キーワードで検索
1588年に完成したエル・グレコの傑作『オルガス伯爵の埋葬Entierro del Conde de Orgaz』を所蔵することで有名。荒廃していた教会の復興に努めたオルガス伯爵が埋葬されたときに、トレドの守護者である聖アウグスティヌス、聖ステファヌスのふたりの聖人が天から下りてきて、その遺骸を柩に納めたという伝説が主題となっている。 画面上の天上界には天使たちに囲まれたキリストと聖母マリアが描かれ、地上界では多くの人物が見守るなか、伯爵の埋葬が行われている。この人々は当時のトレドの名士たちの肖像だといわれている。ふたつの空間のほぼ中央には、天使に抱かれて今まさに神のもとへささげられる伯爵の魂が描かれている。また埋葬の場面を指し示す画面左下の少年は、グレコの息子のホルヘ・マヌエルで、その衣服のポケットにはグレコのサインと息子の生年が書かれた白い布が見える。