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ネパール南部チトワン郡にあるマダン・クマル・バンダリ氏の慰霊碑

春日山 紀子

春日山 紀子

ネパール特派員

更新日
2019年2月4日
公開日
2019年2月4日
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カトマンドゥから陸路チトワンやルンビニなどタライ地方へ向かう際に通る、ムグリン~ナラヤンガート間。山の斜面を切り開いて作られた崖道の途中にある川沿いのダスドゥンガという場所に、ひっそり慰霊碑が建っているのをご存知でしょうか。

1993年5月、ポカラからチトワン方面へ向かっていた車がここから崖下転落し、同乗していた2名の政治家が死亡、運転手のみ助かる、という事故があったそうです。慰霊碑の二人の男性は、その時亡くなった政治家で、マダン・クマル・バンダリ氏とジブラジ・アシュリット氏。

マダン・クマル・バンダリ氏は、現ネパール女性大統領・ビディヤ・デビ・バンダリ氏の夫でした。

この事故は、事故ではなく何者かによる陰謀だという説も濃厚で、事故当時一命をとりとめた運転手が、この事故(事件)から10年以上経って、何者かに殺される、という闇深い事件も起きています。

噂では、運転手が、車ごと川に転落するよう何者かに指示されていたのだろう、と言われており、口封じのために殺されたのだろう、という説も。

当時、運転手が十分な見返りを受け取っていたとしても、車ごと崖下転落させれば、自身も死亡するリスクがありました。しかし、部分的に、運転手がうまく脱出できそうなポイントがあり、事故直前、そのポイントに目印があったという説も。

毎回現場を通るたびに、覚悟を決めて川に突っ込んだ運転手や、転落させられることなど何も知らなかったであろう政治家たちの心情を思い、一瞬背筋が寒くなるような錯覚を覚えます。

ちなみに、現場周辺、2018年夏前に道路拡張工事がほぼ終わり、慰霊碑がある敷地面積もかなり削られてしまいましたが、慰霊碑自体は今も残っています。

※写真は道路拡張工事前の2016年3月に撮影したものです。

※2023年2月追記:道路拡幅工事は今も続いており、現在は、カーブを回避するための橋があちこちに建設中です。事故当時の道路事情とはだいぶ変わっており、慰霊公園ものどかな雰囲気が漂っています。

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