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フランスは、豊かな文化と多彩な風景が織りなす観光大国だ。パリのエッフェル塔やルーブル美術館など、世界的に有名なランドマークが点在し、ファッションやアートの最先端を楽しめる一方で、南仏プロヴァンス地方のラベンダー畑やコート・ダジュールの美しい海岸線も魅力的。地方都市には、中世の街並みや古城、ワイン畑が広がり、それぞれの地域で異なる風景と食文化を堪能できる。今回はそんなフランスのおすすめ観光スポット20選を紹介する。
パリを象徴するシンボルであるエッフェル塔は、訪れる者を一瞬にしてパリの魔法にかける。その壮大な鉄骨構造は1889年の万国博覧会のために建設され、当時の技術革新の象徴とされた。エッフェル塔の魅力はその美しさだけでなく、そこから望むパリのパノラマビューにもある。エレベーターで上る途中、足元に広がる町並みが徐々に遠ざかり、目に入る景色が次第に広がっていく瞬間はまさに圧巻だ。最上階からは、セーヌ川、シャンゼリゼ大通り、そしてパリの名所が一望でき、息をのむような光景が広がる。
パリの中心に位置する凱旋門は、フランスの誇りと栄光を象徴するモニュメント。ナポレオン・ボナパルトが1806年に建設を命じたこの門は、オステルリッツ戦いでのフランス軍の勝利を記念するもので、パリの主要な通りが放射状に広がるシャルル・ド・ゴール広場に立っている。その巨大なアーチには、歴史的な戦いの場面が彫刻され、フランスの歴史を物語る一方で、足元には無名戦士の墓があり、毎晩燃え続ける「永遠の炎」が戦争で犠牲となった兵士たちへの敬意を表している。凱旋門周辺には多くの高級ブティックやカフェが並び、ショッピングや食事も存分に楽しめる。
セーヌ川に浮かぶシテ島にそびえ立つ、ゴシック建築のノートルダム大聖堂。800年以上の歴史をもつこの大聖堂は、フランスの宗教と文化の中心として多くの歴史的出来事を見守ってきており至宝ともいえる。壮大な尖塔や、美しいバラ窓、そして無数の彫刻が施されたファサードは、訪れる者を時空を超えた旅へと誘う。内部に入ると、天井の高さとステンドグラスの光が作り出す神秘的な空間が広がり、宗教的な静けさと美が心を癒やしてくれる。2019年の火災で大部分が焼失したが、その再建への取り組みが現在も進行中で、歴史的な価値を維持しつつ、新たな命を吹き込まれようとしている。
パリの中心を貫くシャンゼリゼ大通りは世界で最も美しい通りとも称され、その名にふさわしい華やかさを誇る。凱旋門からコンコルド広場まで約2キロにわたり続くこの大通りは、ブランドショップやレストラン、劇場が軒を連ね、常に多くの観光客とパリジャンでにぎわっている。シャンゼリゼ大通りのもうひとつの魅力は、その歴史的背景にある。もともとはルイ14世の庭師によって造られた庭園が発端であり、歴史とモダンな都市文化が融合した場所として、パリの象徴ともいえる。
モンマルトルの丘の頂上にそびえるビザンティン様式のサクレ・クール聖堂は、パリの街を見下ろす静寂の聖地。高さ、奥行きともに80m以上と大きく、白いドームが特徴的で晴れた日にはその姿が青空に映える。この聖堂は、1871年のパリ・コミューンの後に建設され、パリ最大級のモザイク「キリストの栄光」が訪れる者に感動を与える。聖堂周辺のモンマルトル地区はアーティストたちが集うエリアでもあり、散策しながらアートや文化に触れることができるのも魅力だ。
世界最大級の美術館として名高いルーヴルには約3万8000点の作品が展示され、古代エジプトから19世紀までの幅広い芸術作品を堪能できる。ただそのスケールの大きさゆえ、1日ではとても全てを見尽くすことができないので、訪れる際は事前に見たい作品やエリアを決めておくのがおすすめ。館内に1歩足を踏み入れると、モナ・リザやミロのヴィーナスといった世界的名作が次々と現れ、時を忘れて見入ってしまうだろう。実はルーブル美術館は中世の要塞として始まり、フランス王家の宮殿としても機能していたため建物自体が歴史的価値をもつので、併せて鑑賞しよう。
パリ市内から1時間ほどで到着するヴェルサイユ宮殿は、フランス王政時代の栄華を物語る豪華な宮殿。ルイ14世によって建てられたこの宮殿は、その壮麗さで世界中の王宮の模範となり、フランス革命の舞台ともなった歴史的な場所だ。ヴェルサイユ宮殿の最大の見どころは、王族の結婚式の際の舞踏会場などの華やかな祝典の舞台となった華やかな鏡の回廊だ。357枚の鏡が並び、光が反射してきらめく光景はまさに息をのむほど美しい。また夏には、広大な庭園にある噴水と音楽やイルミネーションを合わせた夜の大噴水ショーが行われる。
パリ郊外、ノルマンディー地方に位置するモン・サン・ミッシェルは周囲1km、高さ約80mの小島。その姿は潮の満ち引きによって陸と海に変わり、訪れる時間帯や季節によって異なる表情を見せる。一本道のグランド・リュを辿っていくと、海上に浮かぶ幻想的な修道院にたどり着く。尖塔に置かれた大天使ミカエルの像も眺めながら階段を上ろう。修道院内部にはゴシック様式の美しい礼拝堂や、修道士たちが祈りを捧げた静かな回廊が広がり、訪れる者を中世の世界へと誘う。
ニースを訪れたら、まず足を運びたいのがプロムナード・デザングレ。この海岸通りは、コート・ダジュールの輝く青い海と白砂のビーチが織りなす壮麗な景観を楽しむのに最適な場所だ。1830年にイギリス人観光客が作ったこのプロムナードは、全長約3.5kmにわたりニースの海岸線を縫うように延びている。朝の涼しい時間帯に散歩を楽しむのも良いし、夕暮れ時にオレンジ色の空を背景にした美しい海を眺めるのも素晴らしい。
ニースの旧市街に位置するサレヤ広場は、毎朝開催される市場が魅力のスポット。ここでは新鮮な野菜や果物、花、ハーブ、チーズなど、南仏の豊かな食文化を感じることができる。地元の人々が日常的に利用する市場であり、観光客もその活気ある雰囲気を楽しむことができる。特に、花市場は色とりどりの花々が並び、訪れる者を魅了する。週末にはアンティークマーケットが開かれることもあり、ユニークな掘り出し物を見つけるチャンスも。
マルセイユの高台にそびえるノートルダム・ド・ラ・ギャルドは、まさにこの町の象徴と言える場所だ。ここから眺める地中海の絶景は、1度見たら忘れられないだろう。19世紀に建てられたこのバジリカ聖堂は、ビザンチン様式の豪華な装飾が施されている。また、内部には船乗りたちが捧げた奉納品が並び、マルセイユが長い間、海と密接な関係を持ち続けてきたことを感じさせる。訪れる際には、ぜひ聖堂内をじっくり見学し、歴史の深さを堪能してほしい。
地中海に浮かぶ小島に立つイフ城は、かつて要塞として、そして監獄として利用された歴史的な建造物だ。『モンテ・クリスト伯』の舞台としても有名で、文豪アレクサンドル・デュマのファンにはたまらない場所だろう。城内では、過去の囚人たちの過酷な生活を垣間見ることができ、当時の歴史を肌で感じることができる。フェリーでアクセスするこの島は、マルセイユからの短い船旅も楽しめ、海風を感じながら歴史散策ができる絶好のスポットだ。
地中海世界の文化と歴史を深く掘り下げた展示で知られるMuCEMは、現代的な建築と伝統が見事に融合した博物館だ。アルジェリア生まれの建築家リュディ・リチオッティにより設計された、細かな網目模様の外壁はコンクリートなのにとても繊細。博物館は、海と港を見渡す絶好のロケーションにあり、そのデザインも訪れる者を驚かせる。建物の屋上からは、マルセイユの港と海の壮大な景色が広がり、観光の合間にひと息つくのにも最適なスポット。
マルセイユの中心に位置する旧港は、町の歴史の心臓部だ。紀元前600年にフォカイア人が築いたこの港は、現在でも多くの船が行き交い、活気にあふれている。周囲には新鮮な魚介類を提供するレストランやカフェが立ち並び、地元の人々や観光客でにぎわう。特に朝市は新鮮な魚が並び、海の恵みを堪能できる場として人気だ。また、旧港からはイフ城やフリウル島へのフェリーが出航しており、短い船旅を楽しむことができるのも魅力のひとつ。
リヨンのシンボル的存在であるフルヴィエールの丘は、街全体を一望できる絶景スポットだ。丘の頂上にそびえるノートルダム・ド・フルヴィエール・バジリカ聖堂の260段の階段を上ると展望台があるので、旧市街、新市街、ローヌ川とリヨンの街並みを見渡してみよう。この壮麗な建築は外観の美しさだけでなく、内部のモザイクやステンドグラスも見逃せない。聖堂から少し下がるとルグドゥヌムがあり、紀元前43年建造のローマ劇場、ガロ・ローマの博物館がある。
リヨン美術館は、フランス国内でもパリのルーヴル美術館に次ぐ規模を誇る巨大な美術館だ。かつてのベネディクト会修道院を利用しており、建物自体も一見の価値がある。館内には、古代エジプトの美術品から19世紀の絵画まで幅広い時代と地域の作品が展示されており、アート愛好者ならずとも楽しめる。また、モネやゴーギャンなど、フランス印象派の巨匠たちの作品も数多く収蔵されている。美術館の中央には、静かで美しい中庭があり、作品鑑賞の合間にひと息つくのにも最適なスポットだ。
リュミエール博物館は、映画の歴史に興味がある人には見逃せない場所だ。ここは、映画の発明者として知られるリュミエール兄弟の旧邸宅を利用した博物館で、映画の誕生にまつわる貴重な展示物が並ぶ。特に、彼らが世界で初めて撮影した映画『工場の出口』を見られるのは感慨深い。映画がどのように誕生し、どのように進化してきたかを学べるこの博物館は、映画ファンならずとも訪れて損はないスポットだ。
ストラスブールの町を象徴するノートルダム大聖堂は、息をのむようなゴシック建築の傑作だ。13世紀に着工され完成までに約400年を要したこの大聖堂は、その圧倒的なスケールと精緻な彫刻で訪れる人々を魅了してやまない。特に高さ142メートルの尖塔は、かつて世界一高い建物として知られ、現在でもその威容を誇っている。少しピンクがかった外観は、ヴォージュ山の赤砂岩が使われているため。「石のレース編み」といわれるほどの繊細な透かし細工が表面を覆い、大聖堂の荘厳さを際立てている。
運河が縦横に走るエリア、プティット・フランス。まるで絵本から飛び出してきたような木組みの家々が並び、かわいらしい。柱や梁などの骨組みを木材で作る「コロンバージュ」という構造はドイツに多いが、ふたつの文化が交じり合うこの地域では多く見られる。ここはかつて皮なめし職人たちが住んでいた場所であり、現在でもその歴史的な雰囲気が色濃く残っている。クルーズ船に乗って運河を巡るのもおすすめだ。夜には街灯に照らされた建物が水面に映り、ロマンチックな雰囲気が漂う。
ストラスブールの中心部にあるロアン宮は、フランスの貴族文化を今に伝える壮麗な宮殿だ。18世紀に建てられたこの建物は、ストラスブール司教ロアンの住居として使用されていたが、現在では美術館や博物館として一般に公開されている。内部には、貴族の豪華な暮らしぶりを感じさせる調度品や、歴代のフランス王室が愛した絵画や工芸品が展示されている。1770年にマリー・アントワネットがフランスに来て最初に宿泊した場所でもある。
歴史や文化が色濃く残るスポットが数多く点在するフランスは、歴史にロマンを感じる人は見逃せない観光地だ。ほかにもファッションやデザイン、音楽、美食など観光とともに楽しめるテーマも多い。都市だけでなく地方までも足を延ばし、フランスの魅力を深堀りしてほしい。