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【フランス】カンヌ上映『我々は宇宙人』、惹き込む郷愁と終幕への精緻な展開

守隨 亨延

守隨 亨延

フランス特派員

更新日
2026年5月18日
公開日
2026年5月18日
©︎Yukinobu Shuzui 坂東龍汰さん(左)、門脇康平監督(中央)、岡山天音さん(右)

フランス南部のカンヌで開かれている第79回カンヌ国際映画祭の「監督週間」において、門脇康平監督の映画『我々は宇宙人』の上映が行われました。映画祭には門脇監督と同作で声優を務めた坂東龍汰さんと岡山天音さんが参加。ワールドプレミアとなった5月14日の、現地での様子などをお伝えします。

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観客を映像に没入させる計算された構成

©︎Yukinobu Shuzui ワールドプレミア上映前の舞台挨拶

映画『我々は宇宙人』は、平成の日本の田舎町を舞台にした物語。内気で“普通”であることに悩む少年・翼(声:坂東龍汰さん)は、小学3年生の春にクラスの人気者で“特別”な存在の暁太郎(声:岡山天音さん)と出会い、親友になります。二人は、たわいなくも楽しい日常を過ごしますが、ある時、暁太郎はクラスの中で浮いた存在に。次第に噂や視線が暁太郎を囲んでいき、これまでの二人の日々が、少しずつ変わっていくというストーリーです。

作品は冒頭から「そうそう、小学生の時ってこんな感じだった!」と思わせる、懐かしさ溢れるカットが随所に入り、観客を一気に子供時代へと引きずり込みます。そして、その後に続く予想を裏切る展開は、とても秀逸。フィナーレまで巧みな構成がなされ、観客を魅了します。

ふとしたきっかけで、関係や環境がポジティブにもネガティブにも変わることは、誰にでも起こりうること。時間や場所の多くを共有している人であっても、コピペするようにその人の気持ちや体験を100パーセント知ることはできません。どんなに近くても他人は全て、得体の知れないエイリアンのようなものなのかもしれません。

日本全国をロケハンして作った架空の町

©︎Yukinobu Shuzui

『我々は宇宙人』は、門脇監督の「自分の何でもなかった昔のことを残したい、知ってほしい」という衝動がきっかけで生まれたそうです。

「(この作品について)大きくは、自分の経験してきたものが強く出ていると思うんですけど、ただ自分の話がすごくいっぱいあるわけではなくて、友人とか家族とか身近な人に、じつはこんなことがあったんだよねというのを聞いて、これはどこかに残さないといけない魅力がある、残すべきだと思ったことをまめにメモはずっとしていたんです。そのメモを見返している中で、このシーンはここにはまるとか、そういう風に作っていった部分もありますし、全てゼロから演出を考えたという部分ももちろんいっぱいあるので、ごった煮みたいな感じでできています」(門脇監督)

展開する場所も架空の地方都市を舞台としています。その理由について門脇監督はこう述べます。

「自分の地元である川越というのは、やっぱりどうしても幼少期のその思い出と切り離せないものなので、川越っぽいなと思うところはきっといくつかあるかなとは思うんですけど、どこか特定の町にしちゃうと、自分はそこには住んでいなかったと少しでもなると、没入感に影響があるかなと思って。特定の名前を出さないことの方が、自分の住んでいた場所かもという重ね方が容易にできるのかなと思って、あえてオリジナルタウンで地名とかを出さずにやっています」(同)

オリジナルの町を映像内に描き上げるために、門脇監督は2年間ほど日本全国を回ったそうです。

「それこそ新潟へ行ってみたり、高知へ行ってみたりして、毎週土日をロケハンに費やして過ごしていました。新潟で見た田園風景に、川越で見つけた橋に、東京のどこかで見かけたお墓があってというパッチワークっぽく、演出したいことのために。だから、すごく馴染みあるような風景に見えて、ほとんどが作られた世界です」(同)

門脇監督「すごいことが起こってる」

©︎Yukinobu Shuzui 上映後、大きな拍手に包まれる門脇監督ら

カンヌ国際映画祭のワールドプレミアでは、エンドロールが流れると大きな拍手が起き、7分に及ぶスタンディングオベーションになりました。

門脇監督は「一人、二人で描き始めた映画が、気づいたらものすごく大きくなって。こうして海を越えて、こんなに皆さんが興味を持って、楽しんで笑って……こんなことになるなんて思ってなかったので、全然実感が追いついていない。すごいことが起こってるなっていう気持ちです」と涙を浮かべながら感無量の表情。

坂東さんは「夢なのかなって。反応がすごいです。本当に面白かったってことですよね?」と高揚して語り、岡山さんは「もう熱気が……。これだけちゃんと皆さんに届いたっていうのは嬉しいです」と感慨深げでした

今後『我々は宇宙人』は、今年6月に開かれるフランス南東部アヌシーで開かれる、アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門への選出も決定。再び現地での高い評価が期待されます。

タイトル:『我々は宇宙人』(英題:『We are Aliens』)
公開日:2026年劇場公開
企画・脚本・監督:門脇康平
キャスト:坂東龍汰 岡山天音 W主演
音楽:Yaffle
コピーライト表記:©NOTHING NEW, MIYU PRODUCTIONS
企画・製作・制作:NOTHING NEW
協力 :MIYU PRODUCTIONS
公式サイト:https://nothingnew.film/wearealiens/

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