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【京都府・木津川市】田園風景に溶け込むデザインで“魅せる”珈琲焙煎所

乙な京都™

乙な京都™

京都特派員

更新日
2025年4月11日
公開日
2025年4月11日
焙煎所というよりも研究所の趣が漂う中山珈琲焙煎所

京都府南部は木津川市の田園風景に、銀色の煙突がついたガラス張りの建物があります。サイン看板もないので、車で通り過ぎる人のほとんどは、ここがコーヒーの焙煎所であることに気づかいないと思われるほどシンプルかつミニマルな佇まい。今日は至高のスペシャルティコーヒーを追求する中山珈琲焙煎所をご紹介します。

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中山珈琲焙煎所の歴史を体現する3台の焙煎機

店舗に入る前から圧倒されるのは、一面のガラススクリーン越しに見える3台の焙煎機。手前から2代目のフジローヤル、初代のコーヒーディスカバリー、3代目のプロバットで、焙煎士の中山修也さんが追究してきたコーヒーの軌跡そのものだ。

田園風景と焙煎機のある店舗空間の境界があいまいになる感覚に

元々コーヒー好きだった中山さんが、コーヒーに興味を持ったのは28歳の頃。ヒップホップユニットの音楽活動に見切りをつけ、京都の染色工場に就職した頃でした。ある時、友人からコーヒーミルと豆をプレゼントされ、自分で淹れたコーヒーのおいしさに感動したのが起業のきっかけだそう。イベントなどの露店で活躍した初代コーヒーディスカバリー。2010年に中山珈琲焙煎所をオープンした時に導入した2代目フジローヤル。ドイツ製のプロバットは2021年4月の店舗リニューアル時に導入し、すっきりとクリーンな味わいの浅煎りが得意な焙煎機です。

肩肘張らない優しいコーヒーへのまなざし

テイクアウトは一杯ずつハンドドリップで丁寧に淹れてくれる

移動販売や手作り市などで経験を積み、独学で焙煎技術を磨き、今年で15年目を迎える中山さん。豆の販売がメインですが、コーヒーやエスプレッソ、クラフトコーラなどをイートインすることができます。ホンジュラス、グァテマラ、ブラジル、インドネシアなどの農園を訪れた経験のある中山さんのおすすめはグアテマラ。看板商品のハウスブレンドを構成するなど中心的な存在です。丁寧なハンドドリップで淹れた、カカオの香りのグアテマラは、酸味は控えめで、コクと苦味がしっかりですが、後味はすっきり。シングルオリジンなのにバランスの良さが特長です。

グアテマラ550円。テイクアウトも同価格。豆で購入の場合は100g896円。

身近な喫茶店と違い、高尚なイメージもつきまとう焙煎所ですが、店主いわく「誰が淹れてもおいしいコーヒーが理想です。抽出は基本的に挽きたての豆を使って淹れてもらえれば。それさえ守ればいいという感覚ですね」。

視覚的にも気分をアゲてくれるパッケージデザイン

京都府相楽郡南山城村に拠点を置く「Atelier Satoshi Takijiri Architects」による建築も大きな見どころですが、私が惹かれたのは、店のロゴやショーケース、パッケージのデザインセンス。これらは中山さんの妻の舞蘭さんが手掛けておられるのですが、デザインを学ばれた経験はなくなんと独学。

  • ハウスブレンド(中煎り)、エチオピア(浅煎り)、オールドファッション(深煎り)、キャラクターの違う3種類×各1個のドリップバッグのセットは1080円

特にお持ち帰りできるパッケージの配色が秀逸で、勝手にバウハウスのデザインを連想してしまいました。コーヒーは味覚と嗅覚で味わう嗜好品ですが、視覚的にも気分をアゲてくれるデザインは、自分用に買ってもいいですし、ちょっとした差し入れにもおすすめです。

■NAKAYAMA COFFEE ROASTERY(中山珈琲焙煎所)
住所:京都府木津川市南加茂台9-15-2
電話番号:なし(Instagram @nakayamacoffee
アクセス:JR大和路線「加茂駅」から車で5分
営業時間:11:00~18:00、第2・4日曜12:00〜17:00
定休日:月曜休、第1・3日曜定休
駐車場:2台
URL:https://www.nakayamacoffee.com/

 

今回の「乙な京都™」はいかがだったでしょうか。コーヒーブームも相まって、特に京都市内には焙煎所が数多くありますが、決してアクセスの便が良いとはいえない京都府南部エリアでは孤高の存在だと思います。コーヒーの知識や商売の経験もまったくの0から始められた中山さんの至高の一杯。一見ならぬ、一飲の価値ありです。

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