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北ヨークシャーのタッドキャスターという街には、1758年から続くビール醸造所があります。ヨークシャー州で最古となるこの醸造所で操業を続けているのが、サミュエル・スミス社という小さな会社です。
しかもこのサミュエル・スミス社では今も毎朝、出来立てのビールを白馬が引く荷馬車で運んでいるのですよ!もちろん近所のパブ中心で、もっと遠い所へはトラックですが・・・この光景、ちょっと凄いでしょ?
この馬たちはシャイアー・ホースという品種で、大きい個体だと1トンを超える事もあるという重量級の馬。昔から農耕や重いものの運搬などの力仕事を担ってきたから、ビール樽を積んだ荷馬車など得意中の得意なんですね!
この白馬2頭による荷馬車配達があるのは、平日の午前中のみ。日によって少し出発時間が変わるものの、大抵は朝9時~9時半に出発して、お昼前には戻ってきます。車道をカッポ・カッポ・カッポ・・・と蹄の音をリズミカルに響かせて配達する姿は、なかなかの見もの。
でも、もし彼らの配達時間に間に合わなかったら、同社直営のパブ「エンジェル&ホワイトホース」の裏に厩舎があるので、そちらを覗いてみましょう。このパブは午前11時に開店するので、ちょうど馬たちが配達から戻ってくる頃です。
ソフトドリンクなどノン・アルコールの飲み物もありますが、やっぱり工場直営ならではのビール!代表銘柄のひとつ「オールド・ブルワリー・ビター」は、まったり優しく飲みやすい味。ハーフパイントがたったの1ポンドというのも嬉しいですよね♪
↑窓の向こうに、厩舎が見えます。あちらは中庭になっていて、パブのお客さんも外のテーブルを使える構造。だから中庭と厩舎へ続くドアを開ければ、外に出られるのです。
厩舎は2つに区切られていて、2頭それぞれの名前と入社年月日が記されています。とても愛され大切にされているのが伝わってきますね。
ところで、パブで飲んだハーフパイントのグラスが可愛かったので「どこで買えるのですか?」とカウンターのお兄さんに訊いたところ、パブの隣で営業しているデリ&ショップとの事。もちろん帰りに寄ってみました!
こちらが、その「ザ・リトル・デリカテッセン」。ちなみに左隣に見えるドアがサミュエル・スミス社の受付で、ビール醸造工場はこの建物の裏にあります。
グラスは1個95ペンス。グラスの側面だけでなく、底にもヨークシャー州の紀章である白薔薇が刻印されていて、とても気に入ってます。
すぐ近くには、もっと大手のジョン・スミス社もあります。実はそっちはサミュエル・スミスの伯父が興した会社。サミュエル伯父さんは古い方の醸造所を甥っ子サミュエルに譲り、すぐ近くに大きな工場を建てて移転したというわけです。
ビール好き、特にイギリスのエールを好む方にはもちろん興味深い街、タッドキャスター。白馬が古風な荷馬車で配達する光景も、なかなか風情があって良いですよ!
サミュエル・スミス社
住所:Samuel Smith, The Old Brewery, High Street, Tadcaster, North Yorkshire, LS24 9SB
ウェブサイト:https://www.samuelsmithsbrewery.co.uk/