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日本一の紅葉との声もある「涸沢カール」の紅葉。約6時間30分の登山の末にたどり着いた涸沢カールにはずっと憧れていた光景が広がっていました。登山初心者の筆者目線で、涸沢カール登山の体験や行き方を紹介します!(撮影日:2020年10月4日〜5日)
カールとは大昔の氷河の浸食によって、山頂直下の斜面が円形に削られた地形のこと。涸沢には標高約2300m地点に日本最大級のカールがあり、周辺には北アルプス3000m級の山が広がり、最大900mの標高差を誇っています。9月下旬からナナカマドやダケカンパ、その他の高山植物が色づき始め、例年10月上旬が見頃となります。
涸沢カールへの道のりは、上高地バスターミナルからのスタート。上高地は通年マイカー規制をしているので、沢渡駐車場か平湯あかんだな駐車場からシャトルバスかタクシーに乗って上高地バスターミナルに行きます。
上高地バスターミナルから涸沢カールへ向かう行き方は、約6時間30分(休憩込み)の行程です。このコースは大きく前半と後半に分かれています。初心者でも挑戦しやすいものの、しっかりとした準備が求めています。前半部分は、「上高地バスターミナル」から「明神分岐」、「徳沢」を経て「横尾」までの約10km。登りがほとんどなく、平坦な道が続くため、気持ちのいい梓川沿いの樹林帯を歩くことができます。自然に囲まれた穏やかな景色を見ながら進むことができ、登山初心者でも楽しめます。後半は、横尾から「本谷橋」を経て涸沢カールに到着するまでの約5.5km。急な登りが続き、登山らしい道が進みます。樹林帯を抜けるとひたすら山岳地帯の雰囲気が強まり、穂高連峰を間近に感じながら進むことができます。 山岳地帯に入ると、周囲の景色も一変し、登山の絶景を堪能できます。
普段、登山をしない人にも知名度の高い、紅葉の名所の涸沢カール。しかし、上高地バスターミナルから涸沢カールまでは本格的な登山となります。先ほどの涸沢カールまでの行き方でもお伝えしましたが、横尾までは3時間程度、平坦な道が続きますが、それ以降は岩場の多い登山道を登って行きます。また、上高地バスターミナルから日帰りでの往復は難しいため、宿泊準備(山小屋泊かテント泊)が必要です。
6時間の登山の末に涸沢カールに到着。鮮やかな紅葉の光景に息を飲みました。周囲を囲む3000mの山々も雄大で、言葉になりませんでした。また、カラフルなテントが並ぶ光景も名物。14:30に到着しましたが、既に多くのテントが張られていました。
涸沢カールには「涸沢ヒュッテ」と「涸沢小屋」というふたつの山小屋があり、テント場を管理しているのは涸沢ヒュッテです。
■ 涸沢ヒュッテ
・URL: https://www.karasawa-hyutte.com/
■ 涸沢小屋
・URL: http://www.karasawagoya.com/
テント泊の準備もそこそこに、涸沢ヒュッテで生ビールをゲットしました。これが、うまい。人生で一番おいしいビールだったかもしれない!
涸沢ヒュッテでは食事・飲み物を購入することができます。この日は繁忙期真っただ中だったので、オーダーするまでに約30分かかりました。また、おでんが人気のようで売り切れ。紅葉の時期、おでんが食べたければ早めの時間に到着した方が良さそうです。
今回、筆者は初めての本格的な登山でしたが、友人と一緒にテント泊となりました。筆者はキャンプ好きで、よくテントで寝るのですが、山のテント泊はまたひと味違って格別。テントのジップを開ければ天空の絶景でした。また、涸沢カールのテント場は岩場のため地面はかなりゴツゴツしています。平らでテントが設置しやすい場所は早い時間に埋まってしまうため、筆者のテント場は石を組み合わせて平らに調整しました。
また、涸沢カールは標高約2300m地点にあるので、夜はとても冷えます。この日も0℃近くまで冷え込みました。登山用の防寒着や寝袋の用意が必須です。テントも往復約11時間の道のりをザックに入れて持ち運ばなければいけないため、軽量かつ登山時に適した山岳用テントを用意しました。
また、山での楽しみのひとつに山メシがあります。今回は料理上手なメンバーもいて、かなり充実でした。
味や作りやすさもさることながら忘れては行けないのが「カロリー摂取の重要性」。登山ではカロリーを多く消費するので、次の日にまた歩くためにもしっかりとカロリーを補充することが大切です。
涸沢カールの名物に夜景があります。深い山の中で夜景?と思うかもしれませんが、ここで有名なのは室内ライトを点灯をしたテント群。涸沢ヒュッテ・涸沢小屋から観るとカラフルなテントが眼前に広がっていて幻想的です。また、19:00〜19:30は撮影タイムで「テントの室内ライトを点けてください」という放送が流れます。
往路と同じ登山道で上高地バスターミナルへ向かいます。横尾から上高地バスターミナルまでは平坦な道が3時間程度続きます。この平坦な道が意外とキツく、とても時間が長く感じました。筆者たちの下山の時間は約5時間30分(休憩込み)でしたが、1日目の疲労が溜まっているので、無理のないスケジュールで下山してください。
いかがでしたか?
3000m級の山々に囲まれた涸沢カールでは、他にはない魅力的な紅葉を観ることができました。ただ、思った以上に本格的な登山なのでしっかりと計画してください。テント泊のハードルが高いと感じたり、周囲に登山熟練者がいない場合は山小屋宿泊をおすすめします。テント泊とはひと味違う山小屋での時間を過ごすことができ、いずれにしても忘れられない経験になるでしょう!
文:曽我 将良