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ビールがおいしい季節です。「暑い~。のど乾いた~!」という状況で飲む冷えたビールは最高ですよね。ここ数年スペインもクラフトビールが流行っていて、行き先々でご当地ビールを飲む楽しみもできました。
バレンシアからローカル線で50分ほど揺られた町にある小さなクラフトビール工場は、2010年にLa Socarradaというビールを売り出して以来、特徴のあるクラフトビールをいろいろと作っています。
最初に売り出したLa Socarrada(ラ・ソカラダ)は、ローズマリーとローズマリーのはちみつを使ったビール。グラスを口に運ぶ時にローズマリーのアロマがふわっと鼻をくすぐります。その後生まれたのが、Er Boquerón(エル・ボケロン)。日本語にするとカタクチイワシという名前なのは、地中海の海洋深層水を使っているからなのです。ミネラルを感じるビールです。3番めにつくられたのはTORO(トロ)で、ペドロ・ヒメネスのシェリー酒を醸造する際の木樽で寝かせ、また焙煎モルトを使っていることが特徴。ラベルには、シェリーで有名なオスボルネ(オズボーン)社の闘牛マークをライセンス使用しています。お次はOrange Saison。これはオレンジの花のはちみつと乾燥させたオレンジの皮を使いバレンシアらしさを打ち出しており、ほんのりシトラスの香り。
La SocarradaやEr Boquerón、TORO、Orange Saisonは自社製品として売り出していますが、ワイナリーやレストランなどのオリジナルビールも生産しています。日本でも売っているバレンシア産のMala Vidaというワインを濃縮させ、それを粉末にしたものを混ぜたビールはアルコール度数も10%と高め。どんな味なのか気になりますね。なんと、マリファナを使ったビールまでつくっているとのこと。なんでも雄株はいわゆる"薬物"にはならないので、それを使っているそうです。
<現在ワールドカップ期間中なので、La Socarradaのマトリョーシカボトルが出ています。かわいい!>
若い創業者のセルヒオとラファは中学時代の同級生。社会に出てビールとは無関係の仕事をしていましたが、ある夜一緒に飲んだ時に「クラフトビールをつくろうぜ!」と話が始まり、それが本当に実現したのです。アイデアは誰でも出せるかもしれませんが、それを実行に移し、さらに成功させるのは容易ではありませんね。次はどんなビールを出すのか楽しみです。
クラフトビールなので飲める場所は多くはありませんが、バレンシアのレストランやバルで見つけたらぜひ試してみたいですね。
毎週土曜日の11時からは工場見学ツアーを実施しています。予約が必要なので、興味がある方はこちらからコンタクトしてみてください。料金は6ユーロで、試飲も含まれています。工場の最寄り駅は、バレンシア北駅から近郊線C2で約50分のXàtiva(シャティバ)駅。駅からは歩いて10~15分の距離です。