キーワードで検索
ハワイ諸島でいちばん大きい島であることから、「ビッグアイランド」と呼ばれ親しまれているハワイ島。数年前に再び日本からの直行便が飛ぶようになり、注目を集めています。この島のハイライトは、今なお活動を続けているキラウエア火山です。そのキラウエア火山がある世界遺産ハワイ火山国立公園の楽しみ方を紹介します。
●キラウエア火山の歴史
はっきりとした始まりは不明ですが、キラウエア火山はおよそ60万年~30万年前に海底での堆積が始まり、10万年ほど前に海面からその姿を現したのではないかと考えられています。ポリネシア人がハワイ諸島へ渡ってきたのは西暦500年頃と言われていますから、その頃にはすでに形成され、盛んに火山活動が繰り返されていたことでしょう。
大海原を航海してきた先に現れた島、その島からは真っ赤な溶岩が海へ落ち込んでいる。そんな光景を目の当たりにし、神の仕業としか思えなかったはずです。神話として火の女神ペレが登場するのも納得です。 そんな悠久の年月を経て、現在も断続的に噴火を続けているキラウエア火山。1983年1月から始まった東斜面からの噴火は、小休止を含めながら2019年で36年が経ちます。プウ・オオ火口を中心とした溶岩の流出は、プナ地区の住宅や農地を埋め尽くし、1988年にはカラパナの海岸に達し、王族が水浴びをしたというクイーンズ・バスを飲み込み、翌年には13世紀に築かれたワハウラ・ヘイアウも一部を残して破壊しました。
さらに1990年には、黒砂海岸で有名なカイムやカラパナも溶岩の下へ。2014年6月から流れ出た溶岩は、パホア地区に到達しました。2018年5月、再び活動が活発となり、レイラニ・エステーツ地区に溶岩が流れ出し付近の住民に避難勧告が出されました。
●キラウエア火山の特徴・地形
標高は1248メートルのキラウエア火山の中心となるのが、周囲約12キロメートルの巨大なキラウエア・カルデラです。その中にハレマウマウ火口があり、2018年の噴火で大きく陥没。その姿を大きく変えました。また、ゆっくりと北西に進む太平洋プレートの影響で、キラウエア・カルデラから南東方向にかけては、キラウエア・イキ火口をはじめいくつもの火口が並んでいます。
●世界遺産への登録について
キラウエア火山とその西に位置するマウナ・ロア山を含めた1332平方キロメールという広大なエリアがハワイ火山国立公園です。ハワイ火山国立公園は世界的に見て最も活発な火山を有し、地球の歴史において地学的、生物学的に重要な特性があるとして、1987年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に認定されました。
●キラウエア火山の楽しみ方
オプショナルツアーに参加して、ハワイ火山国立公園内を回るのが一般的な楽しみ方です。クレーター内や海岸線に広がる溶岩台地をトレッキングできるツアー、ヘリコプターやボートから楽しむツアーもあります。もちろん個人で訪れることも可能。レンタカーで行き、公園内の火口を巡るドライブや見どころ散策が楽しめます。入園料は車1台につき$25で、チケットは1週間有効です。
●現在の噴火の状況
2018年5月の噴火で流出した溶岩は、同年9月にはその流れを止めました。2019年9月現在、火山活動は続いていますが、流れる溶岩は見ることができません。また、ハワイ火山国立公園は一部閉鎖エリアがあるものの開園しています。
●アクセス可能エリアと閉鎖エリアのトピックス
2019年9月現在、ハワイ火山国立公園のウェブサイトを見ると、おもなアクセス可能エリアは下記のとおりです。
・チェーン・オブ・クレーターズ・ロード
・ボルケーノ・ハウス
・キラウエア・ミリタリー・キャンプまでのクレーター・リム・ドライブ
・ハレマウマウ・トレイルの一部
・ボルケーノ・ハウスからキラウエア・ミリタリー・キャンプまでのクレーター・リム・トレイル
・デヴァステーション・トレイルの一部
・スチームヴェント
・サルファー・バンクス
・キラウエア・イキ・トレイルのほとんど
・プウ・プアイ展望台
・キラウエア・ミリタリー・キャンプ
・ヒリナ・パリ・ロードの一部
また、無期限に閉鎖されているおもなエリアは下記のとおりです。
・イリアヒ・トレイル
・キラウエア・カルデラの底を通るハレマウマウ・トレイル
・キラウエア展望台から先のクレーター・リム・ドライブ
・キラウエア展望台からトーマス・ジャガー博物館までのクレーター・リム・トレイル
・バイロン・レッジ・トレイルへ向かうデヴァステーション・トレイル
・トーマス・ジャガー博物館
なお、サーストン・ラヴァ・チューブなどのいくつかのエリアは再オープンの予定。また、2020年後半には多くのトレイルやキラウエア展望台なども再オープンする予定です。
■National Park Service
・URL: https://www.nps.gov/havo/recovery.htm
●キラウエア火山の場所
キラウエア火山は北緯19度25分 西経155度17分、ハワイ島の南東部、ハワイ火山国立公園内に位置しています。
●行き方・交通手段
ハワイ火山国立公園へは、レンタカーで行くのが一般的です。交通事情により異なりますが、カイルア・コナからは、11号線(ママラホア・ハイウエイ)を経由して約95マイル(約150キロメートル)で、2時間から2時間30分。ヒロからは、同じく11号線(ママラホア・ハイウエイ)を経由して約30マイル(約48キロメートル)で、45分から55分です。
●天気
ハワイ火山国立公園は、標高が約1200メートルと高く、天気は毎日変化します。年間を通して雨が降り、肌寒いことが多いです。訪れるときにはスウェットパーカーやフリースなど、羽織れる物を一枚持って行くとよいでしょう。チェーン・オブ・クレーターズ・ロードを下って海岸線まで行くと、ハワイらしい暑さで、風が強く乾燥しています。
■キラウエア火山の天気&服装ナビ
・URL: https://www.arukikata.co.jp/weather/9H/KCT/
●キラウエア・ビジターセンター
ハワイ火山国立公園へ訪れたら、まず最初に訪れたいのがキラウエア・ビジターセンターです。毎日のように変化する火山の最新情報をレンジャーやボランティアから聞くことができ、地図や資料も手に入れることができます。また、パネルや写真の展示物、ギフトショップもあり、トイレもこちらで済ませましょう。営業時間は通常9:00から17:00までとなっています。
●ボルケーノ・ハウス
国立公園内にある1846年創業のホテルです。キラウエア・ビジターセンター近くにあり、キラウエア・カルデラを一望できるロケーションが魅力です。もちろん、宿泊客以外も立ち寄ることができます。ロビーエリアにはハワイでは珍しい暖炉があり、写真を撮る旅行者の姿を多く見かけます。ロビーの奥にレストランや展望エリアがあります。
●サルファー・バンクス・トレイル
キラウエア・ビジターセンターのすぐ近くに入口があるトレイルです。500メートルほど歩いて行くと、サルファー・バンクスに到着します。硫黄のにおいが立ち込め、薄い黄色に変色した岩の裂け目から水蒸気が沸き上がっている光景は、キラウエア火山が今なお活動を続けていることを再認識させてくれます。舗装路や整備されたトレイルなので、気軽に訪れることができます。
●デヴァステーション・トレイル
キラウエア・カルデラに沿って走るクレーター・リム・ドライブとチェーン・オブ・クレーターズ・ロードが交差する付近にあるトレイルです。ハワイの固有種であるオヒアの林や熱帯植物が生い茂る小道は、散歩気分で歩くことができる短いコースです。なお、デヴァステーション・トレイルのバイロン・レッジ・トレイル方面へ進むコースは閉鎖されています。
●チェーン・オブ・クレーターズ・ロード
キラウエア・カルデラの南東部、クレーター・リム・ドライブから分岐し、海に向かって走る道路です。たくさんの火口が点在し、この道をドライブすると、20世紀における噴火活動の変遷を見ることができます。また、途中に設置された展望台からの、見渡す限り溶岩が広がる光景は圧巻です。全長約32キロメートルの道路の終点は溶岩で寸断された場所。下車して見物するなら往復2時間はみておきたいところです。
●ハワイ火山国立公園見学ツアー
2018年の噴火以降、キラウエア火山だけを見学するツアーは少なく、マウナ・ケア山の中腹で星空観測をしたり、島内観光を組み合わせたツアーが主流となっています。キラウエア火山やワイピオ渓谷、アカカ滝など、広いハワイ島に点在する魅力的なスポットを1日かけて巡る満喫ツアーで、ホノカアにあるテックス・ドライブインのマラサダや、ヒロにあるビッグアイランドキャンディーズのクッキーなど、ローカルグルメも押さえています。ローカルレストランでの夕食や、ハワイアンフードのお弁当が付くことが多いです。
●ヘリコプターツアー
ヘリコプターで空からキラウエア火山を眺めるツアーも人気があります。地上からでは見られないハワイ島の壮大な風景を楽しむことができます。ワイコロアやエリソン・オニヅカ・コナ国際空港からのフライトなら、コハラエリアやワイピオ渓谷、マウナ・ケア山周辺などを経由してキラウエア火山へ向かうルートが主流です。また、ヒロ国際空港からのフライトならヒロからキラウエア火山を巡るプランとなっています。
長距離のドライブでキラウエア火山まで訪れたなら、国立公園入口近くにある小さな集落のボルケーノ・ビレッジ、ハワイ島唯一のボルケーノ・ワイナリー、ウミガメがやってくるプナルウ黒砂海岸など、周辺の見どころにも立ち寄りたいところです。
いかがでしたか。ハワイ島観光のハイライト、キラウエア火山は地球の壮大さを体感できる数少ないスポットです。大自然を相手に無理は禁物、上記を参考にしつつ、ハワイ火山国立公園の最新情報を入手して、安全な旅を楽しんでください。
TEXT:オフィス・オハナ
PHOTO:オフィス・オハナ、iStock