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南木曽町は長野県の南西部・木曽谷の南端に位置し、町並み保存の先駆けとなった「妻籠宿」、国内最大級の木橋吊り橋「桃介橋」などの文化遺産や「中山道」、「柿其渓谷」、「田立の滝」などトレッキングに人気のスポットが数多くある町です。名古屋から車で約2時間で辿りつける南木曽町の魅力について紹介します。
代々脇本陣・庄屋・問屋を務めた家で、現在の建物は明治10年にそれまで禁制であった桧をふんだんに使って、城郭を模して建てられたものです。その優れた建築技術などが評価され2001年6月に国の重要文化財に指定されました。島崎藤村の初恋の人「ゆふ」さんの嫁ぎ先でもあります。また、ここでは、冬になると格子の間から囲炉裏に向けて光が差し込み、幻想的な光景が見られます。
この行列は、1968年に妻籠宿の保存事業が始まったのを記念して毎年11月23日の「勤労感謝の日」に行われています。行列のなかでも木曽馬に乗った花嫁、仲人、長持ちを担いだ一行は、山駕籠に乗った子供たちと共にひときわ人気があり、カメラマンの格好の被写体となっています。
■妻籠宿
・住所: 〒399-5302 長野県木曽郡南木曽町吾妻2159-2
・URL: http://www.tumago.jp/
「電力王」と敬称された福沢桃介が、読書発電所の建設資材運搬用に架設した吊橋で、全長247mと日本でも最大級の木橋です。1994年には、国の重要文化財に指定されました。橋の中央に資材運搬用のトロッコのレールが敷かれていたため、その痕跡が分かるように復元されています。
福沢桃介の旧別荘で大正8年の建築です。桃介と川上貞奴の写真や遺品、資料を展示しています。大正時代の貴重な西洋風別荘建築としても知られているこの記念館に一歩足を踏み入れると、桃介と貞奴が過ごした大正ロマネスク時代にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。記念館横には、妻籠宿の本陣跡地にあった明治時代の御料局妻籠出張所の建物を復元した山の歴史館があり、木曽谷の山の歴史と林政資料が展示されています。
4月中旬になると、桃介橋がある天白公園の高台に群生する約400株の「ミツバツツジ」が鮮やかなピンク色の花を咲かせます。ミツバツツジの開花時期にあわせて「なぎそミツバツツジ祭り」が開催され、まつり期間中には地元の物産やツツジ苗などが販売されています。
江戸時代、江戸と京を結んだ官道が中山道です。沿道には、古き時代を身近に感じられる数々の見どころがあります。昔の旅人の心で歩いてみてはいかがでしょうか。
妻籠と馬籠との中ほどに、一石栃白木改番所(木材・木工品などの出荷取締りをしていたところ)があります。明治2年まで、木曽五木(ひのき・さわら・あすなろ・こうやまき・ねずこ)をはじめとする伐採禁止木の出荷統制が行われていました。また、ここには無料休憩所「一石栃立場茶屋」があり、多くの旅行者が利用しています。
男垂滝バス停下に、「男滝」「女滝」があります。この滝は、吉川英治の小説『宮本武蔵』の舞台となった滝です。また、滝壺に金の鶏が舞い込み、そこから時を告げる鶏の声がしたという倉科様伝説が伝えられています。
木曽川沿いの中山道は、水害でたびたび通行不能となり、その迂回路として三留野から野尻へと峠越えをする与川道ができました。等覚寺の円空仏など、歴史の名残をとどめた場所を結ぶ道が、山里や山腹を縫って続きます。苔むした街道脇の石や落葉が周囲の静寂の中で、道の盛衰を語りかけてくるような絶好のハイキングコースです。
柿其渓谷は、数ある木曽路の渓谷の中でも特に美しいと言われ、吊橋より上流8kmにわたって、深い谷を埋めた巨大な花崗岩が美しい滝や瀬や淵を織りなす景勝地です。春にはツツジ・シャクナゲ、秋には紅葉が旅人の目を楽しませます。一般には、十二兼駅から自然歩道を通って、牛ヶ滝まで4.5km、さらに奥へは林道を歩いていきます。特に、恋路のつり橋から牛ヶ滝までの約300mの遊歩道がおススメです。
柿其渓谷に行く途中に、柿其水路橋があります。桃介橋・読書発電所とともに、国の重要文化財に指定されています。現存する戦前の水路橋の中では最大級です。
「田立の滝」は、大滝川の渓谷にかかる無数の瀑布を総称で、日本の滝百選に認定されています。壮大な滝の流れは周りの緑とマッチして、神秘的で感動的な光景です。特に主瀑である天河滝は、高さ40mの花崗岩壁の頂上から大滝川本流が崩れるように落ちるさまで、圧巻の光景です。四季折々の魅力を感じながら散策などをお楽しみください。
不動岩上の展望台からは、高峰山・恵那山・笠置山、よく晴れた日には、遠く名古屋市も眺望できます。
田立の滝がある地区で行われるのが、花馬祭りです。五色の紙で稲穂を形取って作られた花が、3頭の木曽馬の蔵に飾られ、笛太鼓とともに田立駅前広場から五宮神社まで練り歩きます。行列が境内を3回廻り終えると、境内で見ていた人々は、一斉に馬に飛びついて花を奪い合います。取った花を家に持ち帰って、家の入口に挿すと家内に厄病神が入らないといわれています。
今回紹介した以外にも南木曽町には、まだまだ素晴らしい魅力や観光名所、特産品などがたくさんあります。日本の原風景が残る南木曽町に出かけてみませんか。
■南木曽町観光協会
・住所: 〒399-5301 長野県木曽郡南木曽町読書3668-1
・URL: http://www.town.nagiso.nagano.jp/kankou/
※本記事は、「日本の歩き方」内、「おでかけガイド」に2017年2月22日に掲載されたものです。