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地球の歩き方公式サイトで毎年おこなっている、「この夏or来年ドコ行く?」調査でも国内編で常に上位をキープする沖縄離島。石垣島、宮古島といった直行便も就航している有名な島から、竹富島や座間味島など新たな魅力が注目されている離島まで、有人離島の数は40を超えるといわれています。中でも、これから観光スポットとして人気が出るかもしれない、那覇からフェリーで2時間弱の「粟国島」(あぐにじま)にフォーカスした体験レポートをお届けします。2019年2月公開の映画『洗骨』の舞台にもなった島の魅力とは?
粟国島の主な産業はサトウキビの他、塩があります。那覇のスーパーや土産屋などで「粟国の塩」のラベルを見た方も多いと思いますが、粟国島は海抜が低いため、塩の生成に必要な風が強く吹く好条件が整っているため、海の水からできる海塩も大事な産業のひとつです。
沖縄海塩研究所では、ポンプで汲み上げた海水を高さ10mの「採かんタワー」に通します。タワーの内部には竹が約1万5千本つるされており、汲み上げた海水を何度も竹に流して循環させ、1週間以上の時間をかけて塩分濃度約6倍~7倍(塩分20%前後)に濃縮した”かん水”を作ります。
濃縮した”かん水”を平釜で30時間かけて交代制でゆっくり煮詰めます。こうして炊き上がった塩を脱水槽で6~18日かけて自然乾燥させたものが、粟国の釜炊き塩です。一方で、釜に移さず温室のプールで天日で結晶化させたものは天日塩となります。こちらは夏場で20日、冬場は60日ほどかかります。こうしてできた「粟国の塩」は、素材の旨味を引き出す、調理場の名脇役。料理のほかにも梅干しや味噌などの加工食品にも奥深さをもたらす、粟国の海の結晶です。
■沖縄海塩研究所
住所:沖縄県島尻郡粟国村字東8316
電話:098-988-2160
粟国観光の拠点となる、ビジターセンター「島あしび館」では、さまざまな体験プログラムメニューがありますが、島ならでは物作りも粟国島に訪れたなら体験しておきたい一つです。今回は、透明なジェルを使ったキャンドル作りをご紹介します。用意されたものは、コブシ大の瓶と芯、そして粟国の海からの贈り物が観賞できるよう、透明なジェル。
この貝殻は、すべて粟国の海岸で集めたもの。希望すれば自ら海岸で好きな材料を集めることもできます。熱したジェルを注ぎ、しばらく置けば完成です。粟国島の美しい海の思い出をギュッと濃縮したような小瓶。いざ、キャンドルを使うシーンが訪れても、もったいなくて火が点けられないかもしれません。
■ビジターセンター島あしび館(粟国村観光協会)
住所:島尻郡 粟国村 東1142
電話:098-896-5151(粟国村観光協会)
営業時間:8:30~18:00 ※夏季19:00まで
URL:http://aguni-kankou.jp/
※体験メニューに各種料金あり
粟国島は火山活動によって作られた島ですが、今でもその名残りが残る場所を実際に散策することができます。島の南側にあるヤヒジャ海岸は特にその面影を見ることができる地形が残っており、かつての火山活動によってできた岩石や地層が見られます。
崖の高さは数十メートルにもおよび、圧巻の景観を海岸沿いに眺めることができます。この大規模な白色凝灰岩でできた白壁の地層を見ることができるのは、沖縄県ではここ粟国島だけです。ビジターセンターで専用のスパイクつきのサンダルを借りることで、歩きづらい地形でも楽に安全に移動することができます。
粟国島では、ダイビングスポットが多くダイバー必見の美しい海が特徴の一つですが、そのほかのマリンスポーツも充実しています。たとえば、画像のシーカヤック。白い砂浜が1km以上も続く、ウーグの浜(長浜ビーチ)から、透明度の高い楽園のような海に漕ぎ出しましょう。懇切丁寧なインストラクターが付きますので、初めての方でも安心です。
色鮮やかな南国の魚をその目で直に見て、一緒に泳げるのも沖縄離島の楽しみ方の醍醐味の一つ。シュノーケリングもできますので、シーカヤックとセットでぜひお申込みください。
水源に乏しく水不足に苛まれた過去、粟国島ではトゥージと呼ばれる石水槽に雨水を溜めておき、生活用水や有事の際の水として利用していました。本記事でも紹介しているヤヒジャ海岸の岩から造られたトゥージは、粟国島の人々の生活基盤を支える大事な財産として、代々、伝えられていました。