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フランス中部ロワール河畔にあるオルレアンは、ジャンヌ・ダルクにゆかりの深い町として有名です。ジャンヌ・ダルクとは、14〜15世紀フランスとイングランドの間に起きた百年戦争末期において、イングランド軍に包囲されていたオルレアンを解放する立役者となった少女です。そのジャンヌ・ダルクを讃える祭りが、毎年4月末から5上旬までオルレアンで開かれています。
祭りはすべて、百年戦争時のジャンヌ・ダルクの動きに合わせて行われます。ジャンヌ・ダルクは神の命を受けたと確信し、皇太子シャルル(後のフランス王シャルル7世)の軍に参加しました。オルレアン包囲戦にてイングランド軍に対し劣勢だったフランス軍を救ったのです。これをきっかけにフランスは挽回し、王位継承権を奪われていた皇太子シャルルは、フランス東部ランスで戴冠式を行うことができました。
そのジャンヌ・ダルクが、オルレアンへ入城した4月29日の夜が同祭の初日です。そしてイングランド軍が撤退した5月8日まで、日付に従いオルレアン市内でイベントが行われます。期間中はパレードのほかに、中世市場(サント・クロワ大聖堂横のサント・カンポで開催)など、各種イベントが開かれています。
現在のフランスでは、ジャンヌ・ダルクは歴史上の一人物だけにとどまらず、愛国者の象徴とされています。祭り最終日は、サント・クロワ大聖堂での式典を皮切りに、オルレアン市長の挨拶、フランス軍による軍事パレード、ジャンヌ・ダルク一行の時代行列と続きます。
フランス軍による軍事パレードは、マルトロワ広場からサント・クロワ大聖堂の間で行われます。このパレードは、毎年7月14日にパリで行われる革命記念日の軍事パレードに次ぐ規模の大きさです。空軍の戦闘機がオルレアンの空を編隊飛行します。
ジャンヌ・ダルクの時代行列はマルトロワ広場を出発後、オルレアン市内の指定コースを通り、サント・クロワ大聖堂までを練り歩きます。その年に選ばれた少女がジャンヌ・ダルク役を務めます。
すでにふれたサント・クロワ大聖堂は、オルレアンの中心部に建つゴシック建築の建物です。聖堂内には19世紀に描かれたジャンヌ・ダルクの生涯をモチーフにしたステンドグラスが飾られています。
また同市内マルトロワ広場にはジャンヌ・ダルクの像がありますし、その近くには「ジャンヌダルクの家」と名付けれれた建物があります。ここはジャンヌ・ダルクが、1429年4月29日から5月9日まで滞在したと言われていますが、オリジナルの建物は第二次大戦時に焼失しており、現在のものは戦後に再建されたものです。
オルレアンはパリの南西約130キロに位置しており、パリ・オステルリッツ駅から在来線で約1時間の距離にあります。オルレアン駅から観光スポットやパレードの場所となる市内中心部までは徒歩圏内です。また市内にはトラムも走っています。
パリから日帰り圏内ですので、パリに宿をとって向かうことも充分に可能です。見るだけでも楽しいジャンヌ・ダルク祭ですが、当時の様子やイングランドとの関係、フランスにおけるジャンヌ・ダルクの位置づけなどを頭に入れつつ参加すると、さらにいろいろなことが分かります。ぜひ現地で中世のフランスに思いを馳せてみてください。