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岐阜県南西部にある大垣市は、歴史と文化があふれた城下町です。名古屋から鉄道のアクセスもよく、観光スポットが集まる市内中心部は車を使わず散策にグルメに楽しめます。そんな大垣市の楽しみ方を、まとめました。
大垣市は岐阜県の西濃地方に位置し、人口約15万人を抱える地域の中心都市です。大垣およびその一帯は、昔から東国より京を目指す際の交通の要地でした。そのため各時代で歴史の舞台となった場所でもあります。
有名なものでは、古くは8世紀、律令体制の整備に伴って、大垣の西方にある現在の関ヶ原町に、京へ向かう際の要である不破関が設置されました。1600年に起きた関ヶ原の戦いでは、西軍の総大将である石田三成は当初、大垣城に陣を構えて東軍の徳川家康に対しました。
江戸時代には大垣藩として戸田氏による治世が長く続き、城下町の文化が形成されました。文学では、江戸を発って奥州および北陸道を旅し『おくのほそ道』を著した俳人・松尾芭蕉が、旅の終わりの「むすびの地」とした町です。
大垣のすぐ東を流れるのが揖斐川。そのすぐ東には長良川、木曽川という一級河川が3本通り、それら木曽三川が運ぶ土砂が濃尾平野を形成してきました。特に大垣辺りは土砂の中でも礫層を中心に構成されているため、それが帯水層となって豊富な地下水が町の至るところで湧きます。大きな川の氾濫から集落や耕作地を守ため、地域住民が共同で周囲を堤防で囲んだ輪中と呼ばれる景観も特徴的です。
今回は列車を使って大垣を訪れた場合の散策プランを書いてみます。名古屋駅から大垣駅まではJR東海の東海道線を走る快速で約30分。大垣駅を降りると、南側に駅通りが大垣城横、そして大垣共立銀行本店まで伸びています。
駅通りにあるアーケード街が郭町商店街。飲食店や、大垣名物の水まんじゅうや金蝶饅頭(店によって呼び方の差異あり)を売る和菓子屋などが並びます。和菓子屋などを見物しながら歩いていくと、進行方向右手に大垣城の東門へ続く脇道が見えてきます。城門を抜ければすぐに大垣城の天守です。
大垣城の天守は1936年に国宝に指定されましたが、1945年7月に第二次大戦時に焼失。現在建つのは1959年4月に再建された4層4階の鉄筋コンクリート造のものです。建物内は博物館になっており、大垣および大垣城の歴史を学ぶことができます。
周囲にはかつての城門跡や濃尾護国神社、常葉神社、大垣大神宮、大垣藩初代藩主である戸田氏鉄(うじかね)公騎馬像などがあります。
大垣城の北側の水門川沿いあるミニ奥の細道と名付けられた道を西へ向かうと大垣八幡宮が。そのミニ奥の細道を歩きながら、大垣城を中心に北から西、そして南へ下って行くと水門川がT字に分岐する地点に突き当たります。そこには美登鯉橋および虹の橋が架けられ、流れ落ちる大きな水のモニュメントがあったり、市民の憩いのスペースになっています。
水門川に沿ってさらに南へ歩いた先には、歴史の面影残る船町港跡、そして奥の細道むすびの地記念館が建っています。
大垣で楽しみたいグルメは豊富な地下水と関連したものが多くあります。夏であれば水まんじゅう。葛生地の中心に小倉あんを入れた和菓子で、水まんじゅうの販売風景は大垣の風物詩です(夏季以外は売られていません)。
駅通りを歩いていると「金蝶」という店名を冠した和菓子屋が多数あることに気づくはずです。これは吉田すゑという女性が、酒素饅頭を「金蝶饅頭」と命名して今の大垣名物になる礎を築いたことに端を発しています。現在「金蝶」という名前を持ったお店が市内に多いのは、吉田すゑを元とする金蝶堂総本店(2019年に閉業)からの暖簾分けなどの結果だそうです。
他には、つちやの柿羊羹や田中屋せんべい総本家のみそ入大垣せんべいも有名です。つちやは大垣城からさらに南へ下った俵町に、田中屋せんべい総本家は、駅通りから東へ行った先にあります。
日本酒も有名です。大垣駅の南側には武内酒造と三輪酒造が、北側には渡辺酒造醸あります。南の酒蔵で、駅通りからすぐ東へ行った先にあるのが武内酒造、奥の細道むすびの地記念館の西にあるのが三輪酒造です。三輪酒造は同じ岐阜県飛騨地方にある白川郷のにごり酒を造っている蔵としても知られています。いずれの酒蔵もショップが併設されています。
食べ物以外では、大垣は枡の産地として全国生産トップです。水門川沿いには、枡を専門に扱うお店、枡工房ますやがあります。
私は親戚が大垣にいるため、しばしば訪れて市内を歩きますが、とても良い町です。名古屋からの手軽に来ることができますし、ぜひ訪れてみてください。