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エクアドルを代表する画家・グアヤサミンをご存じですか?
日本ではあまり知られていないかもしれませんが、オズワルド・グアヤサミンはエクアドルを代表する画家・彫刻家でラテンアメリカ美術の巨匠としても世界的に評価されています。エクアドルの多くの土産物店で彼の絵のレプリカが売られていたり、キトのトンネルに彼の名前がつけられていたりするのを見ると、この国の人々がグアヤサミンを誇りに思っていることが伝わってきます。
今回はキトにあるグアヤサミン美術館を紹介します!
グアヤサミン美術館は、キト新市街のはずれに位置し、昔ながらの風情を感じる町並みを抜けた先にあります。美術館は、グアヤサミンの作品を展示する 「カピージャ・デ・オンブレ(Capilla de Hombre)」 と、彼の自宅をそのまま公開した 「カサ・ムセオ・グアヤサミン(Casa Museo Guayasamín)」 で構成されています。美術館の敷地内には、カフェやショップも併設されており、作品をモチーフにしたお土産やアート関連の書籍、グアヤサミンの親族が手掛けるジュエリーなども販売されています。
直訳すると「人間の礼拝堂」と名付けられたこの建物では、グアヤサミンの代表作である「悲しみのシリーズ」や「愛のシリーズ」をはじめ、彼の絵画や彫刻を鑑賞することができます。グアヤサミンの作品は、彼が生涯を通じて抱えていた社会的なテーマや個人的な体験が描かれていて、その表現には強いメッセージが込められています。エクアドルの先住民の苦しみや社会的不平等をテーマにした作品も多く描かれており、これらの作品は、観る人々に深い感情や考えを呼び起こします。
また、グアヤサミンの絵には「手」がたくさん描かれています。彼は手にこそ感情が現れると考えていたそう。注目して観てみると面白いかもしれません。建物自体もアートの一部としてデザインされており、現代的な建築様式が特徴的で、屋外ではキトの町全体を見渡すことができます。
1976年から1979年にかけて建てられたグアヤサミンの自宅は、彼が1999年に亡くなるまで実際に住居として使用されていました。彼は生涯を通じてプレ・コロンブス期の作品や植民地時代の美術品を収集し、自分が亡くなった後、これらのコレクションはエクアドル国民のものになるべきだという考えを持っていました。その想いが実現し、彼が収集したコレクションはこの自宅に飾られており、訪れる人々はそれを鑑賞することができます。
また、実際にグアヤサミンの書斎や寝室、アトリエも見ることができ、どのような生活をしていたのかを想像することができます。庭にはグアヤサミンが植えた「生命の樹」と呼ばれる松の木があり、本人の希望によりこの松の木の下に遺骨が埋葬されています。この木にはたくさんのウィンドチャイムが吊るされていて、そよ風に奏でられた優しい音を聞くと、グアヤサミンがこの場所を訪れる私たちに伝えたいことを語りかけてくるような気がします。
町の喧騒から離れたグアヤサミン美術館に訪れると、まるで別の世界に来たような不思議でとても穏やかな気持ちになります。グアヤサミンの作品には、エクアドルやラテンアメリカだけではなく、世界の少数民族などの苦悩や愛が描かれており、私たちが普段の生活の中で忘れてしまっていることを改めて考えさせられます。ぜひ実際にグアヤサミン美術館に訪れて、エクアドルを代表する美術に触れてみてはいかがでしょうか。
■Capilla del Hombre y Casa Museo Guayasamín
住所:Mariano Calvache E18-94 y Lorenzo Chávez, esq. (Barrio Bellavista)
電話番号:(593 2) 2446-455
開館時間:月~土曜日9:30~16:45(日曜日と祝日は休み)
入場料:大人US$10、子ども・学生(学生証提示)・シニアUS$5
URL:https://guayasamin.org.ec/