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ヴィクトリア駅の隣にある小さな公園「ロウワー・グロヴナー・ガーデンズ」

小野 雅子

小野 雅子

イギリス特派員

更新日
2019年8月25日
公開日
2019年8月25日
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ロンドン主要駅のひとつヴィクトリア駅を出ると、大通りをはさんで小さい公園があります。サイズとしては本当に小さいけれど、緑に囲まれた芝生やベンチで気持ち良さそうに寛ぐ人々に誘われて、ふらっと中に入ってしまう事があります。

これはロウワー・グロヴナー・ガーデンズという名称で、1864年に造られた古い公園。ちなみにグロヴナーという名前は、17世紀からこの周辺を含みロンドン中心部に広大な土地を所有していたグロヴナー家にちなんでいます。

第2次世界大戦中にはドイツ軍の空爆から逃れるための防空壕が作られ、戦後には沢山の瓦礫やゴミ置き場という惨状になりました。そこで1952年には公園の再整備が始まったのです。

ここには既に第1次大戦で活躍したフランス陸軍軍人フェルディナン・フォッシュの銅像も建立されていたのもあり、公園再整備の際には戦友国フランスとの友好親善を象徴してフランス式庭園デザインを採用。

そしてデザイン担当者に起用されたフランス人設計者ジャン・モローは、公園内にこんな貝殻を散りばめた小屋を2つ建てました。

これはフォリーと呼ばれ、西洋庭園において装飾だけの目的で建てられる小屋のひとつ。もっと大規模なものではヴェルサイユ宮殿の離宮・小トリアノンに立ち並ぶ農家の小屋に見立てたものや、ロンドンのキュー・ガーデンにある中国風パゴダなども、フォリーのうちです。

でもフォリーが大流行した18世紀とはさすがに時代が違ったせいか、モローさんはこの小屋に公園を整備するための庭仕事道具も収納できるように設計しました!今でも2つある小屋のうち1つは、芝刈り機や剪定バサミなどの収納庫として使われています。

壁の模様としてあしらわれている貝殻も、フランスとイギリス両方の海岸から獲ってきた貝殻を使用。海を隔てた隣国同士のつながりを表現しているんだそうです。ヴィクトリア駅を利用する時にちょっと時間の余裕があったら、この小さな公園にも立ち寄ってみませんか?

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