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ギリシア(ギリシャ)は西洋文明の発祥地であり、神話と歴史が息づく場所だ。壮大な遺跡、青く輝くエーゲ海、修道院など絶景の数々が、訪れる者を圧倒する。今回は、ギリシアのなかでも特に人気の観光スポット10ヵ所を厳選して紹介する。アテネのアクロポリス遺跡やデルフィ遺跡、天空に浮かんでいるようなメガロ・メテオロン修道院など、どれも一度は訪れておきたい場所ばかり。各地に息づく神秘と歴史に触れながら、ギリシアならではの文化と自然美を堪能しよう。
ギリシアといえば、まず思い浮かべるのがアテネのアクロポリス。この壮大な遺跡は、古代ギリシアの精神を象徴する場所である。中心に位置するパルテノン神殿は、紀元前5世紀頃に15年の歳月を費やして造られたもので、その建築技術の高さは驚異的だ。ほかにもプロピレア(前門)や柱の形が少女像になっているエレクティオンなど見どころ多数。アクロポリスの丘の上に立つと、アテネの町並みを一望でき、過去と現代が交錯する風景に心を奪われる。ライトアップされた夜の神殿も幻想的な雰囲気だ。考古学や歴史の知識がなくても、この場所の圧倒的なスケールと美しさには感動せずにはいられないだろう。
ギリシアの首都アテネにある国立考古学博物館は、ギリシア全土から集められた考古学的遺物の宝庫だ。館内には、古代ギリシア文明の始まりからローマ時代にいたるまでの豊富なコレクションが展示されており、その数は1万1000点以上。なかでも有名なのはミケーネ遺跡からの出土品『黄金のマスク』。これを発見したドイツ人考古学者シュリーマンは、伝説の英雄アガメムノンのものであると主張したことから『アガメムノンのマスク』ともいわれる。館内は広大で、展示物の数も多いため、できれば半日程度じっくり時間をかけて回ることをおすすめする。アテネの歴史的背景や文化に触れたいなら、まずこの博物館を訪れよう。
大地からそびえる奇岩群の上に築かれた修道院群。この神秘的な光景は、ギリシャのなかでも異質な雰囲気を醸し出している。メガロ・メテオロン修道院はメテオラで最大の修道院で、14世紀に建立されて以来、世界中の巡礼者や観光客を魅了してきた。高さ613mのところに位置し、はるかかなたまで続く緑豊かな谷と山々が続く景色が広がる。修道院内部には、貴重な宗教画や装飾品が展示されており、古代の修道士たちがどのような生活を送っていたのかを垣間見ることができる。メテオラの静寂と神聖な空気のなかで、日常を忘れ、内なる平和を感じられる場所だ。
古代ギリシアの神託の地、デルフィは、かつて「世界のへそ」とされた場所である。周囲には山岳地帯が広がり、自然のエネルギーと神秘に満ちている。かつては、アポロン神殿が建つこの地にギリシア全土から神託を求めて人々が集まった。現在もその荘厳な雰囲気は失われておらず、古代ギリシアの信仰の中心地としての名残を感じられる。周辺を歩けば、かつて祭典や儀式が行われたスタジアムや古代劇場などが見られる。世界遺産に指定されたデルフィ遺跡は、ギリシアの歴史と神話を深く理解するためには欠かせない場所だ。
ロドス島の旧市街は世界遺産に登録されており、騎士団長の宮殿はその中心的存在だ。ここは、かつて聖ヨハネ騎士団の本拠地として使用された場所で、宮殿全体が石造りで、重厚な外観が特徴だ。内部には床に描かれたモザイク画、中世の家具、絵画などが展示され、かつての騎士団の栄華をしのばせる。発掘調査で発見された陶器や彫刻などの遺物の常設展示もある。地中海の美しい景色と中世の要塞が融合した独特の景観を楽しみながら、騎士団の歴史に思いをはせることができる場所だ。
エピダヴロスは、古代ギリシアの劇場が奇跡的な状態で保存されていることで有名だ。特に古代劇場は、舞台から遠い上階席でも演者の声がよく聞こえるという卓越した音響効果で知られ、今でも夏には古代ギリシア劇の公演が行われる。古代に建設されたにもかかわらず、その設計の巧妙さと美しさから高い評価を得ている。この劇場に座って周囲を見渡せば、目の前に広がる自然の風景と一体となり、まるで古代の観客と同じ体験をしているような気分になってくる。また、エピダヴロスは医神アスクレピオス(Asclepius)に捧げられた神殿があった場所でもあり、当時の医療施設も残されている。古代ギリシア人がどのように健康や癒やしを追求していたかを知ることができる場所だ。
古代オリンピック発祥の地であるオリンピアは、スポーツとギリシア神話が融合する特別な場所だ。オリンピックは、紀元前776年にゼウスへささげる大祭として始まり、ギリシア全土から選手と観客が集まった。当時は、短距離走ややり投げ、戦車競走など多くの種目があったと伝わる。遺跡にはかつての競技場やゼウス神殿の遺構が残されており、当時の熱気が伝わってくるかのよう。現在も聖火はヘラ神殿で採火されており、古代オリンピックの精神を現代に引き継いでいる。遺跡近くにあるオリンピア考古学博物館には出土品や当時の生活様式についての展示があるので、あわせて訪れるとより学びが深まるだろう。
エーゲ海に浮かぶ小さな島ディロス(デロス)はかつて古代ギリシアの聖地とされ、多くの神話に登場する。1990年には島全体がユネスコの世界遺産に登録された。約2000年もの間、無人島となっており、日中のみ観光が可能。ミコノス・タウン内にある港からフェリーでアクセスできる。島には太陽神アポロンと月の女神アルテミスが誕生したとされる神殿や劇場、古代の住居跡などが広がり、荘厳さが漂う。また、聖域を守るように並ぶ7頭の『ライオン像』はディロス島の象徴的な風景のひとつで、訪れる者を過去の時代に誘う。ギリシア語で「輝く」を意味するディロスの海と遺跡が織りなす景色は、一度は見に行く価値がある。
サントリーニ島(ティラ島)の夕日を臨む絶景スポットといえば、アギオス・ニコラオス要塞が外せない。ヴェネツィア人によって14~15世紀に建てられた。城跡はほとんど残っていないが、その立地からサントリーニ島で最も美しい夕日が見れる場所として知られている。白い家々を照らしながら青い海へ沈んでいく太陽は、まさに絵画のような美しさだ。観光客に人気のフォトスポットでもあるこの場所では、日没の時間が近づくと多くの人が集まり、カメラを手にその瞬間を捉えようとする。サントリーニ島のほかの観光スポットと組み合わせて訪れるのがおすすめだ。
ケファロニア島にあるメリッサニ洞窟は、神秘的な青い湖が特徴の地下湖だ。1951年に発見され、1963年から一般公開されている。透明な水が洞窟内に流れ込み、天井の開口部から差し込む光によって湖面が幻想的に輝き、まるで別世界に迷い込んだような気分を味わえる。ボートに乗って洞窟内をゆっくりと進むと、太陽の角度によって変わる水面の色合いが変化する。写真では伝えきれない圧倒的な美しさのため、一見の価値ありだ。イオニア海に面したケファロニア島の自然の驚異として、絶対に外せない場所だ。
ギリシアを訪ねるべき理由は、観光だけにとどまらない。この地は古代の神話と歴史が息づく場所であり、訪れる者を過去と現在の間にいざなう。アクロポリスやデルフィ、メテオラなどの歴史的遺跡は、単に目で楽しむだけでなく、その背後にある物語や文化を感じることでより深い感動を与えてくれる。一方、サントリーニ島での夕日や、メリッサニ洞窟の神秘的な青い湖は、自然の美しさに癒やされ、言葉では表現できない感動を味わえるだろう。ギリシアは、多彩な魅力で訪れる人の心を捉える特別な地だ。