露店の数は減ったものの、いまも新鮮な野菜などが路上で売られています。オーバーアーケードなので天気も気にならずに買い物ができます。

©︎雪雲 野菜などの露店もある本町商店街

お腹もすいてきたので、交差点から歩いて1、2分の場所にある「青海ショッピングセンター」を目指します。普通のショッピングセンターと思ったら大間違い。ふたつの鮮魚店に中華料理店、丼屋、海産物店に餃子店に海産物店、そしてお茶屋さん。「食」だけのショッピングセンターなのです。その中の一軒「古川鮮魚店」に突撃!活魚や焼き魚などが販売されている店には6席のカウンターがあります。

©︎雪雲 魚屋さんの店先で食事やお酒を楽しめる「古川鮮魚」

まだ日は高いのですが、旬の刺身と小鉢そしてお酒がセットの「ちょい飲みセット」(1,500円税込み)を注文。「昼から飲む」という背徳感がたまりません。定食もあるのでお酒のダメな人も大丈夫。ショッピングセンター内にはフリーテーブルもあり各店で購入したものを楽しめます。

ちょい飲みセットにつけられるアルコールは、ビールでもワンカップの日本酒、ホッピーなどからチョイスできます。新潟の銘酒の品ぞろえも充実していて目移りしてしまいます。このセットの刺身のすごいところは“時化(しけ)でない限り”必ず高級魚「のどぐろ」のあぶりがつくところです。さらに目の前でさばいてくれる刺身は天地がひっくり返るほどの旨さ。さらに、お店の「お母さん」との楽しい会話もまた味です。

言い忘れましたが、古川鮮魚の魚はほぼ佐渡産、日本酒も佐渡の酒蔵のものがそろっています。そう!国道350号線を泳いでいた魚を、やはり国道350号線を揺られてきたお酒でいただくというわけです。

国道350号は確かにユニークかもしれません。けれどほかの国道だってその地域の人と触れ合えて、新たな発見や楽しい時間が過ごせるのは間違いありません。

そんなわけで「本町交差点から、全部の国道を車でのんびり走ってみるのも楽しいかも」とほろ酔いの頭で考えました。

©︎雪雲 古川鮮魚店のちょい飲みセット。ノドグロ、南蛮エビ、ブリなど新鮮な刺身がうれしい。小鉢(右)は「ばい貝の酒蒸し」

■佐渡汽船株式会社
本社住所:佐渡市両津湊353
新潟事務所:新潟市中央区万代島9-1
電話番号:0259-27-5174(カスタマーサービス)

■古川鮮魚
住所:新潟市中央区本町通6番町
営業時間:11:00~17:00

電話番号:025-223-2996

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