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映画のロケ地にもなったアイルランドの絶景を訪ねて

地球の歩き方ウェブ運営チーム

地球の歩き方ウェブ運営チーム

更新日
2024年7月1日
公開日
2024年7月1日
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アイルランド島は別名エメラルドの島ともいわれるほど緑豊かで、訪れる人はみなこの地に魅了される。ケルト音楽やアイリッシュ・パブ、謎の渦巻き文様が残る古代遺跡など、アイルランドの魅力はさまざまだが、やはり自然の美しさぬきには語れないのだ。そのような場所を放っておかないのがハリウッドをはじめとする映画業界。世界中の絶景を知り尽くしたロケ地探しのプロが、SFやファンタジー大作のロケ地としてアイルランドを選んでいる。今回はそのなかでも厳選した3つの場所を紹介しよう。

8kmにわたって続くモハーの断崖

大西洋の荒波を受け、どこまでも続く断崖がアイルランドを代表する絶景として知られるモハーの断崖Cliffs of Moher。1970年公開のイギリス映画『ライアンの娘』では冒頭で登場し、パラソルが断崖から海へ落ちていくシーンが撮影されている。ゆっくりとはかなげに落ちていく白いパラソルは、まるで主人公の今後の運命を暗示しているよう。美しい風景のなかに映画全体の主題が織り込まれ、一度見たら忘れられないファーストシーンになっている。
ファンタジーの傑作『ハリー・ポッター』では、第6作にあたる『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で主人公のハリーが足を踏み入れる崖の洞窟のロケ地として登場する。この場面では、最強の助っ人ともいえる魔法使いダンブルドアがハリーに同行しているので、ハリーは非常に心強いはず。それでもなお、大きな危険が待ち構えていることを視覚的に訴えるのがモハーの断崖というわけだ。荒波のなかに暗い姿をさらす絶壁は、その役割を完璧にこなしており、短いながらも印象深いシーンに仕上がっている。
『ライアンの娘』は崖の上から眺めた景色で、『ハリー・ポッター』の方は海の上からそそり立つ崖を見上げたものと、カメラのアングルが異なっている。実際にモハーの断崖の観光も、崖の上を歩いてまわれるほか、近郊の村ドゥーランDoolinからボートツアーに参加して海の上から崖を眺める2種類があるので、上からと下からの両方の絶景を楽しみたい。

風が強く波が荒い。この厳しさこそが自然の美しさ。下から眺めるモハーの断崖のボートツアーで3〜10月頃の運行で、所要時間は1時間ほど
上から眺めるモハーの断崖。崖沿いの一部にはフェンスがあるが、ない場所も多く、落下事故なども起きているので注意が必要

モハーの断崖

URL
https://www.cliffsofmoher.ie
アクセス
ゴールウェイからバスエーランNo.350のバスが8:0010:0013:0015:00発。クリフス・オブ・モハーCliffsofMoherのバス停下車。所要約2時間。途中ドゥーランを経由する。
入場料
€7〜

モハーの断崖ボートツアー

URL
https://doolinferry.com
料金
大人€28

ルーク・スカイウォーカー隠遁の地、スケリッグ・マイケル

アイルランド本島の西約11kmにあるスケリッグ・マイケルSkellig Michaelは、世界遺産にも登録されている絶海の孤島。ここでは『スター・ウォーズ』の続3部作にあたるエピソード7/フォースの覚醒とエピソード8/最後のジェダイのロケが行われている。作品においては、ジェダイの騎士の聖地ともいえる最初のジェダイ・テンプル跡が残る島として登場するが、現実においても6〜12世紀頃にかけてキリスト教の修道士が暮らした聖地だった。島内で見られる石を積んで作られた小屋は、ビーハイヴ(蜂の巣)と呼ばれる修道士の住居で、映画のなかでも外観がほとんどそのままの形で登場している。そこに住むエイリアンが修道女そっくりなのも偶然ではなく、スケリッグ・マイケルの特徴をSFの世界に投影させたためだろう。また、島にはパフィンという鳥が飛来する。カラフルなクチバシと、ピエロを思わせる目が特徴的なこの海鳥は、島のアイドル的存在。スター・ウォーズ屈指のかわいらしいクリーチャーであるポーグは、このパフィンをモチーフにしているのかもしれない。
スター・ウォーズ・ファンならぜひ訪れて見たいスケリッグ・マイケルだが、問題は、絶海の孤島ゆえにアクセスがやや難しいということ。夏季限定でポートマギーPortmageeという港町を中心に、いくつかの運航会社が上陸ツアーを催行しているが、小さなボートで行くので、一回で訪れる人数が限られ、なおかつ天候が悪いと催行されない。早めの予約と余裕のある旅程をもつことが望ましい。ポートマギーから橋をわたったヴァレンティア島には、スケリッグ・マイケル・ビジター・センターがあり、スケリッグ・マイケルについての展示が行われているほか、ボートツアーも催行されている。

©︎iStock 左/ビーハイヴと呼ばれる初期キリスト教の修道士が住んでいた小屋右上/波が穏やかで天気がいいときしか上陸できない右下/パフィンが島にいるのは4〜8月の夏季だけだ

スケリッグ・エクスペリエンス・ビジター・センター

URL
https://skelligexperience.com
料金
展示のみ大人€6展示+スケリッグ・マイケル・ボートツアー(上陸なし)€50スケリッグ・マイケル上陸ツアー€125

七王国の絶景が点在するコーズウェイ・コースト

アイルランド島の北部6県は、アイルランド共和国ではなく、北アイルランドとしてイギリスに属している地域。その北アイルランドを代表する見どころが集まっているのが北部海岸線沿いで、コーズウェイ・コーストCauseway Coastと呼ばれている。なかでも必見なのが世界遺産にも登録されているジャイアンツ・コーズウェイGiant's Causeway。六角形の石がびっしり敷き詰められたように見え、これが自然に造られたことが信じられないような不思議な光景が広がっている。伝説によると、アイルランドに住む巨人が、スコットランドに住む巨人と戦うために作った道だとか。ジャイアンツ・コーズウェイという名前も「巨人の道」という意味だ。広いエリアにはウォーキングルートがいくつも整備され、途中巨人のオルガンや巨人の靴といった奇観を見ることができる。

不思議な景観は、マグマが冷えて縮むとき、規則正しいひび割れが起きることで生まれた。柱状節理と呼ばれている

ジャイアンツ・コーズウェイ

URL
https://www.nationaltrust.org.uk/visit/northern-ireland/giants-causeway
アクセス
アルスターバスNo.172か402が1時間に2便程度の運行。エアド、ジャイアンツ・コーズウェイAird,GiantsCausewayのバス停下車。ポートラッシュPortrushから所要約20分、バリーキャッスルBallycastleから所要約25分、コーレインColeraineから所要約35分。
料金
入場無料ビジターセンターは大人£13.50〜

8シーズンにわたって放送された人気ドラマシリーズの『ゲーム・オブ・スローンズ』もコーズウェイ・コースト周辺で何シーンも撮影が行われた。バリントイ港Ballintoy Harbour、ダーク・ヘッジズDark Hedges、キャリック・ア・リード吊り橋Carrick a Rede Rope Bridgeといった多くの場所が、作品内に登場している。ロケ地は点在しているので、レンタカーがないと効率よく回るのは難しい。ベルファストから催行されているロケ地を巡るツアーに参加するのがおすすめだ。
また、2022年には、ベルファストの南にあるバンブリッジBanbridgeに、ゲーム・オブ・スローンズの撮影が行われたスタジオを改修した「ゲーム・オブ・スローンズ・スタジオ・ツアー」がオープンした。ベルファストとダブリンからバスの送迎があるので、ファンならぜひ参加したい。

©︎iStock 左/度胸が試されるキャリック・ア・リード吊り橋。渡るのには事前に日時指定のチケット予約が必要右上/ファンタジーの世界へ誘うダーク・ヘッジズ右下/鉄諸島のロケ地となったバリントイ港は、キャリック・ア・リード吊り橋の西約2.5kmに位置する

キャリック・ア・リード吊り橋

URL
http://www.nationaltrust.org.uk/visit/northern-ireland/carrick-a-rede
アクセス
アルスターバスNo.172か402が1時間に2便程度の運行で、バリントイ、キャリック・ア・リード・ロープ・ブリッジBallintoy,Carrick-a-RedeRopeBridgeのバス停下車。バリーキャッスルから所要約13分、ジャイアンツ・コーズウェイから所要約20分。
料金
大人£14〜日時指定の予約必須

ゲーム・オブ・スローンズ・ツアー

URL
https://gameofthronestours.com
料金
ベルファストから大人£49

ゲーム・オブ・スローンズ・スタジオ・ツアー

URL
https://gameofthronesstudiotour.com
料金
大人£29.50

文:平田 功(どんぐり・はうす)
写真:平田 功(どんぐり・はうす)/iStock

ガイドブックの画像

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