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【山形】山寺付近で山形の呼吸を感じる回り道

ちせ

ちせ

山形特派員

更新日
2026年5月2日
公開日
2026年5月2日

「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」

俳人 松尾芭蕉が山寺で詠んだとされるあまりにも有名な句。ゴールデンウィーク頃の気候は山登りにちょうどよく、山形を代表する観光地 山寺が賑わいます。

山寺を目指して山形を南北に縦断するなら、国道13号をまっすぐ進むのが最も効率的で間違いのない選択です。けれど、もし時間が許せば、ぜひあえてメインストリートを外れてみてください。そこには、効率という言葉では測れない、この土地の豊かな「呼吸」が聞こえる道があります。

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残雪のある月山を西に見ながらのドライブが爽快

山形市の東部、高瀬から奈良沢へと向かう道をゆっくり走っていると、ふと現れる小さな碑と案内板。派手な観光地ではないけれど、ここには山形の歴史がぎゅっと詰まっています。

このあたりは、かつて「紅花」で栄えた土地。

紅花ロードの一部であり、高瀬地区は紅花の一大産地でした。夏になると、あの鮮やかな紅色の花が畑一面に広がり、江戸時代にはここから京の都へと運ばれていったのです。口紅や染料として重宝された紅花は、とても高価で、まさに“地域を支えた宝”でした。

「ケーン」と響くのはキジの鳴き声

そしてもうひとつ、この場所の魅力を深くしているのが奥の細道の存在。
松尾芭蕉が歩いた東北の道は、この高瀬・奈良沢周辺とも重なっています。近くの 山寺(立石寺)を訪れた芭蕉が見た風景と、同じ空気が今も流れていると思うと、少しロマンを感じませんか。

山のふもとに広がる素朴な里山の風景。風に揺れる草木、遠くに見える山並み。その中にぽつんと立つ碑は、まるで「ここに物語があるよ」と教えてくれているようです。

「まゆはきを 俤にして 紅粉の花」

芭蕉はこの場所で、紅花の可憐な姿に女性の化粧道具を重ねたようです。

現地の碑や案内板には、そんな紅花の歴史や旅の記憶が静かに記されています。
観光地のような賑わいはないけれど、立ち止まって読んでみると、この土地がただの田園ではないことに気づかされます。

桃の花と葉が入り混じった状態(2026年4月末撮影)

もし山寺や市街地から少し足をのばす時間があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。華やかさではなく、“背景を知る旅”を楽しみたい人にこそおすすめの場所です。

なお、映画「おもひでぽろぽろ」の舞台のモデルとなった山形市高瀬地区で開催される紅花まつりは例年7月開催です。

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