小籠包やルーロー飯だけじゃない!台湾各地のスペシャルな地元メシ

公開日 : 2023年07月10日
最終更新 :
筆者 : みみ

「台湾グルメ」と聞いて思い浮かぶものといえば? ここ数年、台湾スイーツが注目されるようになったのをきっかけに、台湾グルメもより日本人に身近になりました。
ひとくくりに台湾グルメといっても、日本でも地域によって名物料理があるように、台湾でもご当地のグルメや味付けがあります。台湾在住の筆者が選んだご当地グルメの名店を紹介します!

北部エリア

台湾には「南甜北鹹」(南部は甘く、北部はしょっぱい)という言葉があります。実際には北部の料理がそこまでしょっぱいわけではなく、甘い対比としてそのように形容されているようです。台北在住4年目の筆者ですが、北部の料理でしょっぱさを感じたことはほとんどありません。しかし、台北は中国福建省や山東省から移り住んだ人々がたくさんおり、北部ではしっかりとした味付けの中国料理を食べる機会が他の地域より多いことが「鹹」(しょっぱい)と言われるようになったという説もあるのだとか。

所説ありますが、さまざまな地域出身の人が集まる台北の味付けは比較的万人受けするマイルドな仕上がりのものが多い印象です。

麺料理 米粉湯

米が原料の麺、ビーフン(米粉)。日本でもスーパーに並び比較的メジャーな麺料理ですが、台湾北部の米粉湯(汁ビーフン)は、日本人が想像するビーフンとは少し異なります。

見た目は短い細うどんくらいの麺で、基本のスープは豚骨をベースとしたスープですが、台北近郊の「基隆」という港町では、近海でとれる新鮮な魚介類を使用した海鮮ベースのスープにエビやイカ、すりみが入った米粉湯を提供している店もあります。いずれも刻みセロリがのっているのがこの料理の特徴で、濃厚なスープにセロリの爽やかな風味と歯触りがいいアクセントになります。

筆者おすすめのお店は新北市の「七張米粉湯」。名物の米粉湯のほか、カキのオムレツや独特な食感がクセになる台湾野菜の龍鬚菜(ハヤトウリの葉っぱ)のニンニク炒めなどもあり、色々な台湾グルメを食べられます。夜遅くまで営業しているので夜食やお酒を飲んだ後の〆にも最適です。

七張米粉湯

住所
231新北市新店區北新路一段239號
営業時間
10:30~3:00

米料理 茶葉炒飯

イメージ写真 ©iStock
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お茶の産地としても有名な台北市文山区。この辺りは包種茶という品種のお茶が作られています。そのままシンプルにお茶を楽しむのはもちろん、お茶のアイスやロールケーキなどのスイーツを提供しているお店もたくさんあります!

自然豊かな猫空を散策したあとは台北の景色を見ながらぜひ茶葉炒飯を! え?炒飯に茶葉を入れるの?となかなか想像のつかない料理ですが、味自体はとてもシンプル。茶油と茶葉をご飯と炒めてシンプルに醤油で味付けしたものです。食べるとフワッとお茶のよい香りが鼻を抜ける、産地ならではの一品です。

台湾に移住して間もなくの頃、連れてきてもらった筆者思い出のレストランが「猫空大観園)。料理がおいしいのはもちろん、店内からは夕日や台北101、日が沈むとキラキラ輝く台北市街地を望むことができます。る眺望が美しくにぎやかな台北市街地から離れてロマンチックなひと時を過ごしたいカップルにおすすめのレストランです。ロープウエイ猫空駅からすぐの場所にあるのでアクセスも抜群です!

猫空大観園

住所
116台北市文山區指南路三段38巷22之1號
営業時間
11:00~20:00
定休日
月曜日

馬告(マーガオ)料理 馬告の卵焼き

料理の写真3
料理の写真3

全体的にスパイスを多用することが多い台湾料理ですが、特に一部の地域でよく使われるスパイスというのがあります。馬告(マーガオ)は台湾原住民のタイヤル族がよく利用するスパイスで、一見胡椒のような見た目なのですが、口に入れるとレモングラスのような爽やかな風味が特徴の山椒の一種です。

烏来(ウーライ)という町にはタイヤル族が多く住んでおり、町のお店では馬告を使用した料理をよく見かけます。
何度も烏来に足を運んでいる筆者がおすすめしたいのは「老街野菜屋」。馬告をふんだんに使った卵焼きが絶品で、優しい味付けの卵焼きの中にふんだんに馬告が入っています。チマキにも馬告が入っており、口に入れた瞬間、馬告の爽やかな風味が口中に広がり「あぁ、烏来に来てよかった!」と毎回思います。ディープな台湾を知るには原住民料理を味わうべきといっても過言ではありません。

老街野菜屋

住所
233新北市烏來區烏來街70號
営業時間
11:00~20:00
定休日
水曜日

中部エリア

台湾料理の話になると一般的に北部と南部のふたつに分けて話をしがちなのです。そこで、台中生まれ台中育ちの筆者の友人に中部の味付けについて聞いてみることに。返ってきた答えは「南部ほど甘さは感じられず、どちらかというと北部の味付けに近い。ただ、中部といってもさまざまな地域があるのでそれぞれの郷土料理を楽しんでもらいたい」。とのことでした。また、端午の節句の季節となると、北部と南部のように中部独自のチマキの作り方食べ方がある点も興味深いです。

米料理 焢肉飯(コンローファン)

台湾名物のどんぶりご飯といえばルーロー飯。一般的に日本人が想像するのは豚の細切りや細切れが醤油・香辛料で甘辛く煮こみご飯にかけて食べる料理ですが、台湾中部の彰化でソウルフードとして愛されている焢肉飯(コンローファン)はトロトロに煮込まれた豚の角煮がご飯にドーンとのった見た目のインパクト強めの料理です。台湾ではルーロー飯の表記が北部(魯肉飯)と南部(肉燥飯)で異なったり、同じ表記でも違う料理を意味していたりするので、ちょうど中間にある彰化ではこの形が根付いたのかもしれませんね。

「黒松趩仔麺」の焢肉飯の豚肉にはしっかりと色がついているものの、お肉自体の脂身も少なく、あっさりと食べられるのが特徴です。日本で同様の料理はどんぶりで提供されることが多いですが、台湾では「小吃」という軽食文化もあってか、お茶碗くらいの大きさで提供されます。
値段も45元(約200円)と良心的なので、町歩きをして小腹が空いたときに食べるのもおすすめ。オプションで煮卵をプラスすることもできます。

黒松趩仔麺

住所
505彰化縣鹿港鎮大明路
営業時間
16:30~0:30

でんぷん料理 肉圓(バーワン)

肉圓とはサツマイモの粉で作られた透き通った皮にシイタケや肉などの具を包んで蒸し、ソースとパクチーをかけた彰化名物料理のことです。某アニメーション映画で主人公のお父さんが屋台でおいしそうに食べていた料理は肉圓がモデルになっているのでは? といわれています。

彰化で4代続く老舗の「正彰化肉圓」では、麻辣肉圓や貝柱入りの肉圓、卵黄の肉圓などたくさんの種類の肉圓があります。筆者一押しはシイタケ肉圓50元(約230円)。肉圓の中には細かく切ったシイタケとタケノコがゴロっと入っています。皮は他店より薄めですが、独特のわらび餅のようなプルンとした食感と具の噛み応えある食感、濃厚なソースがマッチします。味よし、食感よし、ボリュームよし! の3拍子揃った一品です。
日本ではなかなか食べる機会のない肉圓、ぜひ映画のシーンを回想しながら味わってみてください!

正彰化肉圓

住所
500彰化縣彰化市陳稜路203號
営業時間
10:00~20:00
定休日
水曜日

麺料理 福州乾意麺

台湾には、冒頭でお伝えした米粉湯をはじめ、米干、酸辣粉、牛肉麺など味付けや麺の原料、形状など無数の麺料理が存在します。筆者は台湾に住み始めて各地で色々な麺料理を食べてきました。

そんな筆者が台中を訪れたらぜひ食べてもらいたいのが福州乾意麺です。特に一押しなのは、日本のガイドブックにもたびたび取り上げられている、1917年創業の老舗「阿棋三代福州意麺老店」!台鐡台中駅から徒歩で10分程の場所にある台中第二市場のなかにお店があります。台中第二市場は“食の宝庫”ともいわれており、台湾全土から色々な食材が集まります。立地的にもおいしいものが出てくる予感しかないですね。

阿棋三代福州意麺老店は現地の言葉が分からなくても安心の注文票に記載するスタイルです。漢字で何となく推測できますが、注文が難しそうであれば「あの人が食べているものと同じものを」とジェスチャーで伝えてみましょう。
筆者一押しは、小麦粉と卵のみで作る平打ち麺の「乾意麺」。麺に醤油で煮込んだ黒豚を絡めて食べます。スープは無く、まぜそばスタイルの料理で、やさしい味付けの中に肉の旨みをしっかり感じます。庶民的なお店なので、周りは結構騒がしいですが台湾の日常の雰囲気の中で食べるいっぱいは格別です。

阿棋三代福州意麺老店

住所
400台中市中區三民路二段1之7號台中第二市場内
営業時間
10:00~17:00

南部エリア

「食は台南にあり!」といわれるほど、南部、特に台南料理は注目されています。南部の味付けの特徴は何といっても甘いということです。これはその昔、台南に製糖工場があったことや、甘ければ甘いほど富の象徴だという考えが根付いていたからだといえます。その影響で現在でも南部は甘めのものが多く、ドリンクスタンドでの注文も要注意です。北中部でドリンクを砂糖半分で頼んでいても、同じものを南部では一分糖(砂糖はほんの少し)で頼まないと、相当甘くなってしまします。ですが、全ての食べものが甘いわけではありませんのでご安心ください。

米料理 火鶏肉飯

嘉義に行ったら外せないのが火鶏肉飯。これは細かくした七面鳥にネギや生姜、フライドエシャロットなどの香ばしいタレがかかった料理です。第二次世界大戦後に駐留していたアメリカ軍が持ち込んだ七面鳥が台中近郊で大量に養殖され、当時あまり手に入らなかった鶏肉の代わりに食べられていたため台湾中部では七面鳥がメジャーな食材になったといわれています。元々台湾にはルーロー飯のようなご飯+肉の料理があり、そこに発想を得てできた料理が火鶏肉飯なのだそう。

「嘉義車頭火鶏肉飯」は嘉義駅の目の前という立地から、お客さんがひっきりなしに来ます。ボリュームもあり何といっても火鶏肉飯30元(約140円)~とコスパが最高!40年以上の歴史があり、地元っ子にも愛されています。
店内にはテーブル席がありますが、筆者はよく駅弁用にお弁当を買って車内で食べています。おいしい料理と車窓から見える景色は素敵な旅の思い出になること間違いなしです!駅前にはほかにも火鶏肉飯がたくさんあり、超激戦区の様相を呈しています。お店によって味付けや値段が異なるので、好みのお店を探すのも楽しいかもしれません!

嘉義車頭火鶏肉飯(永香珍食堂)

住所
600嘉義市西區中正路707號
営業時間
9:30~20:30
定休日
水曜日

スープ料理 牛肉湯

台南を代表する汁物料理といえば牛肉湯(牛肉スープ)! 牛骨や野菜からとった熱々の出汁に薄くスライスした生の牛肉を入れて肉に火を通して食べます。昔から畜産業が盛んで新鮮なお肉が手に入りやすかった台南ならではの料理です。

そんな台南に行ったら絶対に外すことのできない牛肉湯の有名店は「西羅殿牛肉湯」。ここは朝早くから営業しているので、出勤前のサラリーマンやOLが立ち寄って朝食を食べています。台湾では職場や学校で朝食を食べる人もいるので、テイクアウトしている人も多く見かけます。そのため店は朝から大賑わいです。朝から現地の方に混ざって朝食を食べ、台南観光を充実させましょう。

西羅殿牛肉湯では牛肉スープを頼むと白ご飯かルーローファンがセットでついてきます。ほかの店ではそれぞれ単品で頼む場合が多いので、ちょっと珍しいかもしれません。新鮮な牛肉を使ったスープは臭みが一切ありません。 筆者的にはサイドメニューが充実しているのもうれしいポイントです! 朝の営業時間が早い分、昼過ぎには閉まってしまうので注意してください。

西羅殿牛肉湯

住所
704台南市北區公園南路98號
営業時間
5:00~13:00(木曜日のみ4:30~)
定休日
火曜日

蒸し料理 エビの蒸し餃子

筆者が高雄に行くたびに訪問している「厚得福湯包麺食」。地元の方に愛されるローカルな食堂といった感じのお店で、リーズナブルにおいしい料理を少しずつ食べることができます。すでにメジャーどころの小籠包店を行きつくした台湾グルメ玄人の方をはじめ、安くておいしいものをたくさん食べたいという学生旅行の方にもおすすめです。

いつ訪れても混雑している店内。テーブル席や大きな円卓は混雑時は相席になります。注文は紙に書いてオーダーするスタイル。メニュー表には日本語表記もあるので言葉が話せない場合でも心配ありません。日本のレトロな食堂のように、小皿料理は自分で取りに行きます。常時たくさんの種類のおかずが用意されているので、席に着いてからあまり待たずに食事が始められるのも嬉しいですね。飲み物(紅茶と豆乳)はセルフサービスですが、両方とも砂糖がすでに入っているのでご注意ください。

数ある料理の中でも筆者がおすすめなのは蒸しエビ餃子!蒸したてがすぐにテーブルに届きます。数あるレストランで色々な蒸し料理を食べてきましたが、この店の熱々ぷりぷりのエビの蒸し餃子は一押しです。

厚得福湯包麺食

住所
802高雄市苓雅區成功一路214號
営業時間
11:00~21:00

今回は台湾各地のスペシャルな皿をご紹介しました。台湾料理と一括りにいってもたくさんご当地グルメがありますし、味付けも地域ごとに異なります。台湾旅行ではぜひ台湾各地のスペシャルな料理を体験してみてくださいね。

監修:地球の歩き方

筆者

台湾特派員

みみ

2020年7月より台湾生活開始。ライター・ブロガー・日本語教師として活動中。

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