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出雲空港から約40分の「よしだむら」は、かつての「吉田村」、現在の島根県雲南市吉田町を指しています。「よしだむら」は、和鉄の生産地として栄えてきた地で、人々の生活も鉄づくりとともに営まれてきました。日本の産業や文化に大きく貢献してきた鉄づくりの地には、今もなお鉄とともに栄えた頃の面影が残っています。鉄を通して先人たちが培ってきた生活、文化に思いを馳せる・・・。ロマンあふれる歴史の街を地元のガイドと一緒に探訪してみませんか。
島根県雲南市吉田町は、公共交通機関が非常に乏しく、多くの方がマイカーやレンタカーで訪問します。はじめて吉田町へ訪問する方でも安心して「よしだむら」を巡ることができる「マイカーツアー」を紹介します。
スタート場所となるのが「道の駅たたらば壱番地」です。松江自動車道の雲南吉田ICを降りたところにある道の駅で、島根県の南側の玄関口です。
ツアーは、午前の部は10時からと午後の部の14時からの2回。「道の駅たたらば壱番地」をスタートし、最初の目的地である「菅谷たたら山内」までは車で約10分です。初めて「よしだむら」を訪問する方でも、ガイドが車で先導してくれるので安心です。
また、「道の駅たたらば壱番地」では地元名物の出雲そばや地元で生産された卵を使ったスイーツが人気となっています。少し早めに来て、道の駅を楽しむのもオススメです。
日本独特の鉄づくりの製法を「たたら製鉄」といいます。「よしだむら」では、たたら製鉄が7世紀後半から8世紀初頭に始まったといわれ、たたら製鉄で作られた鋼はハイテク全盛の現代でもその品質が世界一優れたものといわれています。
ツアーの最初の到着地は「菅谷たたら山内(すがやたたらさんない)」です。たたら製鉄に従事していた人々の仕事場と住まいを含めた集落です。まるで山の主であるかのようにどっしりと座し、大きな杮葺きの屋根の建物の「菅谷たたら高殿」、いわるゆ製鉄工場があります。
1751年から1921年まで170年間操業が行われ、日本で唯一現存する遺構として国の重要有形民俗文化財に指定されています。
ところで、宮崎駿監督のアニメ『もののけ姫』には「たたら場」が物語のカギを握る重要な場所として登場しますが、このモデルになったのは「菅谷たたら」といわれています。また、かの有名な芸術家・岡本太郎氏もここから菅谷たたら山内を望み、たたらの炎をイメージされたのだとか。静かに昔の暮らしに思いを馳せるだけでなく、創造性をかき立てられる場所でもあるのでしょう。
なお、運がよければ、施設長の朝日光男さんの名物ガイドが聞けるかもしれません。
菅谷たたら山内にある桂の木は、製鉄の神様である金屋子神が降臨されたといわれる木で、神木として崇められていました。4月上旬から約1ヶ月で、次々に色が変化するのが見どころです。この季節を狙って来訪されるのもオススメです。
次の目的地は、たたら製鉄で栄えた当時の町並みを残す「本町通り」です。「本町通り」へは「よしだむら」のビジターセンター「稲わら工房」の駐車場に車を停めて、徒歩で向かいます。
「よしだむら」は、たたら製鉄を稼業とした田部家を中心とした企業城下町でもありました。田部家のある本町通りは、全部で20棟あるといわれる田部家の白壁土蔵群、田部家お抱えの医者や庄屋の建物が並んでいる当時のメインストリートです。緩い上り坂が続く石畳の坂道をゆっくりと散策します。
本町通りと並行する大通りは、小路(しょうじ)と呼ばれる細い路地とで結ばれています。まるで漁村を思わせるような佇まいは、生活感にあふれる庶民の暮らしの面影が残ります。本町通りから小路を散策するのもオススメです。
本町通りの緩い上り坂を登っていくと、最後の見学施設「鉄の歴史博物館」に到着します。この建物は、元は医者の家でしたが、寄贈されて博物館として活用しているとのこと。たたら製鉄の記録映像『和鋼風土記』の上映と、たたら製鉄に関するさまざまな資料を展示しています。
『和鋼風土記』は、最後のたたら師といわれる人々の原料採取から道具づくり、築炉から操業にいたる鉄づくりの技術を中心に、その知識が、どのようにして風土の中に生まれ育ってきたかを描いた記録映像です。たたら製鉄の真髄がよく分かり、必見です。不眠不休でたたら製鉄に向き合った、たたら師の熱いロマンを感じます。
なお、ツアーはこの『和鋼風土記』の鑑賞後に終了となりますが、このツアーには最後にお楽しみが待っています。このツアーに参加すると「よしだむら」で生まれた、元祖たまごかけごはん専用醤油「おたまはん」がもれなくもらえるのです。
この辺りでは、昭和40年代から養鶏が盛んで、年間約6000万個を生産する大産地。現在では、毎年「日本たまごかけごはんシンポジウム」が開催されるほどのたまごかけごはんの聖地でもあるのです。「よしだむら」の思い出と一緒に持ち帰りましょう。
■株式会社吉田ふるさと村
・住所: 〒690-2801 島根県雲南市吉田町吉田1047-2
・最寄駅: JR木次線・木次駅下車、雲南市民バス吉田大東線「JA吉田前」
・URL: https://www.y-furusatomura.co.jp/
■「よしだむら」「菅谷たたら山内」を巡るマイカーツアー
・TEL: 0854-74-0500
・営業時間: 8:30~17:00(土・日曜・祝日、GW、お盆、年末年始除く)
・催行: 毎日10:00~12:00、14:00~16:00の2回
※入館施設が定休日(おもにに月曜日)の場合と年末年始は催行なし
・料金: 3,500円/人(1名参加の場合)
※ 2名参加の場合は、2,500円/人、 3名以上参加の場合は、2,000円/人
※施設入館料、ガイド料が含まれる
※4日前までに要予約
※参加特典として「元祖たまごかけごはん専用醤油『おたまはん』を1人1本プレゼント
・URL: https://kankou.y-furusatomura.co.jp/pwm/tour.html?code=142
熱い鉄の歴史探訪が終了したら本町通りでグルメやお土産作りを楽しんではいかがでしょうか。
まずは、創業90年の和菓子専門店「吉原亀栄堂」を紹介します。銘菓「公園飴」は、ノスタルジックな琥珀色と趣き深い味わいのロングセラー商品です。ゼリー・飴・羊羹を合わせたような食感が人気で、夏場には冷蔵庫で冷やして食べるのがオススメなのだとか。
■吉原亀栄堂
・住所: 〒690-2801 島根県雲南市吉田町吉田2576
つづいて、本町通りの中ほどに位置する「はしまん」を紹介します。築150年の庄屋屋敷を改築した古民家のカフェです。
地元産の野菜を中心としたランチメニューやケーキセット等が好評とのこと。ゆっくりとティータイムを楽しめます。また、2階の「ツーリズムの宿若槻屋」は、宿泊も可能です。
■山里かふぇ はしまん
・住所: 〒690-2801 島根県雲南市吉田町吉田2566
・URL: https://hashiman.jimdo.com/
最後に「稲わら工房」にも立ち寄っていきましょう。入口では、フラッシュアニメ『秘密結社鷹の爪』のキャラクター「吉田くん」が出迎えてくれます。「吉田くん」のふるさとは「よしだむら」で、「吉田くん」は雲南市の特別住民票も持っているそう。稲わら工房では、「吉田くん」グッズを豊富に取り揃えています。また、元祖たまごかけごはん専用醤油「おたまはん」は、稲わら工房限定バージョンがあります。
稲わら工房では、地元のお年寄りがお正月用のしめ縄を制作しています。毎年5月には、大きな鶴と亀を制作し、出雲大社に奉納しているのだとか。地元お年寄りに指導をしてもらいながら、稲わら細工体験(リース作り、わらじ作りなど)ができます。一緒におしゃべりしながら「よしだむら」での思い出作りはいかがでしょうか。
鉄の歴史と日本人の歩んできた暮らしが残る場所「よしだむら」で、ゆっくりとした時間を過ごしてみませんか。
■稲わら工房
・住所: 〒690-2801 島根県雲南市吉田町吉田2725
・URL: https://www.y-furusatomura.co.jp/inawara.html