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執筆者:柳田 幸紀
中学・高校の教員として勤務後、青年海外協力隊(南アフリカ)で活動。その後、大学院を経て国際協力機構(JICA)でジュニア専門員および理数科教育専門家(ブルキナファソ)として従事。2015年にアイ・シー・ネット株式会社に入社し、ブルキナファソやセネガル、カメルーンなど仏語圏アフリカに加え、タイやインドネシア、パプアニューギニアといった多地域で、理数科教育や人材育成に携わっている。
西アフリカのブルキナファソには、ユニークでおいしいローカルフードが数多く存在します。一方、フランスの植民地だった影響から、バゲットやクロワッサンなども一般的に食されています。都市部のレストランから地方のレストランまで、多彩な料理が楽しめるのが魅力です。本記事では、私が現地での日常生活を通じて味わったブルキナファソのローカルフードを中心に、そのおいしさと魅力をお伝えします。
ブルキナファソでの教育プロジェクトに10年以上携わるなかで、現地には数多くの渡航経験があります。私の活動拠点は首都、ワガドゥグ市にあるプロジェクトオフィスで、教育省と連携して教材開発や研修の企画・運営、学校でのモニタリング・技術支援などを行っています。現在は国内紛争中で移動制限があるため、市外に出ることはほとんどできません。そのため、市内で手軽に楽しめるローカルフードが日々の楽しみのひとつになっています。
西アフリカ内陸部で広く使われる食材を生かしたローカルフードはどれもおいしく、土地の風土を感じさせる味わいがあります。フランス語圏の食文化の影響を受けつつも、香ばしく焼き上げた鶏肉や、スパイスの風味が広がる煮込み料理など、伝統的な調理法が根付いています。牛や羊、鶏のほか、貯水池でとれる淡水魚もよく食べられます。全体的に塩味がしっかりしており、発酵調味料のコクが味に深みを加えています。また、料理自体は辛くないものが多いですが、ピリ辛ソースなどで辛さを調整できるスタイルが一般的です。現地の食の多様性に触れることで、日々の仕事のなかでも現地文化への理解が深まると感じています。
オフィスでの昼食は、近くのローカルレストランで購入するランチボックスが定番です。一食500フラン(約120円)で、アチャケ(キャッサバを発酵させて蒸したもの)や赤インゲン豆、焼いた牛肉や魚が入った、ボリューム満点のセットを購入できます。
緑色の食品は「ゴンレ」と呼ばれ、葉物野菜と穀粉を練り上げたもので、もちもちしたパンのような食感が特徴です。小腹が空いた時にはピーナッツなどと一緒に食べられることが多いです。
地方出張時には、現地の炊き込みご飯「スンバラ」やオクラソース&「トー」に、野菜の煮物や肉料理を楽しむことがよくあります。スンバラはネレという木の実を発酵したものを加えており、その独特な香りと味は日本の納豆を思い起こさせます。
トーはソルガムやミレットという穀物や、白トウモロコシの粉を熱湯で練り合わせた現地の主食で、東南部アフリカでも類似の料理が見られます。どちらも現地で愛されている伝統的な料理で、地方での食事をより豊かにしてくれます。
調理には日本でもおなじみのマギーや現地ではメジャーなブランドJumboなどのブイヨンが使用されることが多いです。ピーナッツ油で肉や玉ねぎ、にんにくを炒め、トマトやオクラを加えて煮込む料理は特に一般的で、家庭の味ともいえる一品です。こうした料理は唐辛子ペーストが添えられることが多く、辛みがアクセントとなっています。
ご飯の代わりに揚げた青バナナを食べることもあります。少し熟れた青バナナを揚げたもので、甘みが引き立ちつつ、もちっとした食感が癖になる一品です。
たくさんあるブルキナファソグルメのなかでも、特に筆者がおすすめなのが炭火焼の鶏肉です。ブルキナファソの鶏は放し飼いで育てられており、パリッとした皮とジューシーな肉が絶品です。これににんにく油やスパイスを添えて食べると、さらにおいしさが増します。
ブルキナファソでは一年を通してさまざまな種類のフルーツを町中で見かけます。特にマンゴーは6月から9月の雨季に旬を迎え、種類によって異なる味わいを楽しむことができます。実は日本へもブルキナファソのドライマンゴーが輸出されているんですよ! イチゴは気温が下がる1~2月にしか出回りませんが、控えめな甘さが特徴で、そのままでも、アイスクリームと一緒でもおいしいです。ほかにもパイナップルやパパイヤ、スイカなど、色々なフルーツを食べられます。
ブルキナファソのローカルフードは、多様な食材と工夫を凝らした調理法が魅力です。食事を通して現地文化の豊かさを感じるとともに、日々の生活に彩りを加えてくれます。訪問の際にはぜひ味わってみてください!