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標高1770mからの景色は圧巻!キツすぎず楽すぎない、夜叉神峠(山梨県・南アルプス市)

地球の歩き方ウェブ運営チーム

地球の歩き方ウェブ運営チーム

更新日
2018年5月25日
公開日
2018年5月25日
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スタイリッシュなデザインは丹下健三氏によるもの

都内で「山に登る」というと、真っ先に思い浮かぶのが高尾山ですよね。春や秋になると観光客で混みあって、山頂まで列ができることもしばしば。山頂は標高599m。正直「もう少し登った感」が欲しい、と思う方も少なくないのでは?今回紹介する南アルプスの「夜叉神峠」は標高1,770mですが、登山口(標高1,300m付近)までは車で登れるため、峠にたどり着くまでの所要時間は1時間。適度な傾斜と自然溢れる環境で、1ランク上の登山を体験できます。

まずは登山の心構えを。「芦安山岳館」

建物に入ると、剥製たちがお出迎え

南アルプス芦安山岳館は、山岳文化の発掘や自然保護、安全普及を目的として南アルプス市ができたのとほぼ同時期の2003年に開館しました。自然・文化に満ちたこの地域の魅力を知ってもらうための施設です。

そもそも人間が「山」というものを意識するようになったのは弥生時代以降とのこと。それまでは、獣を狩りに自らが山に入っていたので「山にいては山とわからず」だったそうです。稲作をするために平地に降りるようになって、初めて「山」というものを客観的にみるようになり、雪がとけて春になると「残雪が雪形となって現れたから田植えの時期だ」と、カレンダーのように暦を認識したそうです。

山の名前の由来、なるほどとうなずくものばかりです

そのような「雪形」を意識すると、山の見方もまた面白くなってきます。例えば上の写真、中岳という山に出現した「舞姫」という雪形です。たしかに、女性が優雅に舞っているように見えます。

山に生息する生き物たちの紹介

また、山のふもとと山頂付近では生息している生物や植物なども大きく違います。そういった知識を持って登山すると、違った発見ができてより面白くなります。この施設はそういった「山の楽しみ方」を教えてくれます。

今いるところはどこかな~

標高1,770mの夜叉神峠にはカメラが設置されており、その日の景色をライブカメラで確認することもできます。山の天気なので、登る頃にはガラっと変わってるかもしれませんが、その変わりようもまた山の魅力です。

今日の峠の天気は?
寄贈された書物の数々

■芦安山岳館
・住所:〒400-0241 山梨県南アルプス市芦安芦倉1570
・URL: http://www.minamialps-net.jp/MUSEUM/

峠からの景色は間違いなし!「夜叉神峠」

いよいよ登山スタート!

山岳館で心の準備ができたら、いざスタート!

峠の景色。ライブカメラではやや曇っていましたが、実際はどうでしょうか。期待を胸に、一歩を踏み出します。

スタート付近でも標高は1,300m。やや涼しめです。

最初の10分ぐらい、傾斜が急なのです。でも「地元の小学生の遠足レベル」と聞いて、キツイとは言えません。しばらくするとなだらかな道になり、周りの緑がキラキラと目に映ります。道は完璧に舗装されているわけではないのですが、歩きやすい印象です。

何気ない植物にもつい目がいってしまいます

足元に目をやると、様々な草花が生息しています。

カエデの木(右下)には鳥の巣箱も

例えば、秋の代名詞「カエデ」。カエデと一言でいっても、細かく分けると何十種類にも分類されます。この道中にも、葉っぱの形が微妙に違ういくつかの種類のカエデが生息していて、みるものを楽しませています。

少しずつ空気が霞んでくるのがわかります

それまで静かだった道中に、突然「コンコンコン」という音が響き渡ります。キツツキが木をつつく音なんです。専門用語で「ドラミング」というそうです。キツツキが生息していること、その音が聞こえるぐらい周囲が静かなこと・・・。これが登山の醍醐味の一つです。

木々や草花を見ながら歩いていたら、あっという間

ゴールが近づいてくる高さになると、こんなに霧が・・・。つい30分前とは、まるで別世界です。

標高が高くなるにつれて、あたりに霧がかかってきて
ようやくたどり着いたものの・・・
この日はあいにくの曇り空
少しねばってみたものの、これが限界・・・

晴れていれば、こんな絶景が目の前に広がるのです!ホントです!

晴れていれば、こんな景色が!

絶景は拝めなかったものの、帰りの道中で、木漏れ日に照らされたスポットが目に入りました。癒されます。

夏より秋~冬の方が空気が澄んでいますので、絶景を見られる確率が高いとのこと。次は冬に再チャレンジしようと思います。

※こちらの登山口までは、2人乗りの電気自動車ではいけますが、1人乗りでは馬力が足りず、登ることができないようです。ご注意を。

神秘的な木漏れ日に、癒されて

■夜叉神峠
・住所:〒400-0241 山梨県南アルプス市芦安芦倉
・URL: http://www.minami-alpskankou.jp/yashajinn.html

疲れた身体をゆったり癒す「芦安温泉・岩園館」

芦安温泉・岩園館

夜叉神峠の登山口から車で15分ほどのところにある「芦安温泉・岩園館」。登山で疲れた身体を癒す日帰り温泉としてはもちろん、余裕を持ってゆっくり宿泊することもできる旅館です。

「源泉100%かけ流し」の温泉なので、人の手は加えられていません。少しぬるめのお湯に浸かって目を閉じると、さっきまでの山々の景色が思い出されます。

内風呂で先に汗を流して・・・
開放感のある露天風呂へGO!

食事の方も山梨県らしく、川魚、旬な山菜やフルーツなど、色とりどりの料理を味わうことができます。

まぐろとあわびは、海のない山梨県での定番のご馳走!?
食事会場には地元ならではの置物が

清潔感のある部屋では、ソファで外の景色を眺めながらくつろいでもよし、畳でテレビを見ながら過ごすもよし、気分に合わせてのんびりすることができます。

清潔感のあるお部屋

■芦安温泉・岩園館
・住所:〒400-0242 山梨県南アルプス市芦安安通588
・URL: http://www.iwazonokan.com/

<遠くからみるのもいいけれど、やっぱり登ってこその山>

登山というと少し構えてしまう方もいるかもしれませんが、今回紹介した夜叉神峠は、時間的にも難易度的にも非常に適度な場所ではないでしょうか。山に登って温泉に入って、時間に余裕があれば周辺のスポットを車で周ってみる。春~夏はフルーツが美味しい季節ですが、秋~冬は景色がキレイ!南アルプスは年間を通じて楽しめる地域です。

※本記事は、「日本の歩き方」内、「おでかけガイド」に2017年6月2日に掲載されたものです。

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