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東京・竹芝桟橋から船で24時間かかる小笠原は、気軽には行けない場所。それでも多くの旅人が通うのには理由があります。ダイナミックな自然、唯一無二の歴史、そして居心地のよさ。一度行くと必ず戻ってきたくなる、小笠原の魅力を「絶対にしたいこと」から探ります!
小笠原諸島周辺の海には、何種類ものイルカが生息しています。なかでもミナミハンドウイルカは好奇心が旺盛で、タイミングが合えば一緒に泳ぐことができるんです。
さまざまな会社がドルフィンスイムツアーを開催していて、参加すると船でイルカを探してくれます。イルカを見つけたら船長の合図で海へ。ボニンブルーと呼ばれる紺碧の海で、野生のイルカと泳ぐ夢のような体験。イルカの興味を引くために、スノーケリングの練習をしておくといいですよ!
父島から南西へ約1kmに浮かぶ南島は、周辺の海域とともに世界遺産の構成要素。雨や風による浸食を受けて石灰岩が沈降した沈水カルスト地形が特徴です。島内にはすり鉢状の窪地であるドリーネや鋭くとがった岩が続くラピエなど特殊な地形が広がり、扇池と呼ばれる白砂のビーチはまさに絶景。
南島への上陸は、ドルフィンスイムやホエールウオッチングツアーに組み込まれていることが多いのでチェックしてみて。冬の一定期間、南島の自然観察路が利用できないのでご注意を。
小笠原諸島の周辺は、これまでに20種類以上のクジラ類が確認されている世界でも貴重な海域。12月から5月上旬にかけては、北太平洋のベーリング海などからザトウクジラが回遊してきて、交尾や出産、子育てを行います。この時期は陸からもザトウクジラが観察でき、船で観察するツアーも開催されます。生まれたばかりのクジラを守るように泳ぐ母クジラや、メスのクジラをめぐって競い合うオスのクジラといったネイチャーシーンは感動もの。
この時期以外はマッコウクジラのウオッチングツアーが開催され、こちらもダイナミックな光景に出合えますよ!
父島や母島には、さまざまなトレッキングコースが用意され、豊かな自然のなかを歩けます。なかには入林許可を受けたガイドの同行が必須のコースもあり、小笠原の自然を知り尽くしたガイドの話を聞きながらのトレッキングを楽しめます。
ハートロックツアーは、小笠原の名所ハートロック(千尋岩)の頂上を目指す人気の1日ツアー。周辺は森林生態系保護地域になっており、ガイドツアーに参加しないと歩けません。固有植物が茂る森を抜け、海に突き出した巨岩の上に立つと、目の前に広がるパノラマビューに感動すること間違いなし!
本格的なトレッキングはもちろん、ちょっとした遊歩道でも、美しい景色を見られるのが小笠原のすごいところ。旭山遊歩道は車道の夜明道路沿いに入口があるので、天気がいいときに思い立ったらすぐ行ける気軽さが魅力です。
遊歩道は往復1.6km、1時間ほどのルート。父島らしい乾性低木林のなかを歩くと、山頂の先にある展望ポイントからは、おがさわら丸が入港する二見港を一望。北に兄島、南に南島と変化のある景観を楽しめます。
小笠原には美しいビーチがたくさんありますが、気軽に遊べるビーチといえば何といっても大村海岸。二見港の脇に延びるビーチで、レストランやおみやげ屋さんが並ぶメインストリートからもすぐ。芝生の広場を抜けると穏やかなビーチが広がります。
ソーダ色の海と白砂のコンビネーションは、まさに楽園風景そのものです。島民の憩いの場にもなっていて、砂浜やビーチに面した芝生の広場でくつろぐ人々の姿も。
小笠原に到着した日や出発する日の海遊びにも便利です。
大村集落から車で約7分のウェザーステーションは、三日月山園地にある展望台。紺碧の海を望み、特に夕日の美しさは格別です。雄大な水平線に沈む太陽と空の色は、毎日異なる一期一会の美景。空がきれいに染まりそうな日は、観光客だけでなく島の人たちも展望台に集まってきます。
夜は星空の観察スポットとしても人気で、スターウオッチングツアーにも使われています。冬はホエールウオッチングを楽しめ、展望台の真下でザトウクジラのジャンプが見られることも。
ナイトツアーは、夜の小笠原を探検する冒険心を刺激するツアー。18時30分~19時頃に出発して2時間ほど森やビーチを歩きます。
主役は昼間息をひそめていた生物や、明るい時間帯には見えなかった植物たち。オオコウモリが音もなく上空を舞い、森から出てきたオカヤドカリは浜辺を目指しのそのそ…。特に小笠原オオコウモリは父島に300~400頭前後しか生息しない貴重な天然記念物です。可憐な光を放つキノコ、グリーンペペも幻想的ですよ!
小笠原での宿泊は、朝夕の食事がついたホテルや民宿から、朝食のみのペンションや素泊まりのコンドミニアム、コテージまでさまざま。レストランや居酒屋、カフェも多く、食事には困りません(ただし予約はしておいたほうがいいです!)。
特に居酒屋は、多彩な島食材を使った料理が揃っていて、メニューを選ぶのも楽しみ。高級魚アカバ(アカハタ)の煮付けやオナガダイの刺身、カラシで食べる島寿司、ウミガメの煮込み、島野菜の天ぷらなど食べてみたいメニューがいっぱいです。島レモンや島ダイダイ、パッションフルーツなどを使ったご当地ドリンクもおすすめです。
小笠原へ行くには、片道24時間の船旅が必要で、これがハードルになっているのは事実。でも小笠原リピーターに話を聞くと、多くの人が「おがさわら丸での時間が忘れられない」と言います。これ、実際に乗ってみるとわかるのですが、24時間やることがない…つまり時間に追われないすごく贅沢な体験なんです。甲板に出て海や星空を眺めたり、家族とカードゲームをしたり、知り合った人とお酒を飲んだり、ほかにすることがないからこそ楽しめる時間ってあるんですよね。
小笠原の旅行でいちばんの思い出は、実はおがさわら丸での時間かもしれません。
小笠原だけのガイドブック!本書は島で活躍する人々が教えてくれたとっておきの情報が満載。「体験する・遊ぶ・観る・食べる・買う・泊まる」の定番情報はもちろん、絶景スポットや地元の人と触れ合える固有の伝統芸能体験なども紹介。さらに歴史や文化までを網羅した1冊です。さあ島旅へ。
08 地球の歩き方 島旅 小笠原 父島 母島 4訂版
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2025/04/10発売ようこそ!絶景スポットから遊び方、カルチャーまで、島の人たちが教えてくれた小笠原の魅力を1冊に凝縮。さあ、島旅へ。
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※当記事は、2022年7月26日現在のものです
TEXT: アトール高井章太郎
PHOTO: 松島正二