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スウェーデンの夏の醍醐味、ベリーピッキングへ

たってぃ

たってぃ

スウェーデン特派員

更新日
2020年7月26日
公開日
2020年7月26日
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ストックホルムではすでにシーズンを迎え始めたベリー。

そのため、スウェーデンの夏の醍醐味とも言えるベリー狩りに行ってきました。

狙うのは、ブルーベリーとラズベリーです。

草木が肌に触れてかぶれてしまったり、虫刺されを防ぐため、長袖・長ズボン・長靴下を着用のうえ、いざ森へ向かいます。

森へ向かう途中、野生のハリネズミに遭遇しました。

食べ物があれば一心不乱に駆け寄ってくるものの、普段は臆病なようなので、木陰に隠れてしまいました。スウェーデンのみでなく、ドイツでも野生のハリネズミを見たことがあるので、ヨーロッパでは一般的な野生動物かもしれません。

森に入ると、すぐにブルーベリーを見つけました。まだ誰も採っていないからか、あたり一面、ブルーベリー、ブルーベリー、ブルーベリー……です。1株に30粒以上もたわわに実っている場合もあるため、おもしろいほど採れます。

お腹が空けば(もちろん空いていなくても)、つまみ食いしつつ黙々と採り続けます。基本的に甘酸っぱいブルーベリーが多いですが、ときどきジューシーで本当においしいものに出合うと、採る手が止まり、つまみ食いが先行してしまいます。「甘い」と叫びたくなるほどです。

気を取り直して、できるだけ成熟した、粒が大きなものを選んで採り続けます。小さいものはまた大きくなったときに採りにきます。2時間ほどで、持参したボウルが満杯になりました。

今回は手摘みにしましたが、正直に言うとだんだん飽きてきます。理由はというと、bärplockare(ベールプロッカレ)という、ホームセンターで購入できるベリー摘み取り器の便利さを知っているからです。以前別の場所では、友人のものを借りて、何時間も夢中になりながらブルーベリーを採ったことが幾度となくあります。

この道具があったほうがいい理由は、おもに3つあります。ひとつ目は、簡単に、そして短時間で大量のブルーベリーを収穫できます。ふたつ目は、精神的に楽なことです。本当におもしろいほどブルーベリーを採ることができるので、だんだん楽しくなってきます。そして3つ目、腰を痛めにくいです。立ちながらブルーベリー摘み取り器を木にザーザー擦るだけなので、身体的にも楽です。手摘みだと腰をかがめて摘まないといけないため、腰に負担がかかってきます。また手摘みの場合は、手がブルーベリー色に染まってしまいますが、道具を使用することでこの手の汚れも最小限に抑えられます。

この道具があったほうが確実にいいと痛感したので、次回に向けて購入しようと心に決めました。

またもうひとつ、ブルーベリー摘みにおいて欠かせないことがあります。それは、ブルーベリーがまだ新鮮なうちに混ざってしまった葉っぱなどをできる限り取り除いて、きれいにすることです。ブルーベリーを採っていると確実に葉、木の枝やクモ、カメムシなどの虫が混入してきます。

これらを取り除くためにbärrensare(ベールレンサレ)というあみ目の粗い粉ふるいのような道具にブルーベリーを入れて、葉などを振るい落とします。取り除ききれない大きなものは手で取ります。こうすることで、持ち帰ってからがたいへん楽になります。自宅にあるあみ目の粗いザルでも代用できます。

もし自宅に戻ってからこの作業を行うと、ブルーベリーの水分がすでに出てきているため、葉などがブルーベリーから離れにくく、除去作業がしにくいです。また、取り除いたものや虫をもとの自然に返すことがなかなか困難なので、できる限りブルーベリーを採った森などで行うほうがよいです。

森の話に戻ります。

ブルーベリーのボウルが満杯になったところで、続いてはラズベリー探しへ。ブルーベリーは森のいたるところに生えているので、簡単に見つかるうえ、たくさん採れるのですが、ラズベリー探索は困難を極めます。どこにあるか見当もつきません。赤いものがあると思って近づいてみると、紅葉したブルーベリーの葉だったり、色づき始めているリンゴンベリー(コケモモ)だったりします。結局今回は、ラズベリー探しを諦めました。

持ち帰ったブルーベリーは約2kgあったので、朝食にそのまま食べたり、パイやタルトやジャムにしたり、使い切れないブルーベリーは新鮮なうちにできる限り早く冷凍保存したりします。

スウェーデンにはAllemansrätten(アッレマンスレッテン)、直訳すると「みんなの権利」という名の自然享受権があります。そのため、国有地・私有地問わず、原則的にベリーやキノコなどを誰でも自由に採ってよいとされています。そのほかには、例えば通行のために私有地に立ち入ったり、農場のなかでピクニックしたりすることも可能です。ただし、特別なルールや注意書き看板がある場合はそれに従うこととなりますし、立入禁止されている場所ももちろんあります。

動植物などの自然、そして所有者など関わりのある人間に対して常に思いやりとリスペクトを忘れないこと、また妨害・破壊行為はしないということを守れば、国民・観光客を問わずに、誰でもこの権利を享受できます。

そのため、もし皆さんが夏にスウェーデンを訪れることがあれば、ベリーピッキングを楽しんだり、可能であれば採ったベリーでジャムを作って日本へのお土産にしたりするのもいいかもしれません。

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