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すべてにおいてスケールが大きく、"ビッグ・アイランド"の愛称で親しまれているハワイ島。4000メートル級の山々に、今も活動を続ける活火山、落差150メートルの滝がある渓谷、全米屈指の広大な牧場……。そんな大自然が広がるハワイ島の楽しみ方をご紹介します。
■場所・地形
ハワイ島はハワイ諸島のいちばん東側、北緯18度54分から20度16分、西経154度48分から156度04分に位置する、ハワイ諸島最大の島です。面積は1万432.5平方キロメートルで、四国の約半分の大きさ。他のハワイ主要7島の総面積よりもさらに大きい島です。
■アクセス方法
日本からハワイ島のエリソン・オニヅカ・コナ国際空港へは直行便が就航しています。成田国際空港からは毎日、羽田空港からは週3便で、ハワイアン航空と日本航空が共同運航しています。フライト時間は約7時間30分です。また、オアフ島ホノルル経由であれば、エリソン・オニヅカ・コナ国際空港のほか、ヒロ国際空港への便もあります。フライト時間はダニエル・K・イノウエ国際空港から45分から50分ほどです。
■日本からの距離・時差
日本とハワイ島の時差は19時間あります。ハワイ島のほうが日本より19時間遅れています。例えば、日本の月曜日正午のとき、ハワイでは日曜日の午後5時にあたります。
■ハワイの現地時間・時差
・URL: https://www.arukikata.co.jp/country/9H/info/localtime.html
■ハワイ島の天候・服装
ハワイ島の気候は、基本的にはハワイの他の島と同様、1年を通して過ごしやすい気候です。ただし、大きな島なので、場所や標高によってさまざまな表情を見せます。貿易風と島の南北に連なる高い山によって、ヒロなど島の東側は雨が多く、サウス・コハラなど西側は晴れが多くなります。また、西側のコナは穏やかなハワイらしい気候ながら、高山地域はぐっと涼しくなります。さらに、ボルケーノやコハラ山脈では霜が降り、マウナ・ケア、マウナ・ロアの山頂では、冬季(10~3月)は雪に覆われることがあります。 服装はTシャツ・短パン・ビーチサンダルでOKですが、訪れる場所によってはヨットパーカーなどの羽織るものや長ズボン、スニーカーなどが必要になります。
■ハワイ島/コナ(ハワイ)の天気&服装ナビ
・URL: https://www.arukikata.co.jp/weather/9H/KOA/
■火山について(成り立ち)
ハワイ島には5つの火山があります。マウナ・ケア山(標高4205メートル)、マウナ・ロア山(4169メートル)、フアラライ山(2521メートル)、コハラ山脈(1670メートル/カウム・オ・カレイホオヒエ頂)、キラウエア山(1248メートル)。これらが火山活動によって一緒になったために、大きな島となりました。特にマウナ・ケア山は海底から計測すると9600メートルにもなり、またマウナ・ロア山の重量は富士山の100倍になると推測されています。
この5つの山のうち、いまだ活動を続けているのはキラウエア山系だけです。ハワイ島東部にあるキラウエア火山群は、ハワイが欧米に知られるようになって以降、ほとんど間断なく噴火を続けています。口承によればそれ以前にも活動していたといわれています。最近では1983年1月の大噴火から2019年現在まで、噴火口を南東に移動させながら30年以上の長きにわたって活動し続けています。
■カメハメハ大王(ハワイの統一)
キャプテン・クックがハワイを発見したのが1778年。その頃のハワイは各島内や各島間の勢力争いが盛んで、毎日のように戦闘が繰り広げられていました。この戦乱の世を制圧したのがハワイ島北部出身のカメハメハです。
彼はクックの渡来以降、ハワイに来航した欧米の船から帆船や大砲を調達し、白人を参謀として迎え入れて、ハワイ統一に乗り出しました。その一方で、神事に従った古来の儀式を行って出陣したので、配下の王族や兵士たちの信望も厚かったといわれています。他の島々の王に比べて若く、欧米からの近代文明を吸収する柔軟性と、旧いハワイの慣習を遵守する年配者の考えにも共感できる感情を合わせ持っていたのです。
1795年にはマウイ、ラナイ、モロカイ、オアフ各島を制圧し、ハワイ王朝が誕生します。1810年にはニイハウ、カウアイ島を屈伏させ、ハワイ統一の偉業を成し遂げました。
■アロハ・スピリット
ジェームス・クックの渡来した18世紀後半以降、欧米の近代文明の影響を受け、ハワイはわずか100年で原始社会から産業革命後の社会へと急激に変革しました。続く100年では、欧米列強の植民地拡張と覇権主義の波にもまれ王朝は転覆、ハワイ王国という民族国家は消滅し、共和国、アメリカ領、アメリカ第50番目の州と変遷し今日にいたります。
その間、近代文明とともに新しい伝染病も渡来、30万人あるいはそれ以上だったといわれる人口は7万人以下まで減少しました。その結果、労働力が不足し、移民労働者を受け入れることになり、今日の多民族・多文化混合社会が誕生します。多数派がないのが特徴で、世界で人種間の摩擦の最も少ないところといえるでしょう。その根底には、ハワイ古来のアロハスピリット(他者を思いやる寛容な精神)があることも見逃せません。
■キラウエア火山
キラウエア火山はハワイ島の南東部にあり、マウナ・ロア山とともにハワイ火山国立公園に指定されています。世界遺産にもなっている公園内にはいくつものトレイルがあり、いまなお活動を続けている火山の息吹を感じながら歩くことができます。
2018年の噴火の影響で閉鎖されているルートもありますが、旅行者が歩けるルートの多くは再開されています。園内のキラウエア・ビジターセンターでは、毎日のように変化する火山の最新情報をレンジャーやボランティアから聞くことができ、地図や資料も手に入れることができるので、まずはここで情報収集をしましょう。パネルや写真の展示物、ギフトショップ、トイレもあります。
■オノメア湾
ヒロから19号線を10キロメートルほど北に走ると、海側に4マイル・シーニック・ルートが現れます。片側1車線の細い道で、木漏れ日が気持ちいい熱帯植物のトンネルを走っているようなワインディングロードです。
19号線との分岐から1.6キロメートルほど走ると、あたりが開けてオノメア湾が目の前に広がります。かつてはハワイアンの漁村だったエリアですが、いまでは、美しい湾が訪れる人を静かに迎え入れてくれます。短いトレイルを下っていけば、ビーチに出ることもできます。また、オノメア湾を眼下に望む場所には、ハワイ原性種を含め2000種以上もの熱帯植物を集めたハワイ・トロピカル・ボタニカル・ガーデンがあります。
■マウナ・ラニ
ハワイ島の北西部、サウス・コハラ・コーストには4つのリゾートエリアがあります。なかでもマウナ・ラニ・リゾートは世界三大パワースポットのひとつとして注目されています。マウナ・ラニとは、ハワイ語で「天国に手が届く丘」という意味。かつては、ハワイ島にある5つの山の中心に位置し、マナ(神秘の力・聖なる力)が宿る神聖な場所とされ、心身の癒しを求めたハワイ王族たちの保養地となっていました。
現在でもこのエリアは神聖な場所とされ、リゾート内には王族たちに献上されるための魚を養殖したフィッシュポンド、人や動物などを岩に刻んだペトログリフ、洞窟住居(オーラが見える洞窟)などが点在しており、歩いて回ることができます。
■マウナ・ケア
マウナ・ケアの標高は4205メートルあり、富士山よりも高い山です。マウナ・ケアとはハワイ語で「白い山」という意味で、その名のとおり、冬季には山頂に雪が降ります。山頂での壮大な景色を楽しむのが醍醐味ですが、旅行者がレンタカーでアクセスできるのは、山の中腹にあるオニヅカ・ビジターセンターまで。とはいえ、ビジターセンターの標高も2800メートルあるので、そこから見渡す景色も十分に楽しむことができます。
また、建物の裏側にあるガーデンでは、ハワイ固有の植物であるシルバーソード(銀剣草)が見られます。標高が高く気温が低いので、長い時間滞在する場合はフリースやダウンジャケットなどの準備をしていきましょう。
■カラエ岬(サウスポイント)
サウスポイントはアメリカ最南端の地で、ハワイ語ではカ・ラエと呼ばれています。はるか昔、ポリネシアの人々が海を渡ってたどり着いた場所といわれており、アクセスは11号線からサウス・ポイント・ロードに入った突き当たりです。
細い舗装路がはるかに海の方向へ下っていて、見渡す限りの緑の牧場が広がっています。途中、風力発電の巨大な風車を見ることができます。駐車場から岬の突端に向かって歩いて行くと、カラレア・ヘイアウという黒いサンゴの岩を積み上げた神殿跡があります。また、岬の近くにはトレイルがあり、1時間ほど歩くと幻のビーチといわれる緑の砂が敷き詰められたグリーン・サンド・ビーチへ行くことができます。
■おすすめのショッピングスポット
ハワイ島でショッピングを楽しむなら、まずは宿泊したエリア、もしくは近い場所を訪れてみましょう。サウス・コハラ・コーストのリゾートエリアに宿泊しているなら、ワイコロア・ビーチ・リゾートにあるショッピングモール、キングス・ショップスとクイーンズ・マーケットプレイス、マウナ・ラニ・リゾートのショップス・アット・マウナ・ラニがおすすめです。
カイルア・コナやヒロに滞在するなら、散策しながらの路面店巡りが楽しいです。また、観光スポットでショッピングが楽しめるのは、島の北部にあるハヴィやホノカア、ワイメアの町など。キラウエア・ビジターセンターやオニヅカ・ビジターセンターにもそこでしか買えないアイテムがあります。
■おすすめレストラン・メニュー
ハワイ島を訪れたら行っておきたいレストラン、食べておきたい料理はたくさんあります。まず、B級グルメなら、ハワイ島産の食材にこだわったハンバーガー。ワイコロア・ビーチ・リゾートにあるマイ・グリル・バイ・シェフ・アレン・ヘス、ワイメアのビレッジ・バーガー、カイルア・コナのアルティメット・バーガーです。
マラサダならナアレフのプナルウ・ベイクショップ、ホノカアのテックス・ドライブ・イン、ロコモコは発祥の店ともいわれる、ヒロのカフェ100が挙げられます。そのほか、ハワイの地ビールの先駆けともいえる、コナ・ブリューイングに併設されるパブ、ワイメアにあるハワイ・リージョナル・クィジーンの名店メリマンズなどもおすすめです。
■おすすめのお土産
お土産ならメイド・イン・ビッグアイランドのグルメアイテムを押さえておきましょう。クッキーなら、ヒロにあるビッグアイランド・キャンディーズのショートブレッドクッキー。チョコレートでコーティングしたクッキーはロコの贈答品の定番です。コナ・コーヒーは、農園見学ができるドトール・マウカ・メドウズやUCCハワイ。
チョコレートは、ハワイ島産のカカオを使用するオリジナル・ハワイアン・チョコレート・ファクトリー。マカダミアナッツは、工場見学が楽しいハマクア・マカダミアナッツ。珍しいところでは、ハワイ島唯一のボルケーノ・ワイナリーのワインや、ハワイ島沖の海洋深層水で育てるビッグアイランド・アバロニのアワビなどがあります。
■マウナ・ケア山頂でサンライズや星空を楽しむ
ハワイ島で最も人気のあるツアーといえば、マウナ・ケア山頂へ向かい、星空やサンライズを見るツアーです。世界の天文台が並ぶマウナ・ケア山頂付近は、星空観測に最適な場所。光が少なく、夜空を覆いつくすような星たちの輝きを楽しめます。また、暗闇から少しずつ光が差し込み、徐々に照らし出される雲海の美しさと、あたりを荘厳な雰囲気にするサンライズの力強さに、自然の偉大な力を感じることでしょう。ぜひ、カメラを持参して絶景ショットを収めてみてください。
■ヘリコプター観光ツアーで景観を楽しむ
緑に覆われ、すべてを包み込むような優しさあふれる姿と、真っ赤な溶岩を流し、何人たりとも受け入れない荒々しい姿。そんな悠久の年月を経て創造された、ハワイ島の自然のスケールを実感できるのがヘリコプターツアーです。キラウエア火山のハレマウマウ火口の様子や、緑豊かなワイピオ渓谷の奥に流れる滝、漆黒の溶岩大地とその上を貫くハイウエイ、ゴルフコースを擁した高級リゾートエリアなど、ハワイ島ならではの景観を存分に楽しむことができます。
■チェーン・オブ・クレーターズ・ロードでドライブを楽しむ
ハワイ火山国立公園内の海に向かって走るチェーン・オブ・クレーターズ・ロードは、火口が点在していて、20世紀における噴火活動の変遷を見ることができます。見渡す限りの漆黒の溶岩が、はるか眼下の太平洋まで流れ込んでいる光景には言葉を失うことでしょう。
チェーン・オブ・クレーターズ・ロードは片道およそ32キロメートル。溶岩で覆われて行き止まりとなった地点が終点です。下車して見学するなら往復2時間はかかるので、スケジュールに余裕をもってドライブしましょう。
■その他のアクティビティを楽しむ
ハワイ島ならではのツアーはまだまだあります。カイルア・コナ方面なら、ケアラケクア湾から出港して大海原でシュノーケリングを楽しめるクルージングや、ケアウホウ湾でのオーシャンカヤック。北西部のコハラ方面なら、広大な牧場での乗馬や全長40キロメートルに及ぶ用水路でのカヤック、大自然のなかをターザンのように渡り歩くジップライン。そのほか、カカオ農園、アワビ養殖場、マカダミアナッツ工場、ビール工場などの見学、コーヒーの焙煎体験など、この島でしか楽しめないものばかりです。
■自然をテーマにしたモデルコース
到着日はレンタカーの運転に慣れる意味を含めて島の北西部、ノースコハラへドライブ。カパアウの町の東にあるポロル渓谷やホノカアの町の西にあるワイピオ渓谷へ。2日目はサドル・ロード経由でヒロへ。マウナ・ケア中腹にあるオニヅカ・ビジターセンターで雄大な景色を堪能し、ヒロのレインボー・フォールズ、アカカ・フォールズで癒やされましょう。この日はヒロに宿泊します。
3日目はヒロからハワイ火山国立公園を経由してコナへ向かいます。2018年の噴火で姿を変えたハレマウマウ火口は必見です。コナへ向かう途中のプナルウ黒砂海岸へも立ち寄りましょう。カイルア・コナ、もしくはワイコロアなどのリゾートエリアに宿泊し、翌日の帰国へ備えます。
■アクティビティをテーマにしたモデルコース
ホテル送迎のあるツアーに参加することを考えると、宿泊はサウスコハラのリゾートエリアがいいでしょう。到着日は無理をせず、レンタカーでビーチ巡りがおすすめです。ハプナ・ビーチ州立公園やアナエホオマル・ベイ・ビーチ、カハルウ・ビーチパークなどお気に入りのビーチを探してみましょう。ホテルに荷物を置いたら、コナ・コーヒー農園見学へ。焙煎体験もできます。
2日目は、午前中はコナサイドの海でクルージングやオーシャンカヤック。午後からはマウナケアでのサンセット&星空観測のツアーに参加して、大自然の神秘に触れます。3日目は島内観光も含まれたキラウエア火山への1日ツアーがおすすめです。その他、ジップラインや乗馬などのツアーに参加するのもいいでしょう。
■タウン巡りをテーマにしたモデルコース
ハワイ島には個性豊かな町が点在しています。それぞれの町の魅力を見つけに行きましょう。到着日は宿泊先となるサウスコハラのリゾートエリア(ワイコロア・ビーチ・リゾート、マウナ・ケア・リゾート、マウナ・ラニ・リゾート、フアラライ・リゾート)や港町のカイルア・コナを散策します。
2日目は北回りでハヴィ、カパアウ、ワイメア、ホノカア、ホノムなどの町を巡って、ヒロで宿泊です。広大な牧場があるワイメアはパニオロ(カウボーイ)の町として有名ですが、それ以外はいずれもノスタルジックな雰囲気が漂う小さな町で、お店巡りが楽しいところです。3日目はヒロのダウンタウンを散策して、南回りでボルケーノ・ビレッジ、カウ・コーヒー農園のあるパハラを経由してコナ方面へ戻ります。
■史跡巡りをテーマにしたモデルコース
ハワイ島にはたくさんの史跡があり、それらを巡る旅も楽しいものです。到着日はコナ方面を中心に、カロコ・ホノコハウ国立歴史公園、キャプテン・クック記念碑、プウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園、フリヘエ宮殿、アフエナ・ヘイアウ、モクアイカウア教会などを回ります。
2日目は北回りでヒロへ。ワイコロア・ビーチ・リゾートのペトログリフ・フィールドやマウナ・ラニ・リゾートのカラフイプアア・ヒストリック・パーク、カワイハエにあるプウコホラ・ヘイアウ国立歴史公園、ラパカヒ州立公園、カパアウのカメハメハ大王像などが挙げられます。3日目はヒロでリリウオカラニ庭園やカメハメハ大王像、ライマン・ミュージアム&ミッション・ハウスなどを見学後、南回りでハワイ火山国立公園内にあるボルケーノ・ハウス、島の南部ワイオヒヌにある、作家マーク・トウェインによって植えられたというモンキーポッドの樹などを見てコナへ戻ります。
いかがでしたか。大陸級の広さを誇るハワイ島には、訪れたいスポットがたくさんあります。3泊ほどの滞在なら旅のテーマを絞ってみるのもアイデアです。また、1週間以上の滞在なら、点在する町ごとにじっくりと回ってみるのもいいでしょう。ぜひ、自分だけの旅行プランを作ってみてください。
TEXT:オフィス・オハナ
PHOTO:オフィス・オハナ、iStock