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今は宗教の自由が認められていますが、スペインはもともとカトリックの国。今も生活習慣にカトリック教会の伝統が残っています。この伝統のひとつに守護聖人があります。さまざまな職業や地域に守護聖人がいるのです。たとえば、イエス・キリストの父ヨセフ(スペイン語ではホセ)は大工の守護聖人、聖セシリアは音楽の守護聖女、日本でも有名なフランシスコ・ザビエルは宣教師の守護聖人として崇められています。また、キリストの12使徒のひとりだった聖ヤコブ(スペイン語ではサンティアゴ)はスペイン全土の守護聖人として広く信仰を集めています。
ここバレンシア市の守護聖人は聖母デサンパラードス(Virgen de los Desamparados)。聖母広場(Plaza de la Virgen)にあり、大聖堂と隣接する聖母聖堂にこのデサンパラードスの聖像がおさめられています。デサンパラードスの聖母というのは日本語に訳すと“見捨てられた者たちの聖母”という意味で、この聖母信仰は15世紀に始まりましたが、正式にバレンシアの守護聖母になったのは1885年のことでした。誰もがこの聖母に会えるように聖堂には無料で入場できるので、バレンシア旧市街散策の際にはぜひお立ち寄りください。
さて、バレンシアでは毎年5月には聖母デサンパラードスのお祭りが開かれます。第2日曜日がメインで、その週末はミサなどの宗教行事のほかに民俗舞踊ショーやコンサート、バレンシアならではの爆竹ショーなども開かれ賑わいます。
今年は日曜日の聖母のパレード(宗教行列)を見に行ったので、来年行かれる方のためにお役立ち情報を書き残しておきます。
パレードのルートは、聖母広場(Plaza de la Virgen)~ カバジェロス通り(Calle Caballeros)~トッサル広場(Plaza del Tossal)~ボルセリア通り(Calle La Bolsería)~メルカド広場(Plaza del Mercado)~マリア・クリスティーナ通り(Calle Maria Cristina)~San Vicente Martir通り(Calle San Vicente Martir)~レイナ広場(Plaza de la Reina)~マール通り(Calle del Mar)~アベジャネス通り(Calle Avellanes)~パラウ通り(Calle Palau)~アルモイナ広場(Plaza de Almoina)。だいたい1.5㎞あまりの距離になります。
パレードは17:30のスタートで、まずはバレンシアの民族衣装で着飾った参列者たちが延々とやってきます。私たちは聖母広場からカバジェロス通りを200mほど入ったところに陣取ったので(タリア劇場の手前)、17:40頃には先頭が通りました。その後もギルドなど様々な団体の参列者が練り歩きます。聖母像は“トリ”で、私たちの前を通ったのはパレードの先頭通過からなんと2時間半近く経った後でした(20:10頃)。ちょうど後ろの建物から大量のバラの花びらがまかれたので、感動的な聖母のお通りになりました。
とはいえ、最初の民族衣装のあたりはまだよかったものの、途中は楽隊もあまり通らず間延びした感じで、正直立ったままずっと見ているのは疲れました。
そこで2つ提案があります。
ひとつめは、最初だけ少し見てカフェやバルで休憩もしくは観光した後、聖母が来る頃にまた見に行くことです。聖母が大聖堂を出発する時は砲音がするので、それが合図になります。
もうひとつは有料席を利用することです。ルート上にはところどころ白いプラスティックの有料椅子が出ます。早い者勝ちで、座っていると係の人が来るのでお金を払い、手首にテープを巻いてもらうシステム。今年の有料席の値段がどこを探しても見つからなかったのですが(観光案内所に何度か電話もしましたが繋がらず・・・)、おそらく5€~10€くらいではないかと。席があれば飲み物を片手に2時間半のパレードを見るのは苦にならないと思います。
来年以降このお祭りを見に行かれる方、5月になるとバレンシア市観光局や新聞のWEBサイトなどでプログラムが発表されるので、programa Desamparados 2026(その年の年号で)でネット検索してみてくださいね。