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イスラム圏のドバイにおいて1年のなかでもとても大切な行事のひとつ、ラマダン(聖なる月)。
ラマダンと聞くと断食をイメージし、大変な苦行のような印象を持っていましたが、実はラマダンはイスラム教徒にとって、とても神聖で喜ばしい行事なのです。今、世界でイスラム教徒(ムスリム)は約16億人、約4人に1人が信仰しているといわれています。その大部分の人々が同時期に行う儀式は、まさに世界的な行事です。
ドバイではムスリム以外の旅行者でもラマダンの一部を体験することができます。私は昨年初めて過ごしたドバイのラマダンで、この時期にしかできない特別な異文化体験を満喫しました。今回は旅行者でも体験できる、ドバイのラマダンの情報と、ラマダンを体験するために知っておきたい前知識をお伝えします。
ラマダンの時期は年により異なり、2025年は3月ごろを予定しています。
ラマダンといえば「断食」というイメージが強いですが、そもそも何を目的にしているのか、断食以外何をするのか、日本で生活していると知らない方は多いと思います。
ラマダンの期間は月の観測によって決まるため、開始日は国や年によって異なり、正式な開始日は前日に発表されます。
ラマダンが始まると一ヵ月間、ムスリムは義務として日の出から日没にかけて、水を含めた一切の飲食を断ちます。なぜそのような苦しいことをするのかな? と不思議に思われますが、一説によると断食の主な目的は、苦行をともにすることでムスリムの連帯感を強め、信仰心を強めることなんだそう。
ラマダンの期間中、ムスリムは日の出前(サフール)と日没後(イフタール)に食事をします。ムスリムの知り合いにラマダン期間中の生活を聞いてみたところ、日中は普段通りに生活し2回のお祈りも行い、日没後には家族や親戚、友人同士が集まり食事(イフタール)をし、日没後のお祈りをして就寝または翌日3~4時に起床して夜明け前に食事(スフール)を済ませるという一日のスケジュール感だそうです。
イスラム圏でありながら人口の90%以上を外国人が占める多国籍かつ観光大国であるドバイでは、ラマダンの時期も観光や外食は基本的に制限なく過ごせます。もちろんムスリムはほかのイスラム圏同様に生活をしており、UAEではムスリムの99.8%の人が断食しているという調査結果が出ています(2022年)。企業や教育機関、公共機関はラマダンの期間中は勤務時間、営業時間を短縮する場合が多いですが、観光地の商業施設や飲食店は通常通り営業、またはイフタ―ルで深夜まで営業時間を延長するため、旅行者はほかの時期とほとんど変わらず過ごすことができます。
そして、ドバイではラマダン期間ならではの楽しみもいくつかあります。まず、ショッピングモールなどではラマダンを祝うラマダンセールが実施されて、買い物がより楽しくなります! また、各地でラマダンらしい華やかな装飾やライトアップがされて、イスラム文化の喜びムードを体験できるのもこの時期ならでは。町中でラマダンを祝う言葉”Ramadan Kareem”(恵みの多いラマダン、おめでとう)や”Ramadan Mubarak”(良いラマダンを)が飛び交っています。もしラマダンを祝う機会があれば、これらの挨拶の言葉を伝えてみてくださいね。
ラマダン期間中に特におすすめなのが、日没後に断食明けを祝うイスラムの賑やかな食事会、イフタ―ルの体験! このイフタールこそが、ムスリムの方々がラマダンを楽しみにする理由のひとつだそう!
通常は家族や親族、友人が自宅に集まり開催されますが、ドバイではホテルやレストラン、観光スポットでイフタ―ルのイベントが開催され、イスラム教徒以外もそのお祝い気分を体験することができるのです。
せっかくなので本場のイフタ―ルを体験してみたいと私たちが参加したのは、ドバイ万博2020の会場で今は観光地として人気の、エキスポシティ。
普段は出入り自由ですが、ラマダン期間は有料チケット制になります。
イフタ―ルには基本的に上品な服装というドレスコードがあります。
ラマダンの期間中、毎日日没ぴったりの時間に大砲(キャノン)の爆音で町中に日没の合図が響きます! エキスポシティをはじめ、各名所で実施されているので、ドバイのどこにいても聞こえるようになっています。
エキスポシティの名所のひとつ、美しい噴水Fire Fallsに囲まれた幻想的なアート作品「サーリアル(Surreal)」で開催されるイフタールへ!
中東料理を中心としたビュッフェ形式で、ケバブやラップサンド(シャワルマ)などのメインを中心に、サラダやスイーツが豊富に並びます。
エキスポシティのイフタ―ルはラマダン期間中毎日開催されています(要予約・指定席)。
美しい噴水ショーを眺めながら、優雅な食事会を楽しみました。
エキスポシティ内では、食事の後もショーや演奏会など華やかなエンターテイメントが行われ、普段とは違う体験になりました。
2025年のイフタールはこの巨大ドーム、アル・ワッスル・プラザで開催されるそう。幻想的なライトアップとともにラマダンの食事会を体験してみては?
近年のラマダンは春の心地よい時期に行われていて、断食という少し重々しいイメージとは異なります。町全体が華やかで旅行にもおすすめのシーズンです。せっかくなら、この時期にしか体験できないドバイのラマダンを満喫してみては?