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フランス旅行の楽しみのひとつは食。町にたくさんあふれている美味しいものを、十分に堪能できるように、ひとまずこれだけを覚えておけば間違いのない定番料理を10種類選んでみました。
フランス旅行をしていてレストランやワインバーなどで、必ず一度は目にする料理がテリーヌ(パテ)です。肉や魚などをすりつぶして調味料で味付けし、容器に詰めた後にオーブンで焼いた料理です。
ビストロなどのコース料理では前菜としてメニューに載っています。ワインバーなどコースではなくタパス的に注文できるお店は、おつまみとしてみつけることができます。スライスしてお皿に盛られ提供されます。
私、個人としては前菜で迷った時は、テリーヌを選ぶことが多いです。定番ということもあるのですが、お酒とも相性が良く、日本人にも親しみやすい味付けをされているものが多く、食べやすいです。
フランス料理のイメージから、まず候補に挙がるのがフォアグラではないでしょうか。ガチョウまたはカモの肝臓です。産地はフランス南西部。ガチョウやカモに餌をたくさん与えて肝臓を肥大化させて作ります。
クリスマスなど祝い事の席ではよく食べられる食材ですが、祝い事だけに限らず、ビストロやレストランでも普段からメニューに載っています。少し華やかに前菜を始めたい時はフォアグラを選ぶと良いかもしれません。
前菜で出される際は、フォアグラもテリーヌのようにスライスして出されます。メインディッシュで使われる場合は、肉などが主になって、その料理のアクセントとして用いられることが多いです。
冬場になってくると町のカフェやビストロの軒先に、殻のままの生牡蠣が詰まったケースが置かれるようになります。フランスでは生で牡蠣を食べるのが主で、注文を受けるとお店で殻を開けて出してくれます。
生牡蠣にはレモンやエシャロットソースが添えられているので、お好みで付けます。もし牡蠣を注文するなら、シャンパンやソーヴィニヨンブランなどのブドウ品種の白ワインもペアリングとしては最適です。
牡蠣は産地や大きさがさまざまあり、ブルターニュ地方のジラルドなど有名産地のものになると高くなります。海鮮に力を入れているレストランやオイスターバーの場合は、牡蠣を開ける専門の職人がいます。
日本でもよく食べられているスズキは、フランスでも定番の食材です。日本ではスズキの旬は夏ですが、フランスでは年間を通してメニューに並んでいます。
日本人にも馴染みのある魚であり、味もイメージから大きく外れることが少ない食材です。ロティ(ロースト)などで調理されています。フランス旅行も後半になってくると、当初は元気よく食べることできた肉料理もだんだん重たく感じるようになってくるかもしれません。そのような時に魚料理は胃への負担も軽く、安心して食べることができます。
ビストロなどのメニューに並ぶ魚料理だと、スズキのほかにはタラやヘダイなどの白身魚が使われていることが多いです。
カモもビストロでの定番メニューですが、カモ肉を油に浸して、それを低温でゆっくり加熱したカモのコンフィは定番中の定番のメニューです。コンフィは油に漬けておくことで腐敗を防ぐことができるので、元は保存食として考案されました。
美味しいビストロのコンフィは、皮がカリカリに仕上げられ、内側の肉は火が入りすぎず程よい食感でカモのうま味がしっかりと感じられるもの。少し毛色は違いますが、定番メニューという点では日本の定食屋でいうトンカツのようなもの。いろいろなビストロのカモのコンフィを食べ比べてみても微妙に味付けや食感が異なっていて楽しいです。
同じカモ料理で、もうひとつ定番なのがマグレ・ド・カナールと呼ばれるカモの胸肉を焼いたもの。カモのコンフィは多少油っこいため、それが苦手な場合、マグレ・ド・カナールをおすすめします。フォアグラを生産した後のカモ肉を料理に使うことから、カモ料理はフォアグラと同じくフランス南西部の名物です。
生肉好きな人がフランスでよく注文するのがタルタルステーキ。名前だけを聞くと“タルタルソースをかけたステーキ”を想像してしまいそうですが、正しくはフランス版のユッケです。生の牛肉を荒いみじん切りにして、そこに塩、コショウ、オリーブオイル、タマネギ、ニンニク、ピクルスなど薬味を混ぜ込んで、黄卵を添えます。
生肉が苦手な人にとっては、その見た目から食べづらい印象を受けるかもしれませんが、美味しいお店のタルタルステーキだと、ネギトロのような食感でもあり、イメージを一新させてくれます。値段もメインディッシュの中ではお値打ちの部類にあることが多く、注文しやすい料理です。
ちなみに「タルタル」は牛肉に限らず、サーモンなどの魚が使われることもあります。生魚を使うサーモンのタルタルなどは、まさに日本人にとって身近な味で、とても食べやすいです。
フランスでは羊肉も食材としてよく使われます。羊肉には2種類あり、生後300日までの羊をアニョー、それ以降のものをムトンといいます。アニョーはムトンに比べて臭みがなく食べやすいです。子羊の定番料理はいくつかありますが、ローストしたロティ・ダニョーなどはよくメニューに並んでいます。
観光地だと、特にモン・サン・ミッシェルへ行く時に、現地のビストロやレストランで羊料理を多く目にするはずです。モン・サン・ミッシェル周辺で放牧される羊は、海水の塩分を含んだ牧草を食べて育つため肉にほんのりと塩味がつき、「プレ・サレ」と呼ばれ特産品となっています。
羊は肉以外に、フランスでは羊乳からブルビと呼ばれるチーズも作られます。ブルビは日本では食べる機会も少ないですので、フランスに来たらぜひ味見してみてください。
羊が成長具合に呼び名が変わるように、牛も生育や性別で名前が変わります。満1歳までの子牛をヴォー、それ以降をブフ、雌牛をヴァーシュといいます。呼び方が異なっていても同じ牛肉ですので、メニューを見る時に頭の片隅に置いていくと良いかもしれません。
さて、子牛であるヴォーですが、フランスらしい料理が多いです。まず定番といえばブランケット・ド・ヴォー。子牛のクリーム煮のことです。そして内臓系が好きな人には人気が高いリー・ド・ヴォー。子牛の胸腺のことです。牛の胸腺は成長すると小さくなってしまうため子牛特有の部位であり、ふわっと柔らかな食感が特徴です。
ステーキなどでも、ヴォーだと肉が柔らかなことが多いですし、この名前の違いを覚えておくと料理が頼みやすくなります。
フランス人にとってデザートは切っても切り離せない食事の一部です。クレーム・ブリュレなど、日本でもすでに知られているフランスのデザートは多いですが、なかでも飲食店でしか食べられず、フランスらしいデザートといえばプロフィットロールでしょう。
プロフィットロールとは、アイスクリームを挟んだシュー生地にチョコレートソースがたっぷりとかかったもの。ビストロで出てくるプロフィットロールは、見た目にも大きく立体感があり、前菜とメインを終えた後に食べられるかなと思えるくらいのものを出してくるお店もあります。
これをペロリと平らげて、最後にエスプレッソを頼めば、すでにフランス人! お腹を空かせてレストランへ行き注文してみてはいかがでしょうか。
デザートがいくつかあり目移りして決められない時はカフェ・グルマンがおすすめです。グルマンとは「食いしん坊」のこと。さまざまな種類のデザートを小分けに少しずつお皿に乗せたもので、エスプレッソが添えられています。少しずつデザートを味見しつつ、最後にコーヒーも飲めるというお得度の高いデザートです。
食事の締めのデザートとしてだけでなく、お茶をするときのお供としても有能です。ビストロ以外にも、カフェなどでも置いてありますので、コーヒーだけでは物足りないという時にも頼んでみましょう!
監修:地球の歩き方