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岐阜県飛騨市神岡町は、かつて鉱山町でした。1874年に三井組(現、三井金属)が亜鉛を採掘する近代的な鉱山の経営をはじめた「神岡鉱山」の企業城下町でした。当時、東洋一の規模の亜鉛の採掘量を誇りましたが、2001年6月に亜鉛の採掘が中止される130年間にわたって、鉱山とともに街は発展してきました。鉱山開発によって生まれた鉄道は、鉱山の廃止に伴って姿を消しましたが、その廃線跡は、楽しいアトラクションに生まれ変わっています。また、鉱山の巨大な地下空間には、世界最大の地下ニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」が作られ、2002年に小柴昌俊さんが、2015年には梶田隆章さんがノーベル物理学賞の受賞に至った研究拠点にもなっています。現在でも鉱山が大きな影響を与え続けている神岡町のおすすめ観光・グルメスポットなどを紹介します。
鉱山の町としての栄華を今に伝え、「昭和の香り」が色濃く残っている神岡町に、町歩きの達人がいます。「神岡の生き字引」として、84歳の現役ガイド・茂利昌彦さんが神岡の町を案内してくれる町歩きツアーがあるのです。ツアーに参加すれば、ディープな神岡の歴史や文化、魅力を知ることができるでしょう。
かつて、鉱山で命を懸けて働いていた男たちのために、神岡には「花町」が形成されました。小さな町に民家や商店がひしめき合うように建ち並び、遊郭街もつくられました。昭和初期の頃だといいます。待合茶屋跡や料亭跡などの建物が往時の風情で保存されています。もちろん、今は遊郭はありませんが、花街の名残や風情が今でもしっかりと残っているのです。
ガイドの茂利さんは若かりし頃に、神岡の花街を実体験したことがあるといいます。経験者だから語ることができる、花街独特のルールや歴史、当時の生活の様子などの昭和の情景を案内してくれました。
町歩きツアーでは、実際に遊郭として使われていた建物内の見学も行われます。2階建ての木造の建物では、「なぜ、階段が急な造りになっているのか」「建物内に中庭がある花街ならでは理由とは」など、知れば納得のディープな知識を茂利さんをはじめとする町歩きガイドが披露してくれます。これらの答えは、現地で確認してみてください。
豊富で綺麗な水に恵まれた神岡では、町を歩くと「水屋」とよばれる住民が共同で水を利用できる施設が点在しています。おいしい水で喉を潤しながら散策すれば、神岡の町を深く理解し、体験できる有意義な時間となるでしょう。
神岡の花街としての歴史だけではなく、鉱山や神社・仏閣にも造詣が深い茂利さんの町歩きツアーに参加してみませんか。なお、ツアーの利用には事前に電話での予約が必要です。ツアー内容や料金などは、ホームページを確認してください。
■神岡街歩きガイド
・URL: https://www.hida-kankou.jp/spot/300
鉱山の町として繁栄を極めた、花街の風情が残る町並みのなかに、フランス料理店「ビストロ シェ・ボア」があります。フレンチをベースに、地元の山で獲れたジビエや旬の野菜などを巧みに使い、和のテイストを織り交ぜた「飛騨フレンチ」を創り出しています。山男の風貌で「仕事人」な主人とやさしい風貌の女将、さらに玄関先では、人懐っこいマルチーズが出迎えてくれました。
バーカウンターとテーブルが数席程度の小さな店内は、暖かみのある雰囲気を醸し出しています。ランチ時の訪問で、3品のコース料理をいただきました。
一品目は、地元の「寒干し大根」に飛騨ネギなどをじっくり煮込んで味を染み込ませたスープです。「寒干し大根」とは、輪切りにした大根を丁寧に串に刺して、寒中にさらして干し上げたものです。昔から飛騨の人たちに愛されてきた保存食でもありました。冬が寒い飛騨だから作ることができる名品です。フレンチでありながら、田舎風の煮物のようでもあって、どこか懐かしくて、おいしいスープでございました。
メインはジビエ料理です。繊細で美しい盛り付けが食欲をそそります。臭みが一切なく、肉の旨みが引き立てられています。また、肉の下に敷かれた緑色のソースは地元で採れたばかりのフキノトウが使われています。ほのかな苦味がジビエにマッチしていました。春を感じさせるひと皿でした。
デザートも洗練された盛り付けで登場です。画像右側は地元産の「エゴマ」を使ったムースです。ムースを口の中に運ぶとエゴマの香りが広がって、絶品。エゴマは飛騨地方では「あぶらえ」と呼ばれていて、血液をサラサラにするというα-リノレン酸を多く含むシソ科の植物として、飛騨の特産品にもなっています。
ランチ・ディナーとも事前の予約時に、好みの食材や予算などを伝えるとアレンジを加えてくれることも。料理のことは「仕事人」の主人にお任せして、地元の食材を使った絶品「飛騨フレンチ」を堪能しましょう。
■ビストロ シェ・ボア
・住所:〒506-1161 岐阜県飛騨市神岡町船津1966
・URL: http://chezbois.hida-ch.com/
通称「ガッタンゴー」は神岡鉄道の廃線跡を自転車でこぎながら鉄路の上を運転手気分で走ることができるアトラクションです。年間4万人が利用する人気のアトラクションに、2018年4月21日から新登場する「漆山 渓谷コース(渓谷コース)」が「開業」します。「渓谷コース」を徹底解説した記事は、以下を参照ください。
▷【関連記事】岐阜・神岡鉄道の廃線跡を走る!?「レールマウンテンバイク ガッタンゴー」漆山 渓谷コース徹底ガイド('18/4/14公開)も要チェック!
「ガッタンゴー」体験を終えたら、ガッタンゴーの「まちなかコース」の起点となる「奥飛騨温泉口駅」に隣接するカフェ「自家焙煎珈琲あすなろ」に立ち寄ってください。ウッド調の落ち着いた雰囲気の店内で、窓からは奥飛騨温泉口駅のホームを見ることができます。
「自家焙煎珈琲あすなろ」は、店の焙煎士がコーヒーの味を良くするため、欠点豆を手作業で取り除いた、こだわりのコーヒーが楽しめる「コーヒー通」御用達の名店なのです。
「自家焙煎珈琲あすなろ」では、「国鉄時代の駅舎カフェでコーヒーの真髄に迫る!18種類から『私の珈琲』をみつけよう」という体験プログラム(*)も行われていて、素人でも分かりやすくコーヒーについて学べると好評です。焙煎の時間を変えた浅煎り、中煎り、深煎りの3種類のコーヒーを飲み比べながら店の焙煎士がコーヒーの魅力を熱く伝授してくれます。用意された18種類の豆から、自分好みのコーヒーを見つけてみましょう。もちろん、観光の合間のコーヒータイムとしても手軽に利用できます。奥飛騨の山の中で味わう本格コーヒーは、いかがでしょうか。
(*)「国鉄時代の駅舎カフェでコーヒーの真髄に迫る!18種類から『私の珈琲』をみつけよう」は、「飛騨みんなの博覧会」のプログラムとして開催(不定期)。
■自家焙煎珈琲あすなろ
・住所:〒506-1147 岐阜県飛騨市神岡町東雲1348−2
・URL: https://www.asunarocoffee.com/
5000以上の全国各地の達磨(だるま)が展示されている洞雲寺には、巨大な「立ち達磨」もあります。洞雲寺奥の小高い山の頂上付近に、高さ16.5mという「日本一の立ち達磨」がそびえています。独特の風貌がコミカルにも感じる達磨です。
また、地元の有志が「立ち達磨」で町おこしをしようという取り組みを2017年から始めたのだとか。「立ち達磨」の視線の方角に、自由の女神が立つニューヨーク・リバティー島があることが分かり!? 「立ち達磨」から自由の女神あてて「ラブレター」を送るのだとか。今は、「立ち達磨」の一方的な片思いのようですが、果たして……。
■日本一の立ち達磨(洞雲寺)
・住所: 〒506-1162 岐阜県飛騨市神岡町朝浦239
岐阜県飛騨市神岡町は鉱山ともに発展し、その「遺産」が今も残る町です。飛騨市神岡町へ出かけてみませんか。
■飛騨市公式観光サイト「飛騨の旅」
・URL: https://www.hida-kankou.jp/