
地球の歩き方 W29 世界の映画の舞台&ロケ地
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フランク・ハーバートによる超人気SF大河小説『デューン 砂の惑星』を、名匠ドゥニ・ヴィルヌーヴが圧倒的な映像で実写化し話題を呼んだ『DUNE/デューン 砂の惑星』。その続編が3月15日より公開されます。この壮大な世界を旅するため『地球の歩き方』式に皆さまをガイドしていきます。
※本表紙は、WEB記事限定企画となります
目次
物語の舞台は人類が地球外の惑星に移り宇宙帝国を築いた西暦10191年。惑星カラダンを統治するアトレイデス家は、皇帝の命により“DUNE(デューン)”と呼ばれる砂に覆われた惑星アラキスの統治を命じられる。そこは強欲なハルコンネン家が80年にわたり、「メランジ」と呼ばれる香料(スパイス)の採取で莫大な利益を生み出している惑星で、退くことになったハルコンネン家はアトレイデス家と対立。しかしそのすべては皇帝とハルコンネン家が仕組んだ陰謀だった。ハルコンネン軍の襲撃を受け、追われる身となったアトレイデス公爵の息子ポールとその母レディ・ジェシカは、アラキスの先住民フレメンに導かれ、数奇な運命をたどりながらも皇帝とハルコンネン家への反撃に挑むのだった。
PART1ではアトレイデス家とハルコンネン家の対立が、PART2ではハルコンネンの追手から逃れたポールがアラキスの砂漠の民フレメンの救世主となっていく様が描かれます。
物語のメインの舞台となる砂の惑星デューンについてまとめてみました。
【正式名】
惑星アラキス (Planet Arrakis)
【首都】
アラキーン(Arakeen)
【地理と気候】
嵐が発生する地帯「ストームベルト」により、砂丘地帯が広がる北部と岩石砂漠が広がる南部に分かれている。きわめて高温で、天候も荒々しく、頻繁に巻き起こる砂嵐は金属をも切り裂くほど強烈。
【公用語】
チャコブサ語
【通貨】
通貨単位はソラリス
1ソラリスがいくらになるかの円換算は難しいが、目安として、アトレイデス家のアラキス統治任命の儀式の費用は宇宙ギルド航海士3名往復で146万62ソラリスかかっている。
【人種】
先住民のフレメンに加え、ここ80年にわたり惑星ジエディ・プライムや最近では惑星カラダンからの移住者も増えている。
【政治】
惑星ジエディ・プライムから来た暴君ハルコンネンによる80年におよぶ圧政が敷かれていたが、1万191年より領主会議(ラーンスロード)の人気者であるアトレイデス家に交代することになったようだ。
【特産品】
「メランジ」と呼ばれる香料(スパイス)が採れることで有名。フレメンにとってスパイスは聖なる幻覚剤であり健康維持に欠かせないものだが、帝国にとっては宇宙ギルドによる宇宙間移動に欠かせないものとして宇宙で最も貴重な資源である。
【日本からのフライト時間】
2024年現在では技術力が追い付いておらず到達不可能。
惑星アラキスでは、“シャイ=フルード”と呼ばれる巨大な砂虫(サンドワーム)が出没するので要注意!中には全長400メートルに達する個体もある。規則的な振動音に引き寄せられる習性をもつので、砂漠を歩く時にはリズムを崩して。地元民フレメンたちの「砂歩き」に倣うと良い。砂虫は旅行者にとっては恐怖だが、フレメンにとっては神聖な生き物であり、神として崇拝しているのでフレメンの前であまり悪く言わないように。
灼熱の砂漠で過ごすには、フレメンお手製のスティル(保水)スーツが必須。フレメンと仲良くなって貸してもらおう。
アラキスは最近まで悪政の限りを尽くしたハルコンネン家が治めていたので、地元民のフレメンは警戒をしている。西暦10191年よりハルコンネン家に代わりアトレイデス家が治めることになるが、ハルコンネンがおとなしく引き下がるか否かが疑問視されているため、治安には注意したほうが良さそうだ。
自然豊かな惑星カラダンを統治する公爵家。民に愛され尊敬されている一家なのでぜひ共に旅をしたい。
◆ポール・アトレイデス
この物語の主人公。レト公爵の息子でアトレイデス公爵家の後継者。母ジェシカからはベネ・ゲセリットの特殊スキルを伝授されている。夢で未来を予知する特殊な能力と人類に対する深い理解力をもつ。
◆レト・アトレイデス公爵
ポールの父で、民を公平に扱うリーダーシップに優れたアトレイデス家の当主。皇帝から惑星アラキス(通称デューン)の統治を命じられる。
◆レディ・ジェシカ
ポールの母。特殊能力をもつ「ベネ・ゲセリット(※後述)」のメンバーでもあり、「繰り声」で相手の行動を操ることができる。ベネ・ゲセリットは子宮をコントロールして胎児の性別を選ぶことができ、ジェシカは教母からレト公爵の娘を産むよう命じられたが、命令に背いてポールを出産した。
◆ダンカン・アイダホ
アトレイデス家の家臣。勇敢な武術指南役で外交官でもある最強の戦士。ポールの兄のような存在。
◆ガーニイ・ハレック
アトレイデス家の家臣。ポールに剣術を教えるもう一人の武術指南役。武器の達人で熱心な戦術家でもある。弦楽器バリセットの名手で歌と演奏で和ませる一面も。
◆スフィル・ハワト
アトレイデス家の信頼が厚い「メンタート(※後述)」として膨大な量の情報を消化し、分析する。
◆ユエ医師
アトレイデス家が信頼を置く医師。ある秘密を抱えている。
アトレイデス家の宿敵。惑星アラキスを80年にわたり準領土とし、スパイスの独占採取で莫大な富を築く。とにかく腹黒く性格が最悪なのでできれば関わりたくないが、たびたび絡んでくる。
◆ウラディミール・ハルコンネン男爵
宇宙の完全支配を目論むハルコンネン家の当主。残虐非道で欲深く、野心と無慈悲な性格で膨大な権力と財を得ている。反重力装置で体を宙に浮かせなければ移動することができないほどの巨体。
◆ラッバーン・ハルコンネン
ウラディミール・ハルコンネン男爵の甥。武力で男爵家を支える。短気で残虐な性格。
◆フェイド=ラウサ・ハルコンネン ※PART2より登場
ウラディミール・ハルコンネン男爵の甥であり、ラッバーンの弟。同じく非道で残忍な性格。
アラキスの先住民。この旅で最もお世話になる人たち。アラキスの都市から遠く離れた砂虫(サンドワーム)の生息地でもある最奥地に居住している。スパイスに長年間晒されたため目は青く変色している。
◆スティルガー
フレメンのリーダー。強く聡明で人望があり、アラキスの未来を守るために力を尽くす。
◆チャニ
フレメンの戦士。スティルガーの側近の一人で高度な直観力をもつ。アトレイデス家がアラキスに移住する前からポールの夢にたびたび登場していた。ポールとの恋の行方も気になるところ。
◆ジャミス
フレメンの戦士。ポールとジェシカのフレメン加入に反対しポールに決闘を申し込む。
皇帝は基本的に惑星カイタンに住んでいるが、旅先で起こるいろいろなことは大体帝国軍の仕業なんじゃないか…?
◆シャッダム4世 ※PART2より登場
宇宙帝国を治める皇帝でありコリノ家の当主。
◆皇女イルーラン ※PART2より登場
シャッダム4世の娘。後世に伝えるべくムアッディブ(ポール)(※後述)についての出来事を記録する。
◆サーダカー
“皇帝の懐刀”と呼ばれる親衛軍。
特殊能力をもつ女性たちによる修道会。皇帝や大領家に仕えながらも帝国の政治を陰で密かに操る。「クウィサッツ・ハデラック」と呼ばれる救世主を誕生させるため、数世紀にわたり交配計画を行っている。秘密裏に皇帝や領家に何やら吹き込んでいるようなので、注意しておきたい存在。
◆ガイウス・ヘレネ・モヒアム
ベネ・ゲセリット修道院の教母。ポールの母ジェシカのベネ・ゲセリット学院時代の恩師であり助言者。皇帝陛下の“読真師”として治世について皇帝に忠告する権限をもつ。
◆レディ・フェンリング ※PART2より登場
ベネ・ゲセリットのメンバーであり、皇帝シャッダム4世と親しいフェンリング伯爵の妻でもある。
◆クウィサッツ・ハデラック
「道の短縮」を意味する。ベネ・ゲセリットが長年にわたり行っている人類の交配計画により誕生するであろう、人類の記憶を保持し未来を見ることができる救世主のこと。
◆ゴム・ジャッバール
ベネ・ゲセリットが精神の試練に使う毒針。一刺しで即死するほどの猛毒が塗られている。
◆繰り声
ベネ・ ゲセリットの究極の技能で、声を変調させ他人を意のままに操る能力。
◆シャイ=フルード
アラキスの砂漠に生息する巨大な砂虫(サンドワーム)。中には全長400メートルに達する個体もある。規則的な振動音に引き寄せられる習性をもつ。フレメンにとっては神聖な生き物であり、神として崇拝されている。
◆砂歩き
踊るような動きで砂漠の自然な音に似せる、砂虫(サンドワーム)に気づかれないための独特な歩行方法。
◆起震杭(サンバー)
規則的な振動を起こして砂虫を呼び寄せる道具。
◆保水(スティル)スーツ
フレメンが着用する砂漠を生き抜くためのスーツ。熱交換システムを搭載し体を冷やし、汗や尿や涙など体内から排出された水分をろ過して飲料水に変える機能をもつ。身体の動きそのものが動力源となる。
◆クリスナイフ
フレメンが使用する神聖なナイフ。
◆シエチ
フレメンが隠れ住む地下の群居洞。数百の群居洞があり1つのシエチに1万人が住む。
◆リサーン・アル=ガイブ
“外世界からの声”の意味。アラキスの民が数世紀の間待ちわびている救世主を指す。ベネ・ゲセリットの長年に及ぶ工作により根付いた考えである。
◆マフディー
救世主伝説における「楽園に導く者」を意味する。リサーン・アル=ガイブと並ぶフレメンの救世主信仰の重要な概念。
◆ムアッディブ
砂漠に生息する小型のトビネズミを指すフレメンの名称。砂漠を生き延びる生命力から、フレメンに一目置かれる存在。フレメンの一員として受け入れられたポールは、「ポール=ムアッディブ」と名乗るようになる。
◆領主会議(ラーンスロード)
領家たちによって構成される組織で、アトレイデス家やハルコンネン家も領家のひとつ。
◆宇宙ギルド
全宇宙の航行輸送を取り仕切る機関。宇宙ギルドがなければ皇帝も領家も惑星間の移動ができないため同等の権力をもつ。
◆メンタート(演算能力者)
訓練を受け脅威の精神力と記憶力を発達させた人間のこと。思考機械が禁じられた世界で、彼らはコンピュータとしての役割を果たしている。各大領家は専用のメンタートを有している。
これでデューンへの旅の知識は身につけられたはず。地球の歩き方的『デューン 砂の惑星』ガイド~後編~では、3 月 15 日公開の『デューン 砂の惑星PART2』の物語の旅に出かけましょう!
『デューン 砂の惑星PART2』
■監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
■撮影:グリーグ・フレイザー
■脚本:ドゥニ・ヴィルヌーヴ、ジョン・スペイツ
■出演:ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、レベッカ・ファーガソン、ジョシュ・ブローリン、オースティン・バトラー、フローレンス・ピュー、デイヴ・バウティスタ、クリストファー・ウォーケン、スティーブン・ヘンダーソン、レア・セドゥ、ステラン・スカルスガルド、シャーロット・ランプリング、ハビエル・バルデム
時間:166分
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/dune-movie/
※3月15日(金)より全国ロードショー
『ドゥニ・ヴィルヌーヴの世界 アート・アンド・ソウル・オブ・DUNE / デューン 砂の惑星』(DU BOOKS)
『ドゥニ・ヴィルヌーヴの世界 アート・アンド・ソウル・オブ・デューン 砂の惑星PART2』(DU BOOKS)
『デューン 砂の惑星[新訳版][上][中][下]』(ハヤカワ文庫)
TEXT:『地球の歩き方 W29 世界の映画の舞台&ロケ地』編集担当 清水真理子