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パリ滞在のスケジュールや町の印象を大きく左右することもある滞在場所。場所の雰囲気で選ぶのか、部屋や施設の内容で選ぶのか、それとも予算で選ぶのか、パリ市内の各地域別にあるホテルを紹介します。
目次
パリは中心部からカタツムリの殻ように渦巻き状に1区から20区まで行政区が分かれており(ただし1〜4区は、現在は「サントル」と呼ばれる)、オペラ座(ガルニエ宮)からルーヴル美術館があるのが、その中心である1区および2区です。この地域は周囲に観光スポットが集積している上に、パリ市内のいずれの場所にもアクセスが良好です。シャルル・ド・ゴール空港とパリ市内を直結するロワシーバスの発着場所(オペラ座の裏手)もあります。
とにかくアクセスが便利なところがいい、オペラ座もルーヴル美術館もすぐ近くにある滞在がしたいという場合は「ノリンスキ・パリ」がおすすめです。オペラ座とルーヴル美術館をつなぐオペラ大通りのちょうど中間に位置し、どちらも歩いて数分。ホテルを出て北を向けばオペラ座が、南を向けばルーヴル美術館の建物が見えます。
重厚感ある内装はフランス人インテリアデザイナーのジャン・ルイ・ドニオ氏が手がけています。地下にはスキンケアブランド「ラ・コリーヌ」のスパも入ります。5つ星のホテルです。
パリの定番とともに新しいトレンドも感じてみたい場合は、中央郵便局の建物を改装してオープンした「マダム・レーヴ」はいかがでしょうか。建物全体の改築はフランス出身の世界的建築家ドミニク・ペロー氏が担当。パリの新しいスポットとして生まれ変わりました。ルーブル美術館は徒歩圏内ですし、パリのグルメストリートのひとつであるモントルグイユ通りは目の前、また多くの地下鉄路線が乗り入れるパリ中心にある駅シャトレ・レ・アール駅もすぐそばです。
ホテル屋上にはポンピドゥー・センター、サントゥスタッシュ教会などを眺めながら楽しめるルーフトップバーや、ホテル地上階にはアールヌーヴォー様式の家具で彩られたマダム・レーヴ・カフェがあり、中心部にいながらゆっくりとした上質の時間を楽しめます。同ホテルも5つ星です。
パリ中心部東寄りに位置しているマレ地区は、ファッションとアートと多様性文化が集まる地区です。ここに宿を取れば、ホテルから一歩外へ出ただけで眼前にパリの懐の広さと活力が迫ってきます。フランスを代表する現代アートの美術館である国立近代美術館(ポンピドゥー・センター)やヴィクトル・ユゴー記念館があるヴォージュ広場のほかにピカソ美術館、カルナヴァレ美術館などが集まります。話題のレストランやパティスリーも多く、見て感じて食べて楽しい地区です。
そのヴォージュ広場ですが、フランス国王アンリ4世によって造られたパリでもっとも古い広場のひとつです。世界でもっとも美しい広場にすることを目的として建設が始まり、ルイ13世の治世に完成しました。同広場にある5つ星ホテル「ル・パヴィヨン・ド・ラ・レーヌ」は、日本語にすると「王妃の館」という意味。ルイ13世の妃、アンヌ・ドートリッシュが婚礼の際に滞在した建物です。
ヴォージュ広場のファサードを抜けた奥にある隠れ家のようなホテルで、客室などは歴史あるエレガントな雰囲気は残しつつモダンに改装されています。活気あふれるマレ地区を散策した後に、ゆっくりと体を休め落ち着ける空間となっています。
マレ地区のクラシックさをより近く感じたい場合は「オテル・ド・ラ・ブルトヌリー」はいかがでしょうか。17世紀の貴族の館を改装したホテルで、内装に残るむき出しの木の梁などは、後年にできたオスマン様式の重厚な建物とは趣が異なり、より歴史を感じます。
3つ星ホテルのため、上記に紹介してきた5つ星ホテルと他と比べてカジュアルに泊まることができ、またマレ地区にある立地の良さを享受しながらパリが積み重ねてきた歴史にも触れられます。
セーヌ川を境にして北側を右岸、南側を左岸と呼びます。そして右岸と比べて左岸はよりシックな雰囲気が特徴です。なかでも6区であるサン・ジェルマン・デ・プレ地区は、落ち着いたパリ滞在を望みつつ、パリ中心部の雰囲気は存分に感じていたい人にぴったりの場所です。サンジェルマン・デ・プレ教会やサン・シュルピス教会の他に、パリでもっとも美しい公園のひとつであるリュクサンブール公園、カフェ・ド・フロールやレ・ドゥー・マゴなど左岸に栄えた文学カフェの香りがただよいます。
名所・旧跡も多く、どれだけ滞在日数があっても訪れる場所には事欠かないパリですが、一方で落ち着いて流れる時間を楽しむことも、パリ滞在の醍醐味です。そんなゆっくりとしたパリを楽しむ際にぴったりなのが「リュクサンブール・パルク」。リュクサンブール公園のすぐ横に位置する4つ星ホテルです。
公園が目の前ですので、朝起きてパリっ子とともに公園内をジョギングしても良いですし、午後は早めに予定を切り上げて、リュクサンブール公園のベンチに座りながら木陰で読書をするなど、旅行者のモードから切り替えて、パリに住む人々と生活リズムをそろえてみても素敵です。ホテルもクラシックな雰囲気で、思い描くパリのイメージを楽しめるはずです。
もう少しサン・ジェルマン・デ・プレ地区の雰囲気をダイレクトに受け取りたい場合は「オ・マノワール・サンジェルマン・デ・プレ」を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。サン・ジェルマン・デ・プレ教会のすぐ近く、作家ヘミングウェイが愛したブラッスリー、リップの隣にあります。
サン・ジェルマン大通りを挟んで向かい側には、レ・ドゥー・マゴやフロールといった老舗カフェが立ち並んでいますので、ホテルでの朝食は取らず、哲学者サルトルなどが通った文学カフェで1日を気軽にはじめることもできます。同ホテルも4つ星です。
パリ来たら常にエッフェル塔を感じていたい、そして上質なレストランと地区に滞在して、ゆっくりとパリの町や人を楽しみたい場合は、7区がぴったり。この地区はセーヌ川寄りにオルセー美術館があるほか、フランス外務省や各国大使館が立ち並ぶ閑静な住宅街です。そのためパリ有数の質の高いグルメ地区でもあります。
地下鉄8号線エコール・ミリテール駅近くエッフェル塔とアンヴァリッドの間に建つ5つ星ホテル「ル・サンク・コデ」はパリ7区の上質な雰囲気と観光をあわせて味わうには絶好の立地です。かつてフランス・テレコム(フランスの大手電気通信会社、現オランジュ)として使われていた建物を改装してホテルにしたもので、フランス人建築家ジャン・フィリップ・ニュエルがリフォームを担当しました。
オフィス時代の大きな窓や、館内に装飾された400点以上のアート作品がパリらしさを伝えてくれます。ハマムやジャグジーを備えたスパもあり、旅行で疲れた身体をリセットしてもよいですね。
同じくエコール・ミリテール駅近くにある4つ星ホテル「ラ・コンテス」は、エッフェル塔好きにはまたとないホテルです。エッフェル塔が見えるシャン・ド・マルス公園まで徒歩すぐという立地だけでなく、見え方に違いはありますがほぼ全室からエッフェル塔を望むことができます。
館内の装飾もヨーロッパらしいまとめ方で、パリおよび7区での滞在に彩りを添えてくれます。
起伏に富んだ地形と路地が入り組み、映画セットのような町並みの中でパリ滞在を過ごしたいなら、モンマルトル地区がおすすめです。モンマルトルの丘の上にあるサクレクール聖堂をはじめ、似顔絵画家が露店を出しているテルトル広場や、各国語で「愛してる」と書かれたジュテームの壁など、とにかく散策が楽しい地区です。丘の麓には老舗キャバレー、ムーラン・ルージュもあります。
ただし、モンマルトル地区の丘の上は高級住宅地で治安が良いですが、麓のクリシー大通りは歓楽街となっており、治安の丘の上と比べて悪くなります。パリに慣れていない人にとってはクリシー大通りより上にホテルを取ることをおすすめします。
モンマルトル墓地のすぐ隣、丘陵地にせり出すように建つ4つ星ホテル「テラス」は、パリを一望できるモンマルトルの絶景を滞在先にまで持ち込んだようなホテルです。同ホテルの最上階と屋上には、ホテルの名前にもなっているテラスが設けられ、朝食時に利用できます。1日のスタートを眼下にパリを眺めながら切れることが特徴です。
創業100年を超えるホテルですが館内は全面的に改装され快適な滞在が両立できます。ホテル利用せずとも、併設レストランで景色を眺めながらのアペロや食事など、一度訪れてみてもよい場所です。
モンマルトルの丘を挟んで北側に降りた地区は、地下鉄12号線ジュール・フォフラン駅周辺は、初めてのパリ旅行では選択肢の上位に上がってこない地区ですが、下町の雰囲気が広がり、おしゃれだけどお得な値段で楽しめるおいしいレストランなども点在します。ホテルの価格もパリ中心部と比べると安価です。同地区にある3つ星ホテル「イーデン・モンマルトル」は、滞在費を抑えつつツーリストに染まっていないパリの良さを感じたい時におすすめです。館内はリノベーションもされています。
2度目、3度目のパリで定番は大体チェックして、名所巡りはするつもりはないため、もう1歩進んでパリの良さを知ってみたいという時にはとても合うホテルです。
監修:地球の歩き方