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フランスを含むEU(欧州連合)などへの入域に際して、出入国をスタンプではなく電子的に管理するESSと、シェンゲン協定加盟国内に入国する際の電子渡航認証ETIASの導入の準備が進められています。前者は2025年10月12日から段階的に導入が開始され、後者はフランスにおいては2026年末に導入予定です。両者の内容と違いをまとめました。
EES(Entry / Exit System:出入域システム)とは、国境を越える際の動きをデジタル管理するためのシステムです。
出入国の際に、電子パスポート読み取りゲートを利用することで、出入国管理に関わる人員の効率化を実現。そして、シェンゲン国境を通過する旅行者の出入国データをデジタルで管理、ふるい分けができるようになります。外国人旅行者がシェンゲン国境を越える際に、その旅行者がシェンゲン協定の入国条件と一致するどうかをデジタルで確認できます。
ビザの付与、拒否、延長において該当者のデータ照合も容易になり、テロリストの可能性がある人物の入国阻止、不法滞在の防止にも効果が見込まれています。
EES(欧州連合ウェブサイト)
https://travel-europe.europa.eu/ja/ees##
ETIAS(European Travel Information and Authorisation System:欧州渡航情報認証制度)とは、シェンゲン協定加盟国内の90日以内の短期滞在を対象としたビジネス、または観光が目的の渡航認証です。
ETIAS導入後も、90日以内の滞在であれば日本国籍保有者(および他のビザ免除国の旅行者)はフランス旅行にビザは不要ですが(日本国のパスポートを所持していれば可能)、ETIASの申請は義務付けられます。ETIASは学生ビザや就労ビザの代わりになるものではありません。90日を超える滞在を希望する場合は、従来通り、各状況に対応したビザなどを申請する必要があります。
すでに滞在許可証または在留カードを所持している人はETIASの対象外です。
ETIAS(欧州連合ウェブサイト)
https://travel-europe.europa.eu/en/etias
EESとETIASの両システムが稼働した場合のケースを説明します。
たとえば、日本国のパスポートを所持している旅行者が、1週間のフランス観光旅行に行くとして、まず旅行へ出発する前までにETIASの申請が必要になります。申請をして承認されると準備はオーケー。あとは旅行当日になったら空港へ向かいましょう。
フランス(フランスはシェンゲン協定加盟国)の空港に着いて入国審査を受ける際に、EESのシステムによって入国する旅行者のデータがデジタルで管理されます。上記のように1週間で日本に戻る旅行であれば問題はありませんが、万が一、90日間を超えてフランス(もしくは他のシェンゲン国内)にとどまった場合、出国時もしくは滞在時に、滞在日数の超過が確実に照合されて、何らかの罰則が科されます。
なお、90日連続してシェンゲン国内に滞在した後に、一度シェンゲン国外出て再び入国すれば、また90日間の滞在ができるわけではありません。中・長期の滞在を認めるビザなどを所持していない場合は、180日間のうち90日間しか滞在ができないため、連続90日の滞在の後は、シェンゲン国外で90日は間を置く必要があります。
しっかりと準備をしてフランス旅行に臨みたいですね。