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コロナ禍に入って3度目の秋。初期の閑散としていたウィーン市内とは打って変わって、今年の秋は人で賑わっています。現在オーストリアの新コロナウィルスにおける日々の新たな感染者数は8000件前後。寒くなろうが風邪が流行ろうがノーマスクで町に繰り出すウィーンっ子たちは、暑い夏が過ぎ去ってもアクティブです。帽子とマフラーが必須の10月に、秋冬の風物詩でもあり栄養満点の栗の楽しみ方をウィーン在住の筆者がお伝えします。
日本でも今が旬の栗は、ここオーストリアでも9月末から出回り始め、美味しい季節の到来です。ウィーンでは一足先にスーパーで量り売りの栗が出ると、町中でも焼き立ての栗を売る屋台が出始めます。足を止めては珍しそうに眺めていく観光客の姿や、買い物がてらに立ち寄り、食べ歩きながら岐路につく地元の人たちはまさにこの季節の風物詩。栗を意味する「Maroni(マローニ)」や「Kastanien(カスタニエン)」の文字を町の至る所で目にする季節です。
この時期になると、生栗だけではなく便利な剥き栗や栗のペーストも数多く出回り、用途に応じて使い分けることができます。もちろんそのまま食べても美味しい剥き栗は、スープ用にも人気の商品で、この時期は1点購入するともう1点は無料(1 + 1 Gratis)とスーパーでお買い得になっていることも。
遥か昔、ある地域ではじゃがいもがもたらされる前は主食にされていたこともある栗は、その栄養価の高さが意外と知られていません。ビタミンやミネラルを始め様々な栄養素を持ち合わせる秋の珍味は、美味しいだけではなく免疫力を上げてくれるまさに一石二鳥のスーパーフード。剥き栗と野菜がたっぷりのスープは寒い季節に嬉しいメニューです。
栗を楽しむのに欠かせないお供がこちら「Sturm(シュトゥルム)」。シュトゥルムはアルコール発酵がまだ初期段階でアルコール度数平均4度の発泡性飲料であることからも、俗に新しいワイン「Neuer Wein(ノイアーヴァイン)」と呼ばれています。シュワっとしたその発酵具合からドイツ語で「嵐」を意味するシュトゥルムは濾過されていないため、見た目はワインよりも混濁しています。
また、ワインと違いシュトゥルムは発酵し続けています。吹きこぼれ防止のため、スーパーや市場では瓶の蓋が少し開いた状態で「Nicht umlegen!(倒さないように!)」と注意書きの上、立てて置かれています。そのため持ち運びや保管の際も横にならないように要注意!
この時期よく見かける白シュトゥルム「Weisser(ヴァイサー)」の他に、シュタイアーマルク州が産地の「Wildbacher(ヴィルトバッハー)」というブドウ品種から作られた、ほんのり赤いシュトゥルム「Schilcher(シルヒャー)」も有名です。ワインと同様、シュトゥルムもブドウの種類や発酵具合で味はもちろんアルコール度数も変わってくるので、色々試してみるのもいいですね!
発酵初期のため平均4度というアルコール度数の低さからも、シュトゥルムはお酒というよりも甘い微炭酸ジュースのようでゴクゴク飲めてしまいます。そして何と言っても栗との相性抜群!食べ方は至ってシンプル。便利な剥き栗をシュトゥルムと食べるもよし、生栗をオーブンで焼いてアツアツのうちにシュトゥルムと楽しむもよし。
この時期、ウィーンの老舗カフェハウスでは栗を使ったケーキやチョコレート等のお菓子が並びます。オーストリアスイーツの王道ザッハートルテやアプフェルシュトゥルーデルの他に、今しか味わうことのできない季節のスイーツを試してみるのもまた秋の醍醐味ですね。
残念ながらシュトゥルムや栗のケーキを日本へ持ち帰ることはできませんが、例えば有名なHeindlのお菓子「Schokomaroni(ショコマローニ)」や栗の風味が濃厚なマロンクリームは日持ちが良いので、秋のオーストリア旅行のお土産として喜ばれること間違いなし。栗とシュトゥルムは毎年9月末から11月まで楽しむことができます。栗屋台は10月から翌年3月末頃まで出ているのでそちらもお見逃しなく!
「芸術と歴史の町」ウィーン、「モーツァルトの故郷」ザルツブルク、「ヨーロッパの十字路」インスブルック……中欧の美しい町を自由自在に歩きまわれる地図と旅情報が自慢のガイドブック。町歩きはもちろん、オペラのスケジュールからカフェ巡り、歴史探訪、ハイキングなどオーストリアを楽しむ情報が満載です。
■地球の歩き方 ガイドブック A17 ウィーンとオーストリア 2020年~2021年版
・URL: https://hon.gakken.jp/book/2080128200
※当記事は、2022年10月7日現在のものです。
〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2022年10月7日現在、国によってはいまだ観光目的の渡航が難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。
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