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前回紹介したHornstullから、次はTrekanten(トレーカンテン)〜Nobels spränggropar(ノーベルズスプレンググローパル)へ向かいます。
Hornstullから左方向に見える橋を渡り、対岸へと渡ります。橋の上はやはり風が強いですが、景色がとてもいいです。
またこの橋は船の交通のため開くことがあるようで、運よく見られたらラッキーです。
市民の憩いの場、Trekanten(トレーカンテン)湖へ
まずはTrekantenへと向かいます。
地下鉄レッド線Liljeholmen(リリエホルメン)駅から徒歩5分でも到着するTrekanten湖は外周を1周できます。都会の雑音を忘れさせてくれる、大きくて穏やかな湖を眺めながら散歩したり、ジョギングしたりするのにおすすめの場所です。ベンチのある木陰が多いので、時折涼風に当たりながら休むこともできます。また、さまざまなフルーツを模した遊具もあり、子連れの方にもおすすめです。
アルフレッド・ノーベルゆかりの地Vinterviken(ヴィンテルヴィーケン)
来たところからTrekanten湖を挟んでちょうど反対側の先にある道を進んでいくと、アルフレッド・ノーベル(1833-1896)ゆかりの地、Vinterviken(ヴィンテルヴィーケン)という場所に来ます。地下鉄レッド線Aspudden(アスプッデン)駅から徒歩10分でもこちらに来ることができます。現在の姿を見るとまったく想像がつきませんが、ここはかつてダイナマイトの製造で繁栄した場所です。
kolonietrödgårdが平地にあります(koloniträdgårdについては、前回のブログで紹介していますので、ぜひご覧ください)。そして奥に煉瓦造りの工場跡地をリノベーションしたカフェ、レストラン、イベントスペースのある複合施設、Winterviken(ウィンターヴィーケン)が見えてきます。
vinter= winter= 冬です。vikenは入り江という意味です。
こちらのカフェの内部は落ち着いた、おしゃれな雰囲気を醸し出していますが、暖かい夏は断然外のカフェがおすすめです。
この施設があるエリア、Vintervikenはいまでこそ整備されて美しい景観をもった憩いの場となっているものの、19世紀末にはダイナマイトが製造され、その影響で汚染されていた場所です。
1865年、アルフレッド・ノーベルはダイナマイトの原料となるニトログリセリンを安全に製造できるように、人里離れたVinterviken一帯を買収、新たな発展の地に選びました。
当時の面影として残存するWintervikenの建物も、もともとはダイナマイト製造に関わる工場でした。1867年と1874年の2度の大きな爆発事故を経て1890年に再建されたこの工場は、硫酸を扱っていたことから、スウェーデン語で硫酸を意味する「Siven」という愛称で親しまれてきました。ここを中心に60以上もの社宅などがあたり一帯に建てられ、大きな工業地帯を形成していました。
1921年にダイナマイトの生産拠点が他地域へ移ってからは工場は貯蔵や運搬にしばらく使われ、そのあとは彫刻美術館としての使用を経て、いまにいたります。汚染されたVintervikenエリア一帯は長年廃れていたそうですが、除染作業や緑地整備を経て、現在の美しい景観にたどり着いています。
Wintervikenの先には、海のような湖が見えます。この湖岸に沿って遊歩道を左方向へ進んでいくと、ニトログリセリンがかつて製造されていた跡地、spränggroparにたどり着きます。森の一部を爆破してできた凹みであることから、このように呼ばれます。1995年からは、ストックホルム県の歴史的文化財に指定されています。
2度の事故による教訓から、被害を最小限に抑えるため製造拠点は工場からこちらに移ってきました。ここにも各々の凹みに建物が建てられ、高い壁で守られた要塞のようになっていましたが、現在残っているのはアスファルトの残骸だけです。おもには土管のような穴がいくつかあり、そこを抜けると、まるで秘密基地のような静寂に包まれた敷地に出ます。
たくさんの落書きがあったりで、残念ながら景観はそこまでよくないです。そのため、目を閉じながら想像力を働かせ、歴史に想いをはせてみるのがいいかもしれません。
今回はアルフレッド・ノーベルのゆかりの地に訪れてみました。
コロナが落ち着いてスウェーデンへ旅行に来ることができた際は、ぜひ散歩に訪れてみてください。
参考(ストックホルム市ウェブサイト「Nobels spränggropar」): https://stockholmskallan.stockholm.se/post/27036