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目まぐるしく進化を続ける東京の街。新しいイメージの一方で、古くからの伝統も数多く根づいています。なかには芥川龍之介や太宰治など、名だたる文化人たちが愛した店も点在。今回は『地球の歩き方 東京23区』から、8店をピックアップしてご紹介します。当時の情景に思いを馳せて、おいしい街歩きをしてみませんか?
昭和12年に創業以来、池袋で愛され続けている「池袋 三原堂」。池袋に定住していた小説家の江戸川乱歩が、作中で「この店は池袋名物のうちでも光った存在の一つであろう」と書き残すほど通った店としても知られています。なかでも乱歩が好んで食べていたのが「薯蕷饅頭」。すった山芋、砂糖、米粉などの真っ白な生地にあんを包んだシンプルな一品で、今も当時と変わらぬ姿で人気を博しています。乱歩にちなんで原稿用紙をイメージしたパッケージは、おみやげにもうれしいですね。ほかにも、塩と醤油が香ばしい「塩せんべい」や北海道のブランド小豆「雅」を使用した「大最中」など伝統の味はもちろん、時代に合わせた商品も豊富。素材にもこだわった老舗の味を、ぜひ堪能してください!
夏目漱石の『吾輩は猫である』、正岡子規の『道灌山』などに登場する“芋坂の団子”こと「羽二重団子」。文政2(1819)年創業の由緒ある和菓子屋で、団子のきめが細かく、絹織物の羽二重のようだと絶賛されたことからその名が付けられました。生醤油を塗った焼団子と、渋抜きのこしあんで包まれた餡団子の2種類は、創業時から変わらぬおいしさで愛されています。正岡子規はいつも「あん付き3本、焼き1本」の4本を好んで食べていたそうで、それを再現した「子規セット」というメニューもあるほど。ほかにも文豪のエピソードにちなんで、岡倉天心の「天心セット」、夏目漱石の「漱石セット」も用意されています。
明治に開花した洋食文化を象徴する名店を2店ご紹介!上品な見た目と味わいの「アイスクリーム・ソーダ」がいただけるのは、明治35年創業の「資生堂パーラー 銀座本店」。ソーダ水と当時まだ珍しかったアイスクリームを製造販売する、日本初のソーダファウンテンとして誕生しました。アイスクリーム・ソーダは森鷗外や太宰治の作品にもたびたび登場。伝統フレーバーのレモンやオレンジに加え、現在は季節のフルーツや土地にちなんだフレーバーも登場。時代を超えて人々を魅了してきたチキンライスやミートクロケットなど、伝統メニューの数々も要チェックです。
皇室などの上流階級や文化人から人気を集めたのは、上野恩賜公園内に店を構える「上野精養軒」。芥川龍之介は祝賀会や送別会に、高村光太郎は結婚披露宴で利用したというエピソードも。本格フランス料理を味わうことができ、今では老若男女に愛される気品あるレストランです。店内は大きな窓から光が差し込み開放的。上野公園の自然を見晴らせるテラス席も用意されています。人気メニューは、伝統のドミグラスソースを使ったビーフシチューやハヤシライス。セットメニューやデザートも豊富で、何度でも訪れたくなりますね。
国の登録有形文化財にも指定される、日本最古のビヤホール「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」。美しい装飾がびっしりと施された特別な空間で、こだわりの生ビールとおつまみをいただけます。伝統の職人技「一度注ぎ」は必見!雑味を泡に閉じ込めることで、苦味が少なくすっきりとしたのどごしのビールに仕上げています。もちろん料理にもこだわりがたっぷり。数量限定の人気メニュー「銀座ローストビーフ」は、遠赤外線オーブンで焼き上げた柔らかくジューシーな逸品です。
元祖「くず餅」で親しまれる、江戸時代創業の老舗「船橋屋」。絶妙な食感と飽きのこない優しい味わいで、老若男女に愛されています。そのおいしさの秘密は、手間を惜しまない製造方法にありました。小麦粉のでんぷん質を発酵させて作るくず餅は、通常8ヵ月の発酵で作れるのだそう。しかし船橋屋では、独特の食感を引き出すために15ヵ月間も熟成します。亀戸天神前本店には喫茶ルームも設けられているので、落ち着いた和の空間であんみつなどの甘味を楽しむのもいいですね。ちなみに、本店の喫茶ルームに掲げられる「船橋屋」の大看板は、常連だった作家・吉川英治が手がけたものだといいます。
「おいしいおそばを、気持ちよく」をモットーに蕎麦作りを続ける「かんだやぶそば」。江戸前三大蕎麦のうち、藪蕎麦「蔦屋」ののれんを譲り受け、明治13年に創業しました。上品な緑色の蕎麦は、1年中おいしく見えるようにと初代が若芽を練り込んだのが始まりだといいます。現在は国産最上級のそば粉を使用しており、辛めのつゆとも相性抜群。とろろ汁に蕎麦を絡めて食べる「そばとろ」もファンが多い人気メニュー。美しい庭の見える純和風の店内で、格別の味わいを体験してください。
築70年の一軒家を改装した「浅草 酒膳一文本店」。お金を木札に両替して注文する仕組みがユニークなお店のいち押しは江戸名物のねぎま鍋。まぐろを醤油漬けにして保存していた当時、保存に適さず捨てられていたトロの部分をなんとか活用できないかと生み出された料理です。鍋に入れることで脂が抜けてさっぱり食べやすく、だしには旨味が溶けだすので、最後までおいしくいただけます。くじら料理にも定評があり、非常に珍しい「ナガスくじら」が入荷されることも。料理に合う品揃え豊富なお酒は、オーナーが厳選して仕入れています。
J01 地球の歩き方 東京 23区 2024~2025
地球の歩き方 国内
2023/07/13発売江戸東京の伝統・粋・老舗・旬をテーマに23区の各エリアをさらに深堀りしてパワーアップ!進化するTOKYOをいざ、再発見。
江戸東京の伝統・粋・老舗・旬をテーマに23区の各エリアをさらに深堀りしてパワーアップ!進化するTOKYOをいざ、再発見。
今回ご紹介したグルメをはじめ、老舗から新名所まで東京23区の魅力をぎゅぎゅっと詰め込んだ『地球の歩き方 東京23区』は好評発売中!グルメ以外にも、街の歴史や宿泊、旅のノウハウなど、全532ページにわたって23区を楽しみ尽くすヒントが盛りだくさん。持ち歩きに便利な別冊マップ付きで、行きたいスポットが必ず見つかります。ぜひ地球の歩き方を片手に、歴史と最新が交差する東京の街を歩いてみてください!
TEXT: 『地球の歩き方 J01 東京 23区』ライター長谷川惠乙(ART LOVE MUSIC)
PHOTO: 和氣淳、遠藤麻美
〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
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