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新宿から電車で15分ほどの距離にある調布駅。バスを乗り継ぐと到着するのが、都内有数の歴史をもつ深大寺です。徒歩圏内の周辺エリアにはグルメや買い物、温泉などを楽しめるスポットが点在しており、気軽な日帰り旅行にぴったり。新年の開運を願って、今年の冬は深大寺散策に出かけませんか?
まずは、深大寺行きのバスが発着する調布駅を目指しましょう。京王線の新宿駅から特急で16分と、都心からほど近い距離に位置しています。駅北口のバスロータリーに移動し、「深大寺入口」または「深大寺小学校入口」で下車。15分ほど乗車すれば駅前のにぎやかさとは一変、緑に包まれた古刹・深大寺の一帯に到着します。
深大寺の創建は天平5(733)年、なんと奈良時代の約1300年前まで遡ります。浅草寺に次ぐ都内で2番目に古い寺院として知られ、満功上人(まんくうしょうにん)が清水の豊かな土地に深沙大王(じんじゃだいおう)を祀ったことが始まりとされています。
隣接する神代植物公園を含めると、東京ドーム約10個分もの大きさを誇る広大な敷地。まずは参道に構える観光案内所で地図を手に入れることをおすすめします。または深大寺のウェブサイトからダウンロードすることも可能。清流の音が聞きながら心を鎮め、境内周辺の見どころをゆっくりと散策していきましょう。
境内に入る山門は、元禄8(1695)年に建てられた深大寺のなかでも最古の建物。茅葺の趣あふれる山門をくぐり、まずは本堂で仏様にご挨拶。続いては約2メートルもの巨大な元三大師像(がんざんだいしぞう)が安置されている「元三大師堂」へ。厄除と疫病退散にご利益があるとされ、ここでもお参りをお忘れなく。2025年4月26日~6月2日にかけては、特別に元三大師の大開帳が予定されています。(時間10:00~16:00、拝観料1000円)。
これら多くの文化財を所有する深大寺ですが、なかでも注目すべきは2017年に国宝に指定された「釈迦如来像」。飛鳥時代後期に造られたとされる東日本最古の国宝仏です。その貴重な姿は、釈迦堂(参拝時間9:30~16:00)で拝観することができます。
深大寺のおみくじは、約3割を占める凶の多さが有名。“おみくじの元祖“である比叡山の元三大師(がんさんだいし)を本尊としていることから、古来のままの姿が残っているそう。凶であっても吉へ転じる力があると信じて、ぜひ一度トライしてみては?
また古来より良縁成就の信仰を集めていたことから、縁結びに関する御守りや絵馬などが充実。縁結び開運守りは、深大寺で獲れた稲穂が入ったオリジナルのもの。さらに深大寺の絵柄が描かれた御朱印帳も販売しており、御朱印集めをされる方はこちらも要チェックです。
深大寺へ訪れたら外せないのが「深大寺そば」。古くからそば作りに適した気候と湧き水に恵まれた土地であった深大寺一帯。江戸時代に小作人がそば粉を寺に納め、寺でそばを打って客をもてなしたのが始まりといわれています。将軍家などにも献上され、徐々にその名が知られていきました。
現在、深大寺一帯は約20軒が軒を連ねており、今回ご紹介する「湧水(ゆうすい)」も人気店のひとつ。そば粉はつゆとのバランスを考え、すべて厳選した国産のものを使用。昔ながらの石臼で挽き、九割と二八そばの2種類で提供しています。香りがよく、強いコシとつるっとした喉越しがたまりません。
そばのほかにも、一品物やドリンク類も充実。そばに合うお酒が並び、調布で造られた「深大寺ビール」もいただけます。食後のデザートにぴったりなのが、「そばようかん」360円。そば湯にそば粉を加え、固めたものを小豆でサンドした甘さ控えめの一品。そば湯の栄養素も含まれており、おみやげとして購入していくお客さんも多いそう。
風情あふれる参道には、食べ歩きや買い物を楽しめる店が盛りだくさん。陶芸体験ができる「むさし野深大寺窯」、だるまグッズがめじろ押しの「だるチャンのおうち」など、一帯をゆったり巡ってみましょう。冬は温かい甘酒なども販売しており、寒い季節ならではの楽しみもあります。
深大寺山門のすぐそばにたたずむのが「甘味処あめや」。草餅や団子、ソフトクリームなど種類豊富な甘味が並ぶなか、一番人気のメニューは「そばパン」。生地に玄米粉とそば粉を使っており、高菜・あんこ・切り干し大根・キーマカレーの4種類の味が楽しめます。ふわっと蒸された生地は、ほんのり甘くやさしい味わい。食べ歩きはもちろん、おみやげとして購入しても喜ばれそうです。
続いて、山門から深大寺北門方面へ10分ほど歩き「神代植物公園」へ向かいます。昭和36(1961)年に開園し、広大な園内には約4800種類もの植物が植えられています。種類ごとに30ブロックに分けられており、特に春と秋に見ごろを迎えるバラは見事! 5000株以上のバラが一斉に咲き誇り、まるで華やかなおとぎの国のよう。季節に合わせて毎年バラフェスタも開催され、多くの人でにぎわいます。
1年を通して花が咲き、冬の時期はツバキとサザンカ、ウメが見ごろを迎えます。また大温室では珍しい熱帯・亜熱帯植物が咲き、季節を問わず楽しませてくれます。今の時期は何が見ごろなの?と迷ったときは、神代植物公園の公式X(@ParksJindai)をチェックしてみるのもおすすめです◎。
園内中央には巨大な芝生広場も広がり、売店などもあるため暖かい季節にはシートを広げてピクニックにも最適。当日の入園チケットを提示すれば再入場ができるので、2回にわけて訪れるのもいいですね。
さらに、あまり知られていない無料で楽しめる園内エリアもご紹介。園内北側にある「植物多様性センター」は、武蔵野、奥多摩、伊豆諸島と、全く異なる環境で育つ植物を一度に見ることができるユニークなエリア。パネルや写真、関連書籍でわかりやすく紹介する展示館もあり、誰もが楽しく学べるゾーンです。
ほかにも、南側に広がる「水生植物園」も見どころ満載。湧き水が流れ込んだ湿地帯で、木道を歩きながらハナショウブなど季節の植物を観察することができます。ぜひ足を延ばして隅々まで散策してくださいね。
深大寺から徒歩15分の場所にあるのが、「深大にぎわいの里 調布卸売センター」。魚屋、肉屋、花屋、レストランやカフェ……バラエティ豊かな約20店舗が入居した建物です。卸売とついていますが、もちろん一般の買い物もOK。
「まぐろや深大寺」の魚介類、「アンデス」の肉、「たい焼き 慎之介」のたい焼きなど、気になる店で買い物を楽しんで。「調布のやさい畑 農産物直売所」は、調布で収穫した新鮮な野菜や果物などを販売する人気店。手作り総菜や調布の特産品も取り扱っており、まるで道の駅のように楽しめます。
ほかにも、ランチに最適な飲食店が充実。本格江戸前寿司が自慢の「27-tuna-」、魚介類を中心とした総菜や定食を味わえる「サカナノミライ」など、新店も多数。煮込みハンバーグがおいしい「ラティーナ 西洋料理」は、テイクアウト専門のレストランです。店舗ごとに営業時間が異なるため、事前にチェックしてから訪れてくださいね。
たくさん食べて、買って、歩いて……。1日中散策を楽しんだ後は、心ゆくまで温泉でリラックス。「深大寺天然温泉 湯守の里」の湯は、底が見えないほどの黒湯が特徴。1500mの地層から湧き出す黒湯はフミン酸という有機物がたっぷりと含まれており、美肌効果が期待できるそう。体の塩分濃度とほぼ同じことから、長時間入っても体の負担になりすぎることもありません。
露天風呂、五右衛門風呂、電気風呂など、男女でそれぞれ7種類ほどの浴槽を用意。すべての浴槽で一切加水しない源泉を使用しており、湯上り後はお肌がツルツルに感じられるはず。ほかにもサウナや岩盤浴など、その日の体調や気分に合わせて楽しんでみてください。エステや岩盤浴などのサービスも充実しています。
2階には広々とした畳張りの部屋が設けられ、入浴後に横になってくつろぐ人の姿も。またレストランも併設しているため、お酒や食事も堪能することができます。徒歩20分ほどで調布駅に戻ることができますが、帰りは調布駅までの無料シャトルバスがおすすめです。
歩くだけでリフレッシュできる緑あふれた深大寺エリア。その豊かな自然から生まれた深大寺そばなどのグルメ、黒湯が湧く天然温泉、四季折々の植物など、見どころはたっぷり。都心からのアクセスもよく、思い立ったらすぐに行ける距離なのもうれしいポイント。
今回ご紹介したスポット以外にも、元日から1月7日にかけては調布七福神というイベントが実施されます。専用の色紙を購入し、調布市内の7つの寺院を深大寺とともに回ってみるのもおすすめ。この冬は、ぜひ深大寺周辺を訪れてみてくださいね。
TEXT:渡辺菜々子(ART LOVE MUSIC)
PHOTO:(公財)東京都公園協会、PIXTA