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「バロック建築の集大成」と言われるベルサイユ宮殿。フランス・パリから南西に約20キロメートル、イヴリーヌ県の県庁所在地ベルサイユにあります。元は当時のフランス国王ルイ13世の狩猟用の離宮だったものを、ルイ14世の命で拡張、増改築が加えられ、現在のような豪奢で広大な建物になりました。ここで繰り広げられた絢爛豪華な宮廷文化は過去のものと思われるかもしれませんが、実は今もパーティーが開かれています。今回は、ベルサイユ宮殿ならではのクラブイベント「ル・グラン・バル・マスケ(大仮面舞踏会)」を紹介します。
ベルサイユ宮殿では、年間を通してさまざまな企画が行われています。その中でも「ベルサイユらしい」のが、バロック様式の衣装を着て行われるイベントです。今回紹介する2018年6月23日(土)に開かれるクラブイベント「ル・グラン・バル・マスケ(大仮面舞踏会)」は、バロック様式の衣装に仮面という、まさにベルサイユ宮殿ならではの催しです。
「ル・グラン・バル・マスケ」が他のクラブイベントと異なるのは、バロック様式の衣装を必ず着なければいけないということ。チケットを買い、バロック衣装のドレスコードを満たせば、誰でも参加可能です。
イベントはベルサイユ宮殿の庭園「オランジュリー」で行われます。23:30から始まり、朝日が昇るまで、かつての宮廷の装いで、シャンパン片手にクラブで踊り明かすという、雰囲気のギャップを楽しめます。
「オランジュリー」とは、ルイ14世の建築家だったジュール・アルドゥアン・マンサールにより設計された場所。冬にオレンジなど異国の木々などを寒さから守るために造られました。美しい幾何学模様をしており、夏には1,200本以上のエキゾチックな木々が屋外に並びます。通常「オランジュリー」への入場は、ガイド付きツアーに参加した場合のみで、自由見学では立ち入りできません。
「ル・グラン・バル・マスケ」は、「大仮面舞踏会」という言葉の響の華やかさだけに限りません。まずアーティスティック・ディレクターおよび振付師として、昨年に引き続きアキム・ゴーラブ(Hakim Ghorab)氏を起用しています。
アキム・ゴーラブは、過去にジャネット・ジャクソンやマライア・キャリーと共に仕事をしたり、カイリー・ミノーグの世界ツアーに2度参加するなどした実力派ダンサーです。2013年には、フランスで成功を収めたミュージカル『ロビンフッド』の振り付けを担当。同ミュージカルの主演は、フランスの人気歌手エム・ポコラだったのですが、2016年にアキム・ゴーラブは、エム・ポコラ自身のツアーにおけるアーティスティック・ディレクターも務めています。
DJおよびプロデューサーには、ミシェル・カニトロ(Michael Canitrot)が選ばれています。同氏は、各国のクラブでプレイをするほか、シャネル、ディオール、カルティエ、プラダといったラグジュアリー・ブランドのための音楽も担当しています。マクロン大統領が当選した2017年のフランス大統領選挙では、開票日にルーブル美術館のピラミッド前で、マクロン陣営の音楽パフォーマンスを担いました。
「ル・グラン・バル・マスケ」そのものも、2ヵ月の準備期間を使って用意され、当日の晩は、50人のダンスパフォーマー、150の衣装、2,500人の参加者で盛大に開催されます。
参加のためのチケットは、価格と内容別に3種類(Simple、VIP、Extravagant)あります。Simpleは、ベーシックなチケットで、98ユーロです。VIPは、188ユーロで、VIPスペースへのアクセスとビュッフェおよびシャンパン2杯が付いてきます。Extravagantは、330ユーロともっとも高価ですが、Extravagantスペースへのアクセスとビュッフェ、予約テーブル、シャンパン飲み放題、専用駐車場、クロークが用意されています。これらチケットは、ベルサイユ宮殿のショーを扱う公式サイトから購入できます。
衣装は、せっかくなら新しく仕立ててみてもいいかもしれません。素敵な記念になります。レンタルしたい場合は、公式サイトにレンタル衣装を扱っている業者のリストがありますので、そこで揃えることができます。そして衣装は、宮殿に入る前から身につけていないと入場できません。
いかがでしたか。バロック様式の衣装に仮面を付けて踊り明かす「ル・グラン・バル・マスケ」を紹介しました。「ル・グラン・バル・マスケ」で、日中の観光地とは少し趣が変わったベルサイユ宮殿を体験してみてください。