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「南アルプス」の名が示す通り雄大な山々に囲まれたこの地では、山をメインにみるのではなく、山とコラボする他の対象にスポットを当ててみるのがオススメ。どこを切り取っても山々が入り込みますので、季節によって景色も全く変わります。夏は緑、秋は紅葉、冬は雪、写真を撮るのが好きな方にはたまらない場所でしょう。今回は、山梨県南アルプス市のオススメ絶景スポットの紹介です。
まず訪れたのは、ここ「中野の棚田」。地元ではフォトコンテストの舞台になるぐらいの絶景スポットです。ここのオススメは、棚田越しに見える富士山です。
これだけ水田があるのに、山梨産のお米ってあまり聞かない印象があります。地元の方に聞くと、出荷しないで自分達でほとんど消費するんだとか。
ちなみに、こちらの棚田は、日本の棚田100選には選ばれていません。知られざる名所です。
景観を大切にする地元の方々は、地道な努力を続けています。このガードレールもわざわざ茶色で上塗りしたそうです。農家の方の迷惑にならないよう、近くに駐車場もありません。お立ち寄りの際は、500mほど離れた場所にある駐車スペースを利用ください(地元の方々の努力に、マナーで応えましょう)。
雲がかかったときに下から見上げる高台の家は、地元では「天空の住宅」と呼ばれているんだとか。斜面が急な道も多く自転車で登るのがキツイため、「市外への通学の足として初めて自転車を購入した」なんて高校生もいるようです。筆者は、レンタルした電気自動車でここまで登りました。電気自動車をレンタルできる南アルプスゲートウェイから約20分で行けちゃいます。
■中野の棚田
・住所:山梨県南アルプス市中野
中野の棚田は、富士山がみえるということで比較的知名度はあるようですが、筆者が密かに気に入ったのが「ほたるみ橋公園の遊歩道」です。
上から見下ろすとこんなにキレイな棚田の景色。ここから降りて歩くのが、ここの面白さです。しっかり整備された遊歩道で、石垣と柵がとてもスタイリッシュです。
遊歩道らしく、多くの生きものが生息しています。アマガエルは葉っぱの上だけではなく、足元にもいました。踏まないように注意です。
もう少し時期が早ければ、蛍が見られるようです。中野の棚田から約10分。こちらもぜひ立ち寄ってみてください。
■ほたるみ橋公園
・住所:山梨県南アルプス市平岡・上市之瀬地内
標高900mほどの高さにある伊奈ヶ湖は、南と北の2つにわかれた湖です。山梨県で湖といえば、富士五湖が圧倒的に有名ですが、この伊奈ヶ湖には他にはない良さがあります。
それが、小さいからこそ感じられる山との距離感。対岸がこんなに近いので、湖に木々の緑が映りこんでいます。秋になり、これが紅葉になった場面を想像してみてください。この距離感だからこそ感じられる迫力があると思いませんか。
山は季節の移り変わりをわかりやすく教えてくれます。夏なので、秋の紅葉や冬の雪化粧に比べると見た目のインパクトは劣りますが、緑の木々がこれだけ近くに迫ってくると、山の力強さがヒシヒシと伝わってきます。
時期によってはカヌー体験ができるそうですが、この日は白鳥が悠々と泳いでいました。
車で5分ほどの距離にある北伊奈ヶ湖。こちらは近くにロッジがあったり、芝生の広場があったりと、少しにぎやかな場所です。ここをグルっと一周するのが定番のようです。
某製薬会社のCMの舞台にもなった場所です。緑に囲まれた湖の上でのスラックライン、みたことありませんか?
森林浴をすることで、身体の免疫力が上がり、血圧が低下するなどの効果があるといわれていますが、そんな中で「ヨガ」を体験できるコースが密かな人気です。
空気を吸うだけでなく、身体も動かしてリフレシュしてみるのもいいかもしれません。
さきほども触れましたが、ここは標高約900m。麓よりもだいぶ涼しいのですが、電気自動車で登っていくと、だんだん涼しくなっていくのが肌で感じられるんです。
木々や土の匂いまで感じ、鳥や虫の鳴き声もよく聞こえます。電気自動車は、環境にやさしいだけでなく、自然を楽しむのに最適な乗り物だと改めて感じました。車に乗っているのに、自然と一体になったような不思議な感覚です。
■伊奈ヶ湖
・住所:〒400-0317 山梨県南アルプス市上市之瀬
このエリアには31本の松の木があり、河川敷にある樹木としては国内初の「景観重要樹木」に指定されています。
景観重要樹木とは、地域の良好な景観づくりにとって重要であり、景観のシンボルとして親しまれている樹木のこと。観光スポットというよりは、地域の人の憩いの場かもしれません。
こんな景色を楽しみながら、4.5kmの散歩コースを歩いてみるのが地元流ですが、時間がない旅行者の方は、5つあるビュースポットのうち、お気に入りの1つを選んで写真を撮ってみてください。案内図がちゃんとあり、ビュースポットまでの最短ルートがわかりやすく説明されています。
昔、「暴れ川」と呼ばれた御勅使(みだい)川や釜無川に挟まれたエリアは、住む人にとって、川の氾濫が大きな災害の一つでした。
人々は何世代にも渡って堤防をつくり、樹木を植え、神様に祈りを捧げてきたそうです。この松の木は、景観を守るだけではなく、そういった歴史を伝える役割も果たしています。
松並木以外にも、西側の県道沿いには山梨県が育成した「かいミント」が植えられ、「かいミント街道」と愛称がつけらています。
こういった景観を守るため、地域の方々は雑草を抜いたり植樹をしたりと、日々努力をされているそうです。そういう知識を持っていくと、また違った風景に見えるのかもしれません。
■上高砂堤防松並木
・住所:山梨県南アルプス市上高砂
<景観としての山々が、他の対象を引き立たせる。>
どこを切り取っても背景に山々・・・。季節ごとに表情を変えて出迎えてくれますので、退屈することはありません。あなただけの、お気に入りの季節の景色を探してみてください。
※本記事は、「日本の歩き方」内、「おでかけガイド」に2016年8月9日に掲載されたものです。