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新幹線で東京駅から約1時間、大阪駅から約2時間で行くことができる静岡駅。新幹線・在来線に加え市内交通も豊富で、日帰りでも十分観光を楽しむことができる注目エリアでもあります。今回はそんな静岡駅を拠点に、静岡市と焼津市のおすすめスポットをご紹介します!
まず向かったのは焼津さかなセンター。駿河湾で⽔揚げされた海の幸が集まる市場で、2025年で開館 40 周年を迎えます。敷地内には約70店舗が入っており、鮮魚はもちろん干物やお寿司、地酒やお菓子なども購入できます。
一歩施設の中に入ると「見てってよー!」「いいの入ってるよー!」と威勢のよい声があちらこちらから飛んできて、魚市場ならではの活気にワクワク!先が見えないほど長い通路の両側にお店がずらーっと並び、どこを見ても新鮮なお魚やおいしそうな食材だらけ。施設内は広く、キョロキョロして歩いていると同じところを回っていた……なんてこともあるので、通路の上の「まぐろ街道」「かに街道」などの通りの名前を確認しながら歩くとスムーズに回れるかもしれません。
とはいえ、裸電球が照らすちょっとレトロな館内を迷いながら歩くのもまた一興!
昼食は場内にある「スマル家」さんへ。店の外からでは見えにくいのですが、店舗の奥にも食事処があり、市場の活気から少し離れ、落ち着いて食事ができるお店です。
今回オーダーしたのは、「⽣しらす⽣桜えび丼」。
桜えびは駿河湾のほかにも⽣息していますが、漁業許可を受けているのは⽇本では静岡県のみ!ちなみに世界的に見ても、桜えびが取れるのは日本と台湾だけです。
とぅるんとぅるんの生しらすと、サクサク香ばしい生桜えび。あら汁には鯛が入っていて、丼も汁も食べ応え抜群!
今回は訪れた時期が漁期からずれていたため、いただいたしらすと桜えびは冷凍のものでしたが、冷凍であることがまったくわからないおいしさ(お店の方いわく、近年の冷凍技術が成長した賜物)。しらすの漁期は3月~11月、桜えびの漁期は3⽉中旬〜6⽉初旬、10⽉下旬〜12⽉下旬頃となり、この時期は水揚げされたばかりのものが入荷するチャンスがあるため、旬なものを食べたい!という方は漁期を狙って行くとよいかもしれません。
桜えびですが、2011年あたりから不漁が続いているそうです。そのため資源保護の観点から、漁に出た全船で利益を分配する珍しい漁法を採用しています。先述のように漁期が決められているのも、休漁期間を設けて桜えびを保護する目的があるからだそう。水質悪化や黒潮の影響で漁場が変わっていることもあり、今後はもっと希少な食材になるかもしれません。頂く命に感謝しつつ、海を取り巻く環境問題についても考える必要があります。
おもしろいスイーツがあると聞きつけて訪れたのは「焼津プリン商店」。こちらも焼津さかなセンター内にあります。ポップだけどどこかレトロな店構えと、「焼きプリン専門店」という看板に期待が高まります。
静岡らしいみかんプリンをはじめ、1キロ1万円の高級抹茶を使用した抹茶プリンや、硬めテイストのレトロプリン、イチゴが入荷した日限定のイチゴプリンなど、さまざまなプリンを取りそろえる、プリン好きにはたまらないお店です。
なかでも一番人気は、最高級天然バニラビーンズと最高級生クリームを使用した「焼きプリン」だそうですが、今回は別のメニュー、「炎の焼きプリン」を注文します。
炎の焼きプリンとは、通常の焼きプリンの上に、砕いたサブレとメレンゲを乗せ、ウイスキーでフランベすることで新食感を生み出したオリジナルプリンとのこと。(焼きプリンを焼くって、つまり二度焼き?)
注文すると専用スペースに案内され、目の前でプリンをフランベしてくれます。
燃えあがるプリン。
真っ白だったメレンゲの表面においしそうな焦げ目がつき、ウイスキーのよい香りが広がります。幻想的な様子に見とれていると炎が消え、店員さんがスプーンを渡してくれます。賞味期限3分とのことなので、急いでいただきます。
見た目はクレームブリュレのようですが、表面はふわふわ。サクサクのサブレと、とろりとしたプリンが合わさり、今まで体験したことのない食感……!聞いてみると、このサブレも静岡産のお米を使っているとのこと。素材にもこだわっているんですね。
ちなみにプリンが燃えている時間は10秒ほどなので、撮影チャンスを逃さないよう気を付けて!
焼津さかなセンターでおいしい海の幸を楽しんだ後は、車で10分弱の距離にある朝比奈川堤に行ってみるのはいかがでしょう?
こちらでは、2月中旬~3月上旬にかけて早咲きの桜・河津桜を楽しむことができます。約200本の桜と菜の花が咲き誇る川沿いを歩けば、少し早い春の訪れを感じることができます。
最後に訪れたのは、焼津市のお隣・藤枝市にある「真茶園」。創業200年の歴史をもつ老舗のお茶屋さんです。こちらでは、茶審査技術10段位の茶匠かつ、全国茶審査技術競技大会準優勝(つまり全国大会2位)で、日本茶インストラクターの資格ももつお茶のスペシャリスト、小泉店長がお茶についてレクチャーしてくれます。
今回は単においしいお茶を楽しむだけではなく、利き茶体験をさせていただきました。利き茶とは、日本茶の香りや色、味を頼りに、茶葉の品種や産地を見分けることをいいます。古来、遊びとして広まったものですが、現代では大会の優勝者に農林水産大臣賞が授与されるなど、由緒正しい競技となりました。業界では闘茶とも呼ばれます。
さっそく、まずは茶葉の違いを見ながら3種類のお茶をいただきます。
普通に飲むと「なんか味が違うかも?」で終わってしまうような繊細な違いに思えましたが、お茶のスペシャリストが注目ポイントをていねいに教えてくれるので、利き茶初体験の私でも違いをなんとなく言語化できるようになりました。
例えば、左の掛川茶は、きれいな黄緑色をしていて、クセのない味。普段飲み慣れた緑茶というイメージです。中央の藤枝茶は、薄くて黄色に近い色。よく味わうと花のような香りがします。右の岡部玉露は、黄緑というよりは薄い緑色。渋さや深みのある味です。
3種類とも静岡県のお茶ですが、同じ産地なのにここまで違いがあるのかと驚きでした。
さて、3種類のお茶の特徴が少しわかったところで、いよいよ利き茶本番です!
先ほどの3種類の中からランダムにひとつずつお茶が運ばれてきます。
3つを見比べれば色の違いもよくわかるのですが、単体だけで見分けるのは難しい!
しかしスペシャリストが教えてくれる見分け方のコツを思い出すことで、なんとか3種類の茶葉を当てることができました。当たるとうれしい!
ちなみに大会ともなると、一口も飲まずに香りや色、沈殿物だけで茶葉を当てる人がいるそうです。技術力が高いのはもちろんですが、何杯もお茶を飲んで味がわからなくなったり、途中でトイレに行きたくなったりするのを防ぐためでもあるんだとか。いろいろな面で厳しい大会です!
真茶園では茶葉や抹茶スイーツの購入もできます。茶葉はもちろんですが、他にも、和菓子職人でもある真茶園の9代目が監修したどら焼きもとてもおすすめです。
ちなみに、お茶を自宅で長くおいしく楽しむ方法は、買ってきた袋のまま缶に入れて、冷凍庫に入れるのがベストなんだとか。お茶が入っている袋は、実は空気も光も通さない特殊な素材だそうです。温度、光、水分を遮ることができればお茶の品質は保たれるため、ほかの容器に入れ替えないのがおいしく楽しむコツだといいます。とはいえ開封すると空気に触れて徐々に味が落ちるので、味や品質にこだわる場合は2~3週間で飲み切れると理想だそうです。こういったお茶に関する豆知識やアドバイスが聞けるのも、お茶のプロがいる真茶園ならではですね。
今回は利き茶体験でしたが、ほかにも、お茶の焙煎体験や、合組(茶葉のブレンド)体験なども受け付けています。(要相談・要予約)
グルメに体験に、見どころ盛りだくさんの静岡県!
今回は紹介しきれませんでしたが、歴史や文化、アクティビティなど他にも魅力がいっぱいです。
次の旅先候補に加えてみてはいかがでしょう?
TEXT&PHOTO : 奥津結香