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バレンシアの片隅では、「実はコカ・コーラのシロップはスペインの発明品だった」という
都市伝説があります。その真相を確かめに向かったのは、アリカンテ県との県境に近い
Aielo de Malferitという村。人口5000人にも満たないこの小さな村は、70年初期に大人気を
博した歌手ニーノ・ブラーボの出身地として知られています。
ここにあるのが1880年創業の小さなリキュール製造会社。当時は清涼飲料水など
売っていないので、人々はここで買ったシロップを冷たい水で割って飲んでいたと言います。
創業者の3人のうちの1人は精力的に営業活動を続け、世界中の展示会やコンクールに参加。
とうとうスペイン王室御用達にまでなったそうです。製品の中に、ペルー産のコーラの種子と
コカの葉を原料にした"コラ・コカ"というシロップがありました。
<コーラ味のリキュール、ヌエス・デ・コラ・コカ>
さて、コカ・コーラの誕生は1886年。アトランタの薬剤師によって薬用としてつくられたもので、
同じくコーラの種子とコカの葉が原料でした。偶然この前年の1885年にアメリカの
フィラデルフィアで開かれたコンクールで"コラ・コカ"の製造会社が金メダルを受賞しているのです。
これが噂を招いている理由なのですが、金メダルを受賞した製品が"コラ・コカ"であったか否か
という記録は残っていません(メダル自体は今も会社のオフィスに飾ってあります)。
それでも郷土愛にあふれた村の人は言います。「コカ・コーラを発明したのはおらが村だよ」と。
<左:世界中のコンクールで獲得したメダルの数々、右:アンティーク感漂うオフィス>
20世紀の半ばにコカ・コーラがスペインに上陸するにあたり、"コラ・コカ"の商品名とシロップの
パテントを3万ペセタで買いとったそうです。それ以降"コラ・コカ"のシロップは製造されていませんが、
これをリキュールにした"ヌエス・デ・コラ・コカ"が今も作られています。これを炭酸で割るとコーラ味の
お酒になるとか。我が家に一瓶あるのですが、まだ試していません。
バレンシアの片田舎のこの会社では、現在10種類のりキュールを製造し、工場内でのみで
販売しています。"納税者の涙"、"おばあちゃんのお乳"、"貴婦人の喜び"等、面白いネーミングの
リキュールのほか、砂糖をつけたアニスの枝を入れた飾っておきたいようなキレイなアニス酒も。
地元の人達は空き瓶を手に買いに来るそうです(^^) 工場もオフィスもは創業当時から
変わっておらず、時間が止まったよう。オフィスの片隅には昔のタイプライターや帳簿等があり、
小さなアンティーク博物館と化しています。近くに来たら、ぜひ立ち寄りたい空間です。
行ってみたい。でも自力でたどり着く自信がない、という方はご相談くださいね。
Juan Juan Micó
Plaza del Palacio, 46812 Aielo de Malferit
(町役場/ayuntamientoと同じ広場にあります)
96-236-0007