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かつては塩田や酒造りで栄え、古き良き町並みが残る瀬戸内の小さな町、竹原市。その目の前のほんの少しだけ離れたところに、重なるように見える島をめぐる旅に出かけてきました。行き交うフェリーとすれ違ったり、島と島を結ぶ大きな橋の下を通り抜けたり。海と島が見せてくれる風景は、静かに心を癒やしてくれます。竹原の港から海を渡って島を訪れ、そして海辺のスポットをレポートいたします。
今回は「たけはら海の駅」よりクルーザーに乗って最初の目的地、大久野島へ。ここは日本はもとより世界中から旅行者が訪れる「うさぎの島」です。朝、10時前と観光客がほとんどいない時間帯に到着した時には、いまかいまかと桟橋の近くまで、うさぎたちが出迎えてくれているようでした(自分にはそう見えました)。ちなみに、うさぎたちには、朝方と夕方の時間帯に、活発な行動をする習性があるのだそうです。船長さん曰く、「朝早めのほうが、動き回っているうさぎたちが見られますよ」とのことでした。やっぱり出迎えてくれていたのかもしません…。
大久野島は周囲4.3㎞という小さな島です。現在は国立公園に指定されていますが、戦中には毒ガスを製造していた島ということもあり、「地図に載っていなかった」時代がありました。いま、うさぎの数は900羽ほど。もとはといえば、1971年に島外の小学校で飼いきれなくなったあなうさぎを8頭ほど放したことがきっかけと言われています。ということは、50年弱で100倍以上になったということですので、これも平和のたまものなのかもしれません。
ほとんど天敵がいなかったという奇跡的な状況や、国立公園内の環境保全という観点からも島内でのマナーはしっかり守りたいものですね。ちなみに「うさぎからのお願い」というページがありますので、上陸する前にぜひとも読んでみてください。この島のうさぎのことが、よくわかります。
■ 休暇村大久野島ホームページより「うさぎからのお願い」
・住所: 竹原市忠海町大久野島
・URL: https://www.qkamura.or.jp/ohkuno/free1/?p=32
■ 大久野島へのフェリーでのアクセスはこちら
・URL: http://rabbit-island.info/
うさぎたちが見送ってくれている中(そう思うことにしました)、ふたたびクルーザーに戻って「しまなみ」の風景を進んでいきます。広島県尾道と愛媛県今治を結ぶ瀬戸内しまなみ海道の多々羅大橋、村上水軍の水軍城跡がある甘崎島、タンカーなどを造船する今治ドック、そして、通称で軍艦島とも言われている契島(ちぎりじま)のそばをクルーズして、竹原港に戻ったのはお昼すぎの時間帯でした。この日は、すっきりと晴れ渡る空ではなかったけれども、船の上から眺める景色の美しさがほんとうに印象的でした。
竹原の海には、島と島が重なって見える独特の風景が広がっています。海と島は、春や夏、秋や冬の時期によっても違う表情をしていて、一日の中でも時間帯によって刻一刻と変化していくのだそうです。いつ行っても違う風景に出会えるなんてすてきですね。今回、乗船したクルーザー「Carib Ⅱ」の船長さんが操船しながら、そんな話をしてくれていました。
■ せとうちクルーザー 「Carib Ⅱ」
・住所: 竹原市忠海床浦3-11-1-205
・URL: http://setouchi-cruisers.com/
竹原から忠海に向う途中の海辺のカフェへ。船をイメージしてデザインされた外観が海辺の風景に似合っています。ここにきたら、窓辺の席に座りたいと思うけれども、どの席からも海と島の風景が見渡せる広いガラス窓が心地よい設計になっています。パスタとピザ、カレーなどのメニューは、地元ならではの食材を中心に供されていて実におすすめです。
■ Café HOXTON カフェホクストン
・住所: 竹原市忠海長浜3-4-10
・URL: https://norio11nh.wixsite.com/home/
アヲハタのジャムはご存じでしょうか?自分的には昔から食べているような気がしてならい定番のジャムですが、ここ竹原市忠海が創業の地だったのですね。アヲハタジャムデッキというビジターセンターのある場所は、うさぎの島、大久野島へのフェリー乗り場から歩いてすぐ。工場見学はもちろん、ジャムづくり体験ができるので、立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
■ アヲハタジャムデッキ
・住所: 竹原市忠海中町1-2-43
・URL: https://www.aohata.co.jp/experience/jamdeck.html
■ 道の駅たけはら
・住所: 竹原市本町1-1-1
・URL: http://michinoekitakehara.com/
・情報: たけはら町並み保存地区へのアクセスはこちらが便利です。
■ 広島県竹原市・竹原市観光協会
・URL: https://www.takeharakankou.jp/
取材協力:竹原市/竹原市観光協会
取材・文:植木 孝