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大好評の地球の歩き方「旅の図鑑」シリーズに、新たな1冊『世界のすごい墓』が加わりました。世界の偉人、君主たちが眠る、194の墓と霊廟を、旅の雑学とともに解説。墓参りのガイドとなるのはもちろん、偉人たちの功績を知り、また国ごとに異なる死生観や文化に触れることのできる図鑑です。
世界的に有名な観光名所のなかには、墓所や霊廟として建てられたものがいくつかあります。インド北部にある「タージ・マハル」はその代表といえるでしょう。ムガル帝国の第5代皇帝シャー・ジャハーンが、妃ムムターズ・マハルのために建てた霊廟で、完成まで22年を要した壮大な建築物です。左右対称の均整のとれた造りと、最高級の材料を惜しみなく使った装飾で、インド・イスラム建築を代表する傑作とされています。本書では、ほかにもスケールに圧倒される12の墓を紹介しています。
イタリアのヴェネツィアには、水の都らしく船で訪ねる墓地があります。ヴェネツィアの潟に浮かぶ正方形の島、サン・ミケーレ島です。水際に建てられた教会があるほかは、なんと島全体が墓地。フランスの支配下にあった19世紀に整備されたもので、当時、不衛生とされていた墓地を本土から離れた場所に移して、疫病の蔓延を防ぐ目的もあったといわれます。れんが造りの壁で囲まれた墓地には、ロシア・バレエ団の創設者セルゲイ・ディアギレフや作曲家ストラヴィンスキーが眠っています。
ヨルダン屈指の観光名所であるペトラ遺跡は、古代、キャラバンたちが行き交った場所に残る広大な史跡。ここで発掘された遺構のひとつ「エル・ハズネ」は、この地を支配していたナバタイ人の王の霊廟と考えられています。砂岩の崖を切り取って造られたファサード(正面)は、2000年の時空を超えて、バラ色に輝いています。映画『インディ・ジョーンズ最後の聖戦』のロケ地になったことでも知られ、多くのファンが訪れています。
墓地というと、一般的に「暗く厳かな場所」ととられられていますが、そのイメージを覆すような、色彩豊かで楽しげな墓地が世界にはあります。たとえばルーマニアのサプンツァという村にある墓地は、その名も「メリー・セメタリー(陽気な墓地)」。1935年、木彫り職人のスタン・イオン・パトラシュが、墓碑に故人の肖像とその人生を伝える手書きの文字を刻んだのがきっかけとなり、800基を超えるカラフルな墓碑が並ぶ墓地になったのでした。
グアテマラのチチカステナンゴの市民墓地もまた、明るい雰囲気の墓地として知られます。マヤ文化が色濃く残るこの地では、死者を敬うことで、避けることのできない「死」と折り合いをつけることができるのだとか。ピンクや水色の家型墓地がずらりと並ぶ様は、まるで小さな村のようです。ほかにもメキシコのイスラ・ムヘーレスの墓地などポップで色彩あふれる墓地があり、「死」に対するネガティブなイメージが薄らいていくかもしれません。
墓地や霊廟は、神聖な場所。故人へのリスペクトの気持ちをもって、参拝しましょう。たとえば、大聖堂の内部に墓がある場合など、ノースリーブや短パンといった露出度の高い服装では入場できないことがあります。入る前に帽子を脱ぐのも基本的なマナーです。また、イスラム圏の国で女性がモスクに入る際は、スカーフで髪を覆う必要があるなど、国や宗教によってタブーとされる行為もあるので、注意が必要です。世界には、戦争の犠牲者を追悼するために造られた墓地も多数あります。志半ばで命を落とした人々のために祈りを捧げ、平和の尊さを知ることは、墓巡礼の貴重な体験となることでしょう。
TEXT: 『地球の歩き方 W31 世界のすごい墓』編集担当 坂井彰代(オフィス・ギア)
PHOTO: iStock
〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
渡航についての最新情報は下記を参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
W31 世界のすごい墓
W31 世界のすごい墓 メメント・モリ あの偉人が眠る194の墓と霊廟を旅の雑学とともに解説
旅の図鑑
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