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レソト王国は南アフリカから車で気軽に行ける海外です。レソト国内唯一の5つ星ホテルMaliba Lodgeでは、乗馬やハイキングツアーなど様々なアクティビティが用意されています。今回はそのうちのひとつ、コミュニティツアーというものに参加したのでその様子をお届けします。ホテルからガイドさんと一緒に出発して近くの村を訪れる、かなりディープなツアーです。
最初に訪れたのは小学校です。この日はあいにくの祝日でしたが、平日であれば生徒たちとも交流できるそうです。
教室内に照明はなく、ドアを開けて日の光で勉強しているとのことでした。暗さには慣れているんだそうです。
キリスト教の学校なので、教会もありました。
学校の敷地内には広い畑もあり、野菜を生徒たちで育てて給食で食べているそうです。学校だけでなく、この村ではほとんどの人が自給自足で生活しています。自分たちで作れないものだけ、バスに乗って街まで買いに行きます。例えば、トマトはここでは寒すぎて育たないため、必要な時はわざわざ買いに行くそうです。
学校のすぐ近くで、村の人々がパーティーをしていました。週末は大体なにかしらのパーティーをしているそうです。この時は、主催者のご両親が長生きしていることを祝うパーティーとのことでした。誕生日というわけではなく、ただ長寿を祝っているそうです。
村の人々が40人ほど集まっていました。外には大量の鍋が並んでいます。中を見せていただくと、牛肉を茹でたものとパップが入っていました。パップはこの国の主食で、とうもろこしの粉を練ったものです。
パップと牛肉を試食させていただきました。ものすごくおいしかったです。牛肉は、醤油か何かの調味料で煮込んだような香ばしい味がしました。でも、何も調味料は使っておらず、ただお湯で茹でただけだそうです。パップは素朴な味でした。お肉によく合います。南アフリカではパップと言いますが、レソトではパッパと発音するそうです。試食のつもりでしたがかなりボリューミーで、お腹いっぱいになりました。
手作りの伝統的なビールもいただきました。主催者の方に少しだけ味見させて欲しいとお願いしたところ、せっかくだからとマグカップになみなみ注いでくださいました。
この伝統的なビールは、とうもろこしの粉と小麦粉、ソーガムという植物の粉と、既に完成されたビールを少し入れて作るそうです。どろりとしていて、味は一般的なビールに近かったです。アルコール度数は誰も測ったことがないから不明とのことでしたが、お酒に弱い私がマグカップ一杯飲み干しても大丈夫だったので、かなり低いと思います。
レソトの人々はこのビールをよく作っていて、ビールができると自宅に白い旗を立てて知らせます。それを見て、ビールを譲ってもらいに人々が集まるそうです。
この村は、まちの病院が少し遠いため、体の不調があるとサンゴマという伝統的な祈祷師に相談することが多いそうです。
厄除けのおまじないもサンゴマの仕事のひとつです。手首の内側を少し切って、その傷口から厄除けの粉を擦り込むという厄除けが一般的で、ガイドの方も毎年行っているそうです。傷跡を見せてもらいましたが、少ししか切らないので痛くないそうです。
サンゴマが施術を行う小屋も見学できます。あいにく家主であるサンゴマ本人は不在でしたが、小屋は見学用に開放してあるようで、ガイドの方が道具など説明してくれました。壁には薬がずらりと並んでいます。薬のほとんどは、付近の森から採ったハーブで作られたものです。フクロウの剥製が天井からぶら下がっていました。薬にはハーブだけではなく動物も使うそうで、少しずつ削って粉にして使うとのことでした。
このサンゴマは、貝や動物の骨をサイコロのように振って未来を占うタイプだったのでその道具も見せてもらいました。なんの道具を使うかは、そのサンゴマの先祖のお告げによって決まるので、サンゴマによって違います。
私はどうしてもサンゴマの施術を受けたかったので、ガイドの方にお願いして施術が可能なサンゴマを探してもらいました。
ようやく1人見つかり、ご自宅を訪ねました。先ほどのサンゴマの小屋とは別の場所です。施術料は約400円でした。
サンゴマの小さな小屋に入り、ドアを締め切って真っ暗な中、1本の蝋燭がつけられました。まずお祈りから始まります。レソトの言葉だったので最初は分からず聞き流していましたが、いつの間にか英語に切り替わっていて、私の問題点を指摘してくれていました。生理痛が重いんじゃないか、などといった内容です。
最後に質問も受け付けてくれます。
コロナ禍でサンゴマはどのように活躍していたか気になっていたので聞いてみたところ、一般的な風邪と同じ薬を処方して対応していたとの回答をいただきました。
最後に、レソトの伝統的な家を見学しました。
こちらも室内に照明はありません。ただし電気が全くないわけではないので、テレビや携帯の充電器はあります。
家はほとんどが自然のものでできているため、ほぼ無料で建てられます。窓ガラスとドアだけは購入する必要がありますが、それ以外の屋根や壁は自分たちで調達します。屋根は植物の葉などでできており、壁は牛のフンや石などを使用しています。
今回利用したツアーは、Maliba Lodgeというホテルが宿泊者へ提供しているアクティビティツアーのひとつです。他にも乗馬やハイキングツアーが提供されています。
◾️Maliba Lodge https://maliba-lodge.com/
コミュニティツアー
大人1人R300(約2400円)
車と運転手の提供はないため、ツアーは自分の車で、運転も自分でする必要あり。ホテルでガイドを乗せて出発。