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旅先でお腹が空いたときには、「その地域ならではのもの」を食べたくなります。でも「有名だから」「行列ができるから」でお店を選んで、失敗はしたくないですよね。地域に根ざし、地元に愛されてこその名店。そんな「間違いなし」の店を紹介します。
山梨県といえば、吉田うどんが有名です。かたくてコシの強い麺が特長で、山梨県内にもさまざまな店がありますが、この「たっちゃんうどん」は一口食べたらクセになる味と評判です。
温かい方が美味しさがわかりやすいとのことなので、7月末の暑い日、エアコンのない店内で、「たっちゃんうどん(温)大盛り」を注文しました。
うどんの上に「きんぴらごぼう」が乗っています。甘辛く(といっても結構甘めに)味付けされたごぼう、にんじん、しいたけがじわ~っとお出汁に染み渡ると、新しい味に生まれ変わります。
気づけばお肉が入っていないのですが、ごぼうにしっかり味がついているので、肉無しの物足りなさを全く感じさせません。麺も堅すぎず、筆者にはちょうどよかったです。
甘辛いうどんという点では、すき焼きのシメのうどんのようですが、そんなに味が濃いわけではありませんので、大盛りでも最後まで美味しさを楽しむことができました。
店内はゆったり余裕のある広めの通路。でもテーブル席の間は狭くて、お互いの譲り合う気持ちが大切。こんなところも地元ならではです。店内には、大型のエアコンがありますが、この日は運転なし!エコです!
午後1時を回ってから入店しましたので、テーブル席がちょうど空いていましたが、お昼時は列ができるそうです。市役所に近いこともあり、職員の方もよく利用されるのだとか。
地元の人には、他にもカレーうどんや肉うどんが人気ということですが、次に行ってもまた「たっちゃんうどん」を頼むと思います。大盛りで。トッピングで半熟卵を追加して、途中から崩してみようかな。
■たっちゃんうどん
・住所:〒400-0306 山梨県南アルプス市小笠原985-34
信州といえば今の長野県にあたりますが、山梨(甲斐)を代表する武将・武田信玄は戦国時代に信濃を支配下においたこともあり、その流れで山梨県にも「信州そば」のお店があるのです。
店内は、舌だけでなく目も楽しませてくれます。木のぬくもりが感じられる店内には、思わず目を奪われる味のあるインテリアも。
席について出てきたのが、そば茶と昆布。このような気遣いに、旅の疲れも癒されます。
注文したのは「小海老のかき揚げ丼セット」。おそばと丼のセットは数あれど、小鉢&デザートがつくあたりが店主のおもてなし精神でしょうか。先ほどのお茶もそうですが、細かい気配りが本当に嬉しいお店です。
お蕎麦の方はというと、「直接農家から仕入れているソバの実」を、「石臼で自家製粉」し、「月に2~3回現地へ汲みに行く雪解け水」を使い、『挽き立て』『打ち立て』『茹で立て』の麺を、「自家製の秘伝のめんつゆ」と「こだわりの大王山葵」でいただく。
店主のこだわりがたくさん詰まった絶品です。これはもう、食事だけじゃなくて立派な観光スポットです。
そばだけじゃなくて、かき揚げ丼もとっても美味しいんです。表面はサクサクでボリュームも満点。「そんなに食べられないわ」という方は、ご飯を抜きにしてかき揚げを単体で食べてみるのもいいかもしれません。
■信州そば処 玄
・住所:400-0213 山梨県南アルプス市西野2084-5
さくらんぼ、もも、ぶどう、いちご・・・。南アルプスで採れるフルーツは、そのまま食べてももちろん美味しいのですが、素材をいかしてタルトとして提供しているのが「アニーズカフェ」です。爽やかな外観がなんとも素敵です。
今にも風が吹き抜けそうな海辺のリゾートをイメージさせる店内を見回すと、若いカップルが多い印象。地元の定番デートスポットになっているようです。
季節モノのメニューも含めると、その種類はなんと50種類以上といいます。旬なフルーツや地元の素材に合わせ、クリームのバランスをとるなどこだわりも強く、そのカラフルな見た目は見てるだけでも幸せな気分になれます。カップルに人気があるのもうなずけます。
山梨の人は普段から美味しいフルーツを食べていますので、こういう場であえてフルーツが乗っているものを選ばないという噂をチラっと耳にした筆者は、あえてプリンが乗ってるものをチョイス。フルーツの甘さや酸味とはまた違う、まろやかな美味しさでした。これだけ種類があったら何回来ても飽きないです。目指せ全種類コンプリート。
■アニーズカフェ
・住所:〒400-0211 山梨県南アルプス市上今諏訪435-1
・URL: http://annies-cafe.net/
山梨には美味しい食材だけではなく、雄大な自然や素晴らしい歴史・文化があります。そういった魅力をパンに込めてお届けしているのが「ベーカリー ルーブル」です。味はもちろんのこと、地域に由来のある変わったパンを販売しています。
山梨県では多くの縄文時代の遺跡が発見されていて、いくつもの素晴らしい土器や土偶が見つかっています。
縄文時代からたくさんの人が住んでいたことや、縄文文化が全国でも大きく華開いた土地であったことなどがわかります。それを説明する資料館や博物館も多く存在しているのです。
山梨が「縄文王国」であるということをパンを通じて発信しようと、この「土偶ちゃんパン」はつくられました。ただ形を似せただけではありません。縄文時代に食べられていたとされる食材を使用し、世界的にも有名な「鋳物師屋遺跡(いもじやいせき)」の妊婦の土偶の顔を忠実にかたどっています。
ほかにも、地元では親しみのある「櫛形山」の焼印を押した櫛形山あんぱんや、富士山に次いで日本で2番目に高い山「北岳」をモチーフにした「北岳カンパーニュ」など、地域に根ざしたパンを通じて、地域の魅力を発信する斬新なベーカリーです。変わった珍しいパンをつくるのではなく、しっかりストーリーのあるパンを提供しています。
ちなみに、この日は「職業体験」の一環で、地元の高校生が2名、頑張ってパン作りのお手伝いをしていました。そういった研修を受け入れること自体が、地域に根ざしている証拠ですね。
■ベーカリー ルーブル
・住所:〒400-0306 山梨県南アルプス市小笠原1654-4
・URL: http://bakery-louvre.com/
<食を通じて地域の魅力に触れる>
地域の素材をいかしたものを食べることは、ただ味を楽しむだけでなく、地域の文化や歴史にも触れることができます。せっかくの旅行の機会、食べ物を通じていろいろ学んでみるのも面白いでしょう。南アルプスを訪れた際は、これらのお店にぜひ立ち寄ってみてください!
※本記事は、「日本の歩き方」内、「おでかけガイド」に2016年8月15日に掲載されたものです。