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先月の話になりますが、ご縁があってスペインの人気TV番組Volando Voyのロケに参加しました。これはエベレストに登頂したこともある冒険家でプレゼンテーターのヘスース・カジェハスがスペインのあちこちをまわる番組で、"飛んで行くよ~"とのタイトルの通り、毎回ヘスース本人がヘリコプターを操縦してその土地を紹介するシーンもあります。
私が参加したのは、コルドバ郊外にある高品質オリーブオイル生産で有名なスブベティカ山地でのロケでした。実はワタクシ、オリーブオイルソムリエとしても活動しており、それでお話をいただいた次第。私はこの土地の固有品種オヒブランカ種とピクード種をブレンドしたエキストラバージンオリーブオイルが大好きなのです。地元住民代表のひとりとしてヘスースと一緒にヘリコプターに乗ったのが、イギリス人の旦那様と田舎風B&Bを営む日本人女性で、おそらくそこから日本人を集めることになったのだと思います(最終日の空き時間にこのB&Bにお昼を食べに行きましたが、とてもステキなところだったので後日このブログでも紹介したいと思います。https://finca-las-encinas.com/ja/)。日本からも、オリーブオイル生産者のご夫婦や著書もあるオリーブオイル専門家、フードライターの方がロケのためにやってきました。
<ヘスースを囲んで記念撮影>
ロケ初日はカルカブエイで歓迎式典の後、ランチを食べ、オリーブ畑を訪問し収穫体験。なんと今年は異常気象だそうで、4月下旬になってもまだオリーブの収穫をしているとのこと。場所によってはもう開花の時期なので驚きました。オリーブ畑はもう何度も見ている私にとって、興味津々だったのが撮影スタッフの動き。何台ものカメラ、大きなマイクや空撮用のドローン、そして予想以上の人数が関わっていることなど、とても新鮮でした。
<山の上までオリーブ畑が広がる美しい景色>
<電動熊手を使って収穫体験。かなり重たい!>
<ドローンを使うのを間近で見るのは初めてでした>
2日めは、まずカルカブエイ村にある協同組合のオリーブオイル搾油所へ。ここで搾られるオリーブオイルには世界の主要国際コンクールでトップクラスに入るものもいくつかある、知る人ぞ知る搾油所です。朝収穫されたばかりの実を使い、試験用のミニ搾油機を使って実際にオリーブオイルを作りました。4月下旬の収穫+黒い実ということで、フルーティーなエキストラバージンオリーブオイルはできないだろうと思っていたのですが、意外や意外、果実風味のあるエキストラバージンになりました。後日このオイルを私のオリーブオイルの先生たちとテイスティングしたのですが、先生もビックリ。農業は科学ではあるものの、いつも理論通りではないということを学ぶいい機会でした。搾りたてのオイルは、すぐその場でパンやチーズ、地元ワインと一緒に試食。若草のような香りがするおいしいオイルでした。
<こんなにきれいな色のオリーブオイルが出てきました>
<搾りたてのオリーブオイルをサーブするヘスース>
<搾ったオイルは番組特製ラベルを貼ってお土産にいただきました>
ランチは、市長さんもスタッフも一緒にプリエゴ・デ・コルドバで郷土料理を堪能。
<ガスパチョより濃厚な冷製トマトスープ、サルモレホ>
<豚肉を生ハムなどと巻いて揚げたフラメンキン>
午後はプリエゴの眺めのよい"バルコン・デ・アダルベ"でオリーブオイルテイスティングの撮影。日本人7人がずらりと並びました。スペインのオリーブオイル業界では知らない人はいない有名な専門家ブリヒダ・ヒメネス先生が登場し、ずっと会いたいと思っていた私は感動でした(私の先生の先生なので、いわば私は孫弟子)。
<目隠しをして嗅覚を研ぎ澄ます>
最終日、3日めの夜にはスエロス村で、これまでのロケの野外上映会が開かれました。ロケに関わった人、その家族、村の人々などが集まり大賑わい。ヘスースの司会進行で楽しいひと時を過ごしました。
<スエロスはスブベティカ山地北部にある人口650人の小さな小さな町>
スペインでも農村の過疎化や高齢化が進んでいます。スペインにいると子どもが多い印象を受けますが、実はEUでも特に少子化の国のひとつ。マドリー、バルセロナの二大都市および地中海沿岸都市部への人口集中化も懸念されている中、この番組ではこの地に魅せられて移り住んだ外国人夫婦や生まれ育った土地を愛するご老人、世界に誇る高品質オリーブオイルを紹介するなど、スブベティカの良さをアピールし、自分の土地に誇りを持とうというメッセージ性を強く感じました。ヘスース・カジェハは冗談が大好きで有名人なのに気取ったところもなく、いつも一緒に働いているスタッフとも家族のような関係を築いていました。温かいハートを感じるので、この番組には適任。なぜこんなに人気があるのか、よーくわかりました。
なお、放映は9月の予定です。私も多分その他大勢でチラッと映るかも・・・しれません。
追伸:ここで写真を使うことは、ヘスース本人およびスタッフの皆さんからもOKを頂いています。むしろ「ぜひ紹介して~」というノリでした(笑)