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トリノには、愛すべきバールやカフェが数多くある。それらのパイオニアでもある1763年創業で
トリノ最古のカフェといわれるのが、こちら al bicerin (アル ビチェリン)
鐘楼がロマネスク様式の美しいモニュメントで1906年には、法王ピオ10世により法王庁管轄の教会となった
コンソラータ大聖堂の向かいにある。(こちらも必見!)
店名にもなっている ビチェリンとは、ピエモンテ州の方言で"小さなグラス"を意味する。
ちなみに、イタリア語で小さなグラスは Bicchierino(ビッキエリーノ)
ビチェリン。このお店で生まれたチョコレートとコーヒーを合わせた贅沢な飲み物。オリジナルレシピの材料は
たった3つ!溶かしたチョコレートにコーヒーを加え、ゆるめにホイップした牛乳をのせればできあがり。
甘さと苦さのハーモニーを楽しむ。
現在は、トリノやトリノ周辺にあるバールやカフェのメニュー内に、その名を見かけることができる。
時代と共にそれぞれのアイデアが加えられ、進化したビチェリンも多数あるので飲み比べをするのも楽しい。
ザバイオーネも昔から提供され続けているシンプルな定番の逸品。オリジナルレシピは、卵黄と砂糖そして少しの
お酒。オーダーが入ってから卵黄を湯煎にかけリズミカルに泡立てていく。一定の熱と空気を含み、次第にひとつの
ドルチェ(デザート)へと変貌を遂げる。まだ温かみの残るふわふわでエアリーなグラスデザートの先駆けが運ばれてくる。優しい食感、適度なアルコール感が心地よい。お好みで生クリームをプラスすることもできる。ザバイオーネは、クラッシックなマルサラ酒、地元ピエモンテ州で名の高いモスカート酒、レモン風味と選択が可能だ。
昔、提供していたバローロキナート、ピスタチオやカシス風味は残念ながら現在は販売を中止したらしい。
その他、隠れファンも多い冬はホットチョコレート、夏は冷たいチョコレートドリンク。
そして、チョコレートをたっぷり挟んでトーストしたおやつパンも変わらず人気メニューである。
美食家でも名の知れたイタリア初代首相 カミッロ・カヴール氏も常連で、この小さな入口をくぐり、
大理石の趣深い小テーブルでビチェリンを、時には ザバイオーネをオーダーしていたと言う。
重厚で落ちついたこの空間でひとり妄想にふけるのも悪くない。
約30年前より、ショップも隣接されている。ビチェリンのリキュール、ジャンドゥイオット(トリノ発祥でヘーゼルナッツ風味のチョコレート)、その他オリジナル商品も老舗らしいシックな装いで販売されている。
超有名店なので世界中からお客さんがやってきてはビチェリンをオーダーする姿がひっきりなしにみられる。
一方、キッチンでは元来女性だけで切り盛りすることもあってか殺伐とした空気が狭い店内に漂うことも。
【データ】
al bicerin
piazza della Consolata 5, Torino
木-火 8.30-19.30
水 休(例外あり)